表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

十年越しの告白

作者: 結城 からく

 二十二時三十八分。

 駅前の居酒屋で、私と白石君はビールジョッキを掲げていた。

 互いのジョッキを打ち合わせて私は笑う。


「かんぱーい!」


 冷えたビールをぐいっと呷る。

 口の周りを泡だらけにして、私は「ぷはぁ」と言った。

 白石君も美味しそうにビールを飲んでいる。


 私はテーブルに頬杖をつき、上目遣いに見つめながら尋ねた。


「でもよかったの?」


「何が?」


「同窓会の二次会だよぉ。みんなに会うの久しぶりでしょ」


「お前が二人で抜けたいって言ったんだろうが」


「あはっ、そうだった!」


 私は大笑いしてまたビールを飲む。

 近くを通りかかった店員さんに二杯目を頼んでおく。

 この調子だとすぐに飲み干しそうだった。

 おつまみのチーズをかじりつつ、私は白石君に謝る。


「ごめんね、大人数ってそんなに好きじゃなくて」


「気にすんな。俺も落ち着いて喋りたかったし」


「やったー」


 私がジョッキを掲げると、白石君は苦笑して乾杯してくれた。

 二杯目のビールが届いたところで、私は深呼吸をする。

 頬が赤くなるのを感じながら、意を決して切り出す。


「……ねえ」


「何?」


「高校の時、好きだったんだよね。白石君のこと」


 白石君は少しびっくりした顔になる。

 私は誤魔化すようにビールを一気飲みした。

 そのまま二杯目も空にすると、ジョッキをテーブルに置いて喚く。


「もしもあの時、告白していたらなぁ~っ!」


「――別に」


「ん?」


「別に……今からでも遅くない、と思う……けど……」


 白石君が照れ臭そうに目をそらす。

 私は胸が高鳴るのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