試されるぼく達
ぼく達は早速依頼主が住む館へと向かった。
そして館の執事を名乗る者がぼく達を出迎えてくれた。
「初めまして。あなた方が研究所から参られた獣人の討伐隊ということでお間違いないでしょうか?ありがとうございます。私はこの館で執事をしています西条と申します。以後、お見知りおきを」
西条さんはそう言って深々と礼をした。
黒のタキシードをビシッと着こなしていて、白髪の髪をオールバックにし、立派な口ひげを生やしたとても丁寧でキチッとしていそうなおじいさんだった。
「依頼主であります洋子夫人がお部屋でお待ちです。これより皆様をご案内させていただきたい所ではありますが───」
「ますが?」
「問題です。早朝が2日、明日が2日、今日が1日の時、『昨夜』は何日になりますか?」
「「「「「············はい?」」」」」
ぼくらは面食らった。いきなり突拍子もないクイズのようなものを出せれたのだから。全く持って意味が分からない。早朝と明日が2日で今日が1日······どういうこと?全く分からない······行きたい何の話を──────
「1日?」
急に恵里菜が口を開いた。
「ほぉ、理由をお聞かせいただけますか?」
「え〜っとぉ、早朝と明日は漢字で書いた時に、『日』って漢字が2つ入っててぇ、今日は1つ。で、昨夜は漢字で書くと『日』って漢字は1つだけだから、1日!」
「「「「あーーーーー!!!」」」」
恵里菜以外のぼく達は声を上げた。そうだ、確かに言われてみれば!よく気が付いたな恵里菜····。
「正解です。素晴らしいひらめきをお持ちのようですね。あなた方は合格です。それではこれより洋子夫人のもとへご案内いたします」
そう言って歩き出す西条さんにぼく達は続く。
でも何でぼく達を試すテストがこんなひらめき問題みたいなものなのだろうか····?
ぼくが疑問に思っていると、西条さんが口を開く。
「申し忘れましたが、入る前に皆さんうがいをお願い出来ますか?それからご案内致します」
ぼく達は言われるがままに近くの洗面所でうがいをして、西条さんの後に続いた。
「雪姉ぇ、一体これってなんの意味があるんだろう?」
「私が聞きたいぐらいよ。こういうのな私は苦手だわ。にしても、恵里菜があんなすぐ即答するなんて」
ぼくの質問に雪姉ぇは軽く頭を抱えながら返事をする。確かに恵里菜にあんなひらめき能力があったのは正直ぼくも意外だった。人の潜在能力?みたいなのは思わぬ所で発揮されるものだなぁとちょっとしみじみ感じた。
「っていうか、依頼主の元に案内するって言うから、てっきり室内かと思ったが、何でオレ達は外へ歩かされてるんだ?」
「祐葉、さっきみたいに何かもう始まってるかもしれないぞ」
澁鬼の考えにぼくも賛成だ。また何か問題を出してくるかも。そもそもこれに何の意味があるのかはまだ分からない。
そしてぼく達は館からすぐ近くにある厩舎に案内され、そこには大きくて立派な馬が1頭繋がれていた。
西条さんはその馬を撫でながら、ぼく達へまたしても訳の分からない言葉を
口にした。
「洋子夫人はここでお待ちです」




