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ベイルとの揉め事1

不快な表現があります。ご了承ください

テストの結果だが…負けた。


もちろん勝った教科もあったが平均的に見ると俺の負けだ。

悔しいのでまた嫌味でも言ってやろうかな(どっちにしても嫌味は言うつもりだった)。


偶然にも前からハーレムを作って困り顔になりながら廊下を歩いているベイルが見える。

相変わらず見てるだけで腹が立つ!


グレイとイアンに合図をすると頷きながら近づいてくる。

さて、行きますか




俺が近づいてくるのが分かるとベイルは苦虫を噛み潰したかのような顔をし、取り巻きの女生徒たちはあからさまに嫌な顔をする。


やれやれ…嫌われたもんだ


まぁ、日頃の行い悪いからなー


「ふん、相変わらず節操がないようだなベイル、そんなに女をはべらして全員を嫁にでもするのか?流石誇り高きシュトラウス家の嫡男。見事な覚悟だな」


と悪い小ばかにしたように笑う


グレイとイアンの方から「ククッ」と笑い声が聞こえる。

さぞかし俺達三人の顔は悪い顔してるんだろうな


「マルス、いきなり何よ!ベイルに筆記で負けたからって突っかかるのはやめてくれない?」


一応位の高い貴族である俺にこれだけ言えるこの女は同じ位の貴族の娘。

名前はエレナ・H・フォルメル


ま、そのぐらいの奴じゃないと言い返せないだろう。

…うるさいから嫌なことに変わりないがな。


「俺はベイルに話掛けている。金切り声が耳に悪い、それともペレンデ-ル家では話しかけられたら取り巻きの女に対応させろとでも教えられたのか?」


「「「な…!?」」」


流石にこの台詞には女達も絶句し赤い顔をしてプルプルと震えている


「マルス…それ以上の暴言は許さんぞ」


「自分の女共と家名を傷つけられて、ようやく出した言葉がそれか、表現力に乏しいな、良くそれで俺の上を行く成績を出せたものだ」


「それ以上の暴言は許さんと言った!」


ベイルは剣の柄に手を掛けようとするが


「だめよ!こんな奴の為に」


…なんだ?いつもと様子が違う気がする。さらにつついてみるか


「ふん…どこまでも情けない、女に頼らないと自分の体を制御することもできんのか?」


「貴様!!」


怒りが最高潮になったのか諌める女の声も聞かずに、ついに剣を抜き放つ。


ベイルの戦闘スタイルは剣の二刀流だ。その腕前は一流と言っても過言ではない。


「なんだ…女の制止があっても自分の体を制御できんのか」


そんな事を言っているが俺はベイルの持つ剣から目が離せない


いつものベイルの剣ではない。

その神々しい雰囲気から普通の剣ではないことが分かるが…いったい?


等と思考していると目の前に突然ベイルが現れ吹き飛ばされる


(嘘だろ!?今までのベイルの動きじゃない?)


とっさに後ろへ避け衝撃を殺し剣で防御できたので大したダメージはなく空中で体制を整えた後、着地する。が勢いは止まらずそのまま3m程滑っていく。


「「マルス様!?」」


グレイとイアンが慌てて寄ってくる


『ほぅ、あの動きに僅かとは言え反応するとは中々じゃの』


頭に直接話しかけられているような感覚がする。人間ができる話し方ではない。つまり人外、なんとなくだがあの剣が話しているのだと感じた。


「今、喋ったのはその剣か?」


『しかも、不測の事態にも状況を冷静に観察し答えを導けるか…おぬし人間にしてはやるほうだの』


剣が眩く光るとそこには白いワンピースを着たなんとも美しくも可愛らしい12歳ほどの容姿を持つ女の子が現れた


「これベイル!激情に任せて剣を振ってはならんといったであろう?」


これまたなんとも可愛らしく惹かれる声で突然ベイルに説教をした。が、いかんせん迫力に欠ける。


「ごめんフィー、大切な人達と家族を悪く言われてついカッとなって…」


取り巻きの女達は「大切な人達」発言でキャーキャー言っているが俺はそれ所ではない。


「それはなんだ?」


俺はあまりの衝撃的な光景に頭がついていかない


「聖剣だよ、そしてこの子は人型になった聖剣の意思、名はフィー」


「そうじゃ!敬うが良い!」


と無い胸をはっていた…


「「聖剣!?」」グレイとイアンは声を大にして驚いている。


俺も声こそ出していないが心底驚いている。


聖剣とは神の力が一部宿った剣のことを言う、その効果は絶大で身体能力を飛躍的に上昇させるだけでなく潜在魔力の底上げと使用者の身体を自動的に回復させる他に剣個別の能力が備わっていると言われている。細かいことは分かっておらず意思が宿っているなんて話もあるが本当だったらしい。現在この世界には11本存在しているのが確認されている、その内の一本はこの国にあると聞いていたが、それは厳重に封印され保管されていたはず…

もしそれを王から承ったとしても間違っても二刀一対の剣ではではなかったはずだ。


「マルス、私はフィーの声に導かれ聖剣を持つに至った。王にも報告し正式に帯剣する事を許されたのだ。そして先程の一撃で理解したと思うが自分でも驚く程に能力が上がった、分かるだろう?私は、もう貴様には負けない」


ベイルから衝撃的な事実を告げられる。この国で聖剣を持つということは王から絶大な信頼を得ているだけでなく将来も約束されていることになる。簡単に言えば更なる権力を持つ事が約束されたようなものだ、それに伴い、他国にも強い影響力を持ち、まさに勇者や英雄と何代にも渡って称えられる。


俺の中から黒い感情が湧き出てくる。実力が俺の方が上なのに…何故奴なのだ!!!


