対峙再び
「祐葉!雪姉ぇ!!」
到着したぼく達はすぐに2人に声をかける。
するとそこには、傷を負ったぼくらと同じくらいの男の子を介抱する雪姉ぇの姿と、
肉食動物と思しき頭蓋骨が顔全体を覆った明らかに異形な姿をしたあの時の獣人対峙する祐葉の姿があった。
「チッ! またテメェらか。せっかく獲物を手に入れたと想ったら邪魔しやがって!」
低く、不機嫌な声で話す異形の化け物。顔は頭蓋骨で覆われて表情は確認出来ないが、イラついてるしてるのが伝わる。
祐葉、恵里菜、ぼくの3人はそれぞれ武器を構える。
「かァ〜めんどくせぇな。仕方ねぇ、テメェらの相手は腹ごしらえしてからたっぷりしてやンよォ!」
そういうと獣人は大きく後ろへ飛ぶと、両手を交差するように合わせると、あの時とは比べ物にならないほどの大きな赤い球体が現れる。
「またあれが来る! みんな避けて!!」
あの球体を弾くことが出来るのはこの中だと雪姉ぇだけ。だけど雪姉ぇは今 負傷した男の子を介抱している。今のぼくらでは打つ手がない。
「喰らいなァ!!!」
バンッッッッッッ!!!
「くぅっ!!」
ぼくらは左右に散りどうにか避けるも、また大きな衝撃波に吹き飛ばされる。
そして獣人は木から木へと飛び移り去っていった。
「待て ! 逃げんなテメェ!!」
「落ち着いて祐葉。今はこの子の手当てを優先しましょう。もう町にも着くし、アイツの相手はする必要は無いわ」
そういって雪姉ぇは男の子をおぶった。
どうやらさっきの衝撃波は自分の斧でガードしていたようで、負傷した男の子共に無事だった。
男の子は意識を失っているが、色んな箇所にすり傷や打撲の痕が見られた。
一体この場所で何があったのか······。
分からない。分からないけれど、ぼくらはこの子を守れた、ということで良いのだろうか····?
そんな気持ちを抱きながら、ぼくたち一行は傷を負った男の子と共に町へ向かった。