悪役令嬢転生を肯定します!(YES!悪役令嬢)
「では、さようなら」
「もう2度と合うこともないでしょう」
「ま、待て」
「衛兵ーッ!」
「この女を捕らえろ!」
私はいい感じのところに死に戻っていた!
よし、ここからはもう役に入りきろう。
前世で読み込んだ悪役令嬢物の知識を活かすのよ。
と思ったのだけれど私は悪役令嬢物をまったく読んだことがなかった……。
女神様のような方は女性向け作品のメインキャラクターとして登場しにくい。
だから私はまったく読んだことがないのだ!
「仕方ないわね」
「まずは全員殺しますわ~」
そこからは阿鼻叫喚の嵐だった。
私は女神様がくれた無敵の聖剣を持っていたので、なるべくカッコいい剣舞を意識しながら衛兵たちをなます切りにしていく!
宮廷魔法師が打ち込んでくる魔法も聖剣を振りかざせば簡単にかき消すことができた!
「きゃ~」
「フレグラちゃんカッコいい~」
女神様が喜んでくれている!
とても嬉しい!
気付けば宮廷の中で息をする生き物は第1王子だけとなっていた。
「き、貴様……い、い、いったい」
「な、な、何者だ!」
「私ですか?」
「みんなそれを知りたがる」
「ですがそれを知るものは誰一人としていません」
「私の愛する女神様を除いて」
キマった……。
女神様への愛を最大限に強調しつつカッコよさも両立した完璧なセリフだ。
「きゃ~」
「フレグラちゃん最高です~」
女神様に高評価だ!
天にも昇る気持ち……!
「わ、わ、分かった!」
「貴様との婚約を戻してやろう……!」
「だ、だから命だけは……!」
この男もなかなか小物として良いセリフを持っているわね。
「では貴男に私の正体を教えて差し上げましょう」
「ほ、ほんとか!?」
「私は貴男に──」
私は最高にカッコいいセリフを口にしながら第1王子の顔面に聖剣を突き刺した。
「婚約破棄された悪役令嬢」
キマった……。
最高の処刑セリフに違いない。
「きゃ~」
「フレグラちゃん最高の悪役令嬢です~」
「嬉しいから今カノ1人目の住所教えてあげますねぇ」
やった!
これで1人目をぶっ殺せる!
「私の今カノがいるのは──」
「貴女のすぐ後ろ」
女神様が言い終えた刹那、私の胸を刃が貫いた。