世界は終焉を待ち望んでいる
「フッ……また俺の中の“もう一人の俺”が暴れようとしている……」
放課後、曇り空の下。
黒崎竜也は、制服の上着を羽織り、左目ををそっと撫でた。
今日も彼は「中二病」として、周囲の生徒たちから奇異の視線を受けながら歩いていた。
「おい見ろよ、また始まったぞ。」「“邪眼の使い手”だっけ?アイツほんとヤベェな……」
そんな声も、彼にはもはや届かない。
「俺の左眼、《虚無殲葬眼》が目覚めかけている……抑えねばならぬ……」
――と、厨二ポーズをキメながら、交差点の真ん中へ。
その瞬間。
――ドンッ!
鈍い衝撃音とともに、彼の意識は暗闇へと堕ちていった。
深い闇の中、竜也は目を覚ました。
「……ここは……?」
身体は軽く、周囲には巨大な樹々と美しい青い空。まるでファンタジーゲームのような景色が広がっている。
そして、脳裏に響く謎の声。
>【転生を確認。認証:黒崎竜也。】
>【固有スキル:《虚無殲葬眼》《????????》を付与】
「……っ!!ついに、俺の時代が来たというのか……!?」
彼は、目の前に浮かぶステータスウィンドウを見て、震えた。
彼はゆっくりと立ち上がった。
風が吹き、白髪が揺れる。
「この世界――エルファビア……」
「俺の《虚無殲葬眼》が、真の力を解き放つ時だ。」
その瞳には、確かに「魔法の力」が宿っていた。
──そして、彼の目の前に現れたのは、異形の魔物。
「名乗れ、外道……いや、貴様ごときに名乗る必要もあるまい。」
達也は右手を掲げた。
「ブラックファイア(黒き焔)……!」
空が割れ、魔法陣が展開される。
「この世界は、俺が終焉らせる。」
その言葉と共に、彼の異世界での物語が、静かに幕を開けた。