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合格者、不合格者。

「佐斗葉! 佐斗葉!!」

揺さぶられながらぼくは目を開ける。

「恵里菜····?」

「良かったぁ····佐斗葉······!!」

ぼくは恵里菜に抱きしめられる。柔らかい感触と、温かい匂い、そして恵里菜の眼から流れるひと筋の涙がぼくの頬を伝う。

「おめでとうございます。立伏佐斗葉 様。あなたは見事合格です。」

声のする方を向くと、柚月さんが優しい笑顔でぼく達の前へと近寄ってきた。

「この回廊での試験は、人間が抱える心の葛藤、心的外傷《PTSD》を自身の敵として映し出します。その対象を屈服させる事で、能力を得ることが出来ます。それは自身の心の傷と、正しい向き合い方が出来た事を意味します。人は誰しも心に傷を負いながら生きています。生きていれば、何かしら辛い出来事にきっと出会います。でもそれを力づくでねじ伏せるのではなく、その傷と真正面から向き合った上で、どうするのか。そこからは人によって様々ですが、悩みを自分の中に押し込むだけでは、解決も解消も出来ません。ストレスに対して正しい防衛が出来た人が、【異能】として昇華出来るのです」

「でもそれって、心に傷を負っていない人は、【異能】を開花させることは出来ないってことですか?」

「厳密に言えば違います。例えば過去を持たない産まれたての赤ちゃんなんかは異能は習得出来ませんが、例え心に傷のない人でも、何かしらのストレスになった経験はあるはずです。ですが、そういった方は上手く心の補填ほてんが出来ているんです。言うなればすぐに自分の状態に合った心の治療薬を用意出来ている方です。そういった方は先ほどの光に包まれても意識を失いません。人間以外にはあの光は効きません。私が唱えた光は、皆様が放ったらかしにした心の傷に差し込む光なのです」

「放ったらかしにした傷····」

ぼくは胸に手を当てた。今まで抱え込んでいたもの、見ないふりをして通り過ぎてきたもの、今なら、その全てを受け入れられる気がする。



まだ寝てる3人も多分いずれ目を覚ます。このまま全員が【異能】を獲得出来──────


パンッ!!!!!!!!



突如上から大きな柏手のような音が聞こえ、ぼくらは上を見上げる。

見るとそこにはアリーナ空間のような場に立つ詩枝南しえなさんがぼくらを見下ろしていた。

「これにて制限時間終了です。現在意識のある方たちは合格です。おめでとうございます。そして、目を覚まさなかった以下の3名は不合格です」


祐葉、雪姉ぇ、澁鬼くん。


3人はそれからしばらくして柚月さんが再び紋章を光らせた事で、ようやく目を覚ましたのだった。






合格者

──佐斗葉、恵里菜──


不合格者

──祐葉、雪嶺、澁鬼──


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