依頼の全容
「また恵里菜のお陰でどうにかなったわね」
「えへへぇ〜。もっと褒めても良いんだよ雪姉ぇ?」
「調子に乗りそうだから遠慮しておくわ」
ぼく達は現在《《居間》》にいる。そこで今、西条さんが先程言っていた洋子夫人と相対しているのだ。
ぼく達がしたのはうがい。『ここ』で待っていると案内されたのは厩舎の馬。ここから出すひらめきは、『《《う》》が《《い》》』、つまり『う』を『い』に変えること。つまり、『ここ』で待っているというのは、馬の『う』を『い』に変えて《《いま》》、《《居間》》にいるということになる。
今回も恵里菜のひらめきで助けられたけど、仮にぼく達がこの答えを捻り出さなければ一体どうするつもりだったんだろうか。そんな気持ちを各々が持ちつつ、ぼく達は洋子夫人に挨拶をした。
「お初にお目にかかります。私はこの館の住人であり今回の依頼人、洋子と申します」
そう言って上品に礼をする洋子夫人につられてぼく達も頭を下げる。
「今回の依頼については把握かと思いますが、改めて申し上げます。ひと月程前に主人が亡くなり、奇妙な遺言状を遺した事から他国にいた主人の親戚たちが遺産目当てで立ち入った際に獣人によって殺害されてしまいました。今回あなた方には、その獣人の討伐をお願いしたいのです」
「えっと····奇妙な遺言状······?」
ぼくの質問に洋子夫人は「はい」と答え、1枚の手紙をぼく達に差し出した。
そこにはこう書かれていた。
『全ての謎を解き明かした者に、私の財産の全てである、《《黄金の光果を与えよう》》』
「黄金の光果······?」
「えぇ。主人の親戚たちはその黄金の光果は金銀財宝に違いないと、館の中や果てや国中を探し回っていた所にじゆに出くわしてしまいました。今回出来ることならその黄金の光果についても突き止めていただきたいのです。私個人としては黄金の光果について興味はありませんが、勝手に館を荒らす親戚たち、増してやそこに獣人まで入ってきたとなると、もう私共の手には負えません。ですので、どうかご協力を」
夫人の頼みをぼく達は受け入れることにした。これから宝探し的なのが始まるのだろうか?
「何か謎を解き明かしながら真実を突き止めるって、トレジャーハンターってっぽくて良いねぇ〜!!」
「アンタは解けてるから良いけど、思いつかなければ一生その場で足踏みよ」
雪姉ぇの意見には同意だ。実際のところ、ここまで恵里菜なしでは間違いなくたどり着けていないのだから。
それに執事の西条さんと言い、1ヶ月前に亡くなった館の主と言い、この国の人たちは謎解きを出すのが好きなのだろうか。
ぼく達への初めての依頼は、ちょっと奇妙な謎解き討伐、そしてお宝探しになりそうだ。




