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悪役令嬢転生を拒否します!(STOP!悪役令嬢)

私こと佐和田山薫子(さわだやまかおるこ)34歳独身引きこもりニートは実家の階段から足を踏み外して死んだ。

「あら、可哀想」

「可哀想なので悪役令嬢に転生させてあげますね~」

「えぇ……嫌なんですけど」

私はいま転生者を管理すると語る女神様と会話をしている。

「そんな何事にも消極的な態度だから貴女は万年ニートだったんですよ~」

「そんなことありません」

「私は選ばれた人間なんです」

「いつか小説家として成功してお金持ちになって百合ハーレムを作る運命(さだめ)を持った人間なんです」

「そんなにすごい文才をお持ちならもっと行間を空けて読みやすい文章にしてくださ~い」


「こうですか?」


「やればできるじゃないですかぁ~」

「その調子で悪役令嬢もがんばってくださいね~」


「嫌です!」


「どうしてぇ?」

「貴女が34歳独身引きこもりニートであまりにも可哀想だから~」

「今ならチート能力も逆ハーレムも付けちゃいますよぉ」

「あと異世界の王子様に鬱憤をぶつけたり、追放した勇者パーティを見返したり、しなくていいんですかぁ?」


「私は女神様に惚れました!」


「あらあらぁ」

「そんなこと言われても困りますよぉ」

女神様はピンクのふんわりとした長髪で目が細くって胸が大きくて背が高くて神々しい雰囲気で母性もあって、まさに私にとって理想の女性だった。

「興奮してるせいか知りませんけど読みにくくなってますよ~」


「はっ!」

「あまりにも女神様が好みの見た目すぎて、つい……」


「あなたは見た目の話ばっかりですねぇ」

「もっと私の内面を評価してくれないんですか~?」


「だって今、会ったばっかりですし……」

「だからいっしょに異世界を冒険して」

「もっと女神様のことを知りたいです!」


「それならもっと私がいっしょに冒険したくなるように口説いてみてくださ~い」


「うーん……」

「私って、じつは父子家庭でお母さんがいないんです……」

「だから母性のある女性に惹かれるようになったと思うんです……」


「うわぁ、口説いてと言ったのに同情を誘って私を落とそうとするなんて最低の女性(ひと)ですねぇ」

「でもあんまりにも可哀想だからいっしょに冒険してあげますね~」


「やったー!」


 私は思わず女神様に抱き着いた。


 女神様の体……やわらかい。


 私がその感触を堪能していると……女神様も私の背中に手を回して抱き返してくれた。


「じつは私も女の子が好きなんです~」

「私はね、悪役令嬢が大好きなんですよぉ」


「……はっ、女神様は趣味で転生者を悪役令嬢にしているのですか!?」


「そうですよ~」

「だから貴女も私と相思相愛になりたいなら悪役令嬢になってくださいね~」

この人いま"貴女も"って言った!

他にも相思相愛の悪役令嬢がたくさんいるんだ!!!

そんなやつら全員ぶっ殺してやる!!!!!!!!!!!!