不意でも付いてボコボコにしてやろうかと剣を握る手に力が入る。


そんな敵意を感じたのかフィーという聖剣の意思とやらは


「ん?ベイルよ、あの者はまだやる気のようだぞ?」


と、ベイルに助言する。


ベイルは信じられないような目をして俺をみる。


ちっ…不意を付けなくなったな


「マルス様…流石に分が悪いですよ」


イアンが俺に意見するが


「イアン、マルスに俺たちが意見するのは間違っている」

グレイの言葉でイアンは頭を俺に下げて後ろへ下がる。


「そうだ…それで良い」



フィーという名の聖剣の意思とやらは戦いの気配を感じたのか再び淡く光り剣に戻った。



ベイルは先ほどの怒りが嘘のように哀れみの篭った目で俺を見た。圧倒的強者が弱者を見逃そうとしたのに突っかかって来る者に向ける目だ、俺は怒りを覚えるが、飛び出すのを何とか抑える


「ふん、つまりはどれだけ努力しても自分だけの力では俺に勝てないと悟ったから武器に頼ると言う事だろう?情けないな」


「なんとでも言うがいい、私は私の役割を果たす、それだけだ」


げ!!!嫌味が流された!?


にしても気になる事を言いやがる。


「役割を果たす?」



「…」


ベイルは余計な事を言ってしまったと顔をしかめる。


「まぁ、俺には興味も無ければ関係もない話だ」


とは言ったものの超気になる、話をもう少し続けてみても良いかと思った


「マルス…剣から手を離せ、今なら見逃してやろう」


が、この台詞で俄然やる気になってしまった


「ベイル、調子に乗るな」


「調子に乗っているのはお前だろう、マルス」


その瞬間、ベイルの身体から魔力が迸った。


俺は身構えて、どうせまた一瞬の内に間合いを詰められるんだろうと予想する。


予備動作すらも早いだろうから動きを予測することは難しい。


普通ならさっきと同じように吹き飛ばされて終わりだ。


普通なら…な


「いくぞ!」


ダン!!と地を蹴る音のみ聞こえる。


どうやら音速は超えてないようだ。


ベイルの姿が消えてすぐに懐にあった魔導具を正面に投げる。


キュ!!


と方向を変えたのだろう音が聞こえる。


…やはり真っ直ぐに向かって来ていたようだ、馬鹿正直なやつめ。


俺は動かずに


「バースト」


と呟く


「ぐ!?」


先ほど魔導具を前に投げたのと同時に後ろに投げておいたもう一つの魔導具が発動し軽い爆発が起こる。


これで倒せる威力は持っていないが時間は稼げた。


しかし実際に当たるとは…


前が駄目だったから今度は後ろって単純すぎるだろ。


もう一度言おう


馬鹿正直なやつめ!


俺はそのまま剣を後ろに振り返りながら凪ぐが掠りもしなかった。


「小ざかしい真似を…次で!!」


ベイルの声がどこからか聞こえる。


高速で動く敵を相手にする場合、縦に剣を振ると線での攻撃となる為当たりにくい、だから広範囲に当たりやすい横向きの剣撃を選択したが、掠りもしなかったのは予想外だ。相当実力が離れていると考えていいな。


だがまぁ、さっき正面と後ろからの攻撃が俺に止められたことを考えると左右どちらかから、くると予測できる。こいつは両利きだが筆記試験では右手を使っているので得意なのは右なのだろう。更に最初の一撃で正面からの攻撃を防御してしまったことから背中側から振り抜くように凪ぐ可能性が高い。つまり、次の一撃で勝負を決めるつもりなら俺の左側から来ると考えられる。


そこまで考えて左に魔術を発動した


「足掻ケ縛沼」


どれだけ早くても地に足つけてるのは、共通なので、自分から左側半径1.5mほど床に罠を扇状に設置する


「なっ!!」


予想通りベイルは罠に引っかかる


この魔術は分かりやすく言えばトリモチの効果がある沼を出現させる


さて、勢いよくそんなモノに突っ込んだらどうなるかな?


バシャァ!


超スピードを出したまま沼に足を取られたら、顔から転ぶのさ


沼だから手を突き出しても無駄だ


だが、ここで予想外な事が起こった。


勢いがありすぎてベイルが頭だけでなく上半身が沼に埋まる形になってしまったのだ。


そして足だけがかろうじて見えている状態で正直とんでもなく不恰好となってしまった。


流石にそのままにしておくのも気がひけるため早目に魔術を解除する


そうすると、うつ伏せになっただけのベイルが現れるが


その瞬間、後頭部に手を乗せ顔を上げる前に抑えつけ魔術を放つ



「響ク震紋」


ドゴン!


と鈍い音がし、手を離すとベイルの顔が血まみれになっていた。意識はないが生きているだろう。


流石に殺す気はないからな。


「また私の勝ちだな、おぼっちゃん」


こんなもんだな


今までの決闘では剣技でしか勝負してなかったから、今回もそうだと思っていたんだろう。魔術もそこそこ使える俺に強くなったからって剣技だけで挑もうとするかこうなる。


それに性能の良い武器をもってても使いこなしてないと、逆に枷となる良い例だろう



女共は呆然としている。


うん、静かで良い。


よし!すっきりした!!


しかし運の要素が多い戦いだった。


こりゃ俺も魔剣とか呪剣とか持ってないと勝てんな。

主人公マジで小ざかしいです

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