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ゆったり歩く冬の道

佐斗葉さとば佐斗葉さとば!!」

「あ、うん。ごめん、どうしたの?」

ぼくは隣から掛けられた声にゆっくり反応する。

「いやこっちのセリフなんだが····。急にボーっとし出して······」

見渡す限り一本の田舎道。近くでは野焼きをしているのか、ちょっと焦げた臭いがする。


「収穫は無かったけど、とりあえず二人にはすぐに合流出来そうだね」

ぼくが空を仰ぎ見ながら口にすると、「そうだな」と兄の祐葉ゆうばが相槌を打つ。

 横を歩く祐葉に視線を向けると、じっと広げた地図を見ている。ぼくはそんな兄に尋ねる。


「研究所までは、あと何日くらいかかりそう?」

「順調にいけば……3日ってところか」

「3日……もう少しだね。研究所に辿り着きさえできれば……」


 祐葉の眼光が鋭くなる。


「ああ。研究所に辿り着ければ……俺たちの村を滅ぼした“アイツラ”への対抗手段を手にすることが出来る」


 祐葉の憎悪の籠った言葉に、ぼくは胸が苦しくなる。

 十年前のあの日……ぼくたちの生まれ育った村は、彼らの――獣人たちの襲撃に遭い甚大な被害を受けた。


 村の大人たちは必死に抵抗したけど、彼らだけが有する『強大な力』の前にその辺にあった農具を持っただけの大人はただの獲物だった。

 しかし、ぼくたちの旅の目的地――研究所では、本来獣人だけが振るえる力の研究をしているらしい。研究所の被験者となれば、人間でも力に目覚めることが出来るのだとか。

 ぼくらは、今度こそ村を守れるように、その力を――


 ドゴォォォォォォォォォン!!


 ハッと、顔を上げる。地面を揺らすほどの大きな地響きと地を砕くような破壊音。ぼくたちの道行く先で、砂埃が舞い上がっていた。

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