「だれでも即殺できるチートもください!」


「落ち着いてくださ~い」


「はっ!」

「また文章が読みにくくなっていた……」


「残念ながら私には12人の今カノがいます~」

「私の本命になりたいのなら貴女はその子たちを全員殺さないといけません~」


「いいですとも!」

「すぐに私をその子たちの世界に転生させてください!」


「でも私がいっしょに冒険してあげる代わりに~」

「チートも最大レベルもハーレムもなしですよぉ」


「そ、そんな……!?」

「でも女神様がいっしょならそれでOKです!」


「うふふふ……貴女は勢いがあって面白いですね~」

「面白いから1個だけチートあげちゃおっかなぁ」


「女神様といつでも念話できるチートがほしいです!」


「ふふっ、そんなに私のことが好きなんですねぇ」

「嬉しいから、もう1個チートあげちゃおっかなぁ」


「女神様をどんな魔の手からでも守れる無敵の聖剣がほしいです!」


「ふふふっ、そんなに私のことが好きなんですねぇ」

「嬉しいから、もう1個チートあげちゃおっかなぁ」


「女神様に快適な冒険をしてもらうための万能キャンプ機能がほしいです!」


「ふふふふっ、そんなに私のことが好きなんですねぇ」

「嬉しいから、もう1個チートあげちゃおっかなぁ」


「女神様に仇なす敵を即殺できるチートがほしいです!」


「ふふふふふっ、そんなに私のことが好きなんですねぇ」

「嬉しいけど、もう1個チートあげませ~ん」


「そ、そんな……!?」


「私はね、期待を裏切られて絶望した女の子の顔も大好きなんですよぉ~」


「うわあああぁぁぁ……」

「女神様と思ったら邪神様だった!」

「でも邪神様が可愛いからOKです!」


「流石、薫子ちゃん~」

「もう私の正体に気付くなんてすごいですねぇ」

「私がじつは邪神だっていうのは物語の後半のびっくり要素として」

「いつも取っておいて今までにも数多くの悪役令嬢を絶望の底に突き落としてきたって言うのに~」女神様が私の名前を読んでくれた!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!うれしい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!「名前呼んだだけで私が今カノがいると分かったときよりも昂ぶるのやめてくださ~い」


「はっ!?」

「それよりもナメないでください!」

「これでも私はいつか百合ハーレムを作るほど成功する小説家なんです!」

「大体のフラグや展開は脳内に織り込み済みです!」

「でももう百合ハーレムはいりません!」


「いいんですかぁ~?」

「今なら悪役令嬢になって聖女の百合ハーレムが作れちゃいますよぉ~?」

「悪役令嬢×悪役令嬢のルートだってあるんですよぉ~?」


「いりません!」

「女神様と一生いっしょにいます!」

「結婚してください!」


「も~、仕方ないですねぇ」

「結婚してあげるから手を出してくださ~い」こ、これはまさか!?!>!>!>!>!>>!>>>>????!?!?!?!?!?!?!???!???!??????????!??!!?

「そうですよぉ~」

「いまから女神印の結婚指輪をはめてあげますね~」いいいいいいいいいいいいいいいやあああああっっっったああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!「うるさいので落ち着いてくださ~い」


「はっ!?」

「ごくり……」

「じゃ、じゃあ……」


 そう言って私は女神様に手を差し出す。


 すると女神様は美しいピンクゴールドの指輪をはめてくれた。


「も、もう死んでもいい……」


「いいですよぉ?」

「死んじゃっても?」

「もう死ねませんけどね~」


「はっ!?」

「まさかこれは死に戻り機能が付いた指輪!?」


「当たりで~す」

「うふふ……いまどんな気分ですか~?」


「最高です!」


「死ねなくなったのに悦んじゃってお馬鹿さんですねぇ」

「あと文章が読みにくくなるので興奮したときでも文章が乱れない機能も付いてます~」


「そ、そんな機能まで……」

「女神様、大好き!」


 私はもう1度、女神様に抱き着いた!


「うふふ、私もお馬鹿さんな貴女が大好きですよぉ」


 女神様も私のことを抱きしめ返す。


「あ、あの……女神様のお名前を教えてください……!」


「ダメで~す」


「そ、そんな!?」


「貴女が12人の今カノを全員ぶっ殺して」

「真の今カノとなってくれたら私の真名(まな)を教えてあげますね~」


「最高のクリア報酬です!」

「流石は女神様!」


「うふふ……私をナメないでくださいね~」

「何百人もの悪役令嬢を希望という餌で釣り上げて絶望の底に落として遊んできたのですから~」


「流石は女神様!」


「うふふふ……あなたはなんでも褒めてくれるから嬉しいですね~」


「女神様ほど素晴らしい邪神はいません!」


「それは褒め言葉になってませんよ~?」

「ムカつくから手足を落としちゃおっかな~」


「女神様の体に抱きつけなくなっちゃうからやめてください!」


「あらあらぁ、そういうことなら手足残してあげますね~」

「その代わり、右目は潰しちゃおっかなぁ~」


「女神様のお姿が見えなくなっちゃうからやめてください!」


「あらあらぁ、そういうことなら目は残してあげますね~」

「その代わり、耳は潰しちゃおっかなぁ~」


「女神様のお声が聞こえなくなっちゃうからやめてください!」


「あらあらぁ、そういうことなら耳は残してあげますね~」

「その代わり、ベロは切り落としちゃおっかなぁ~」


「女神様の体が味わえなくなっちゃうからやめてください!」


「あらあらぁ、そういうことなら恥ずかしいから切り落としちゃいますね~」


「あガッ!?」


 その瞬間、私の口の中が血で染まった!





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