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二川冬華の受難 その4

沖浦が人事課長との面談を終えた直後、社史編纂室内での会議室では秘書室長と二川を交えた報告会が行われていた。


「~~~、以上の話を課長から沖浦に伝え、本社を出ていくように誘導しました」

「この後二川に直接の接触を図ってきた場合は、何か処置は取りますか?」

「その時は二川さん、人事部か秘書室にすぐ報告してください。ただちに懲戒免職の動議をかけ、警察に接近禁止命令出してもらうように動きます」

「・・・・・・ありがとうございます」

「二川さんは今回のことで本当にお疲れ様でした。ひとまず沖浦からの接触を避ける狙いも含め、2週間特別休暇を出します。豊沢さんにも1週間休暇を出すので、しばらく静養してください」

「室長、ありがとうございます。他の秘書室の皆さんの力を貸していただいたことについてもありがとうございました」

「いえいえ、浦山さんからも「今回のことはようやった。後輩ちゃんをしっかり慰めとき」という伝言があるので、くれぐれもよろしく」

「・・・・・・あの、私個人のトラブルからたくさんの方に手数と迷惑をおかけして、本当にすみませんでした・・・・・・」

「二川さんが謝るべき点はありませんよ。沖浦は今回、化けの皮が剥がれた。剥がれたことによって、今まで隠れていた逸失利益や損失が小さくないものであることが判明した。・・・・・・まあ、豊沢さんとつながりあるあなたが絡んだから、むしろ判明が早まったと考えるべきかな」

「・・・・・・はい」

「沖浦との連絡手段を生かすか潰すかは二川さんにお任せします。とにかく身の安全は確保しておくように」

「はい。メッセージアプリだけなので、ブロックに設定しました。もう何も関わりを持ちたくありません」

「・・・・・・・・・・・・そうですか」

「家の場所は知られているの?」

「最寄り駅をしゃべったことはありますね・・・・・・」

「最寄り駅を変える引っ越しも必要かな・・・・・・」

「他に気がかりな点、質問等なければ報告会は以上で終わりましょう」

「「ありがとうございました」」




「冬華ちゃん。経理課まで一緒に行くよ。他の人への事情説明は私がやるから」

「先輩、ありがとうございます・・・・・・」


2人は連れだって経理課のフロアまで行った。

話好きの女性社員が先行して2人の元に寄り、豊沢から今回のことのあらましを聞いた。


「沖浦・・・・・・やってることは犯罪じゃないの」

「なんだろう・・・・・・あんなちらつかせやられたら泣き寝入りしかないってたかをくくったのかな・・・・・・」

「二川さん、大変だったね」

「皆さん、心配かけてすみませんでした・・・・・・」

「こちらこそ・・・・・・早い段階で止めてあげるべきだったかも。沖浦と別れた子は気づいたらやめてたって話、聞き覚えあったから。ごめんね」

「どうか、事情の共有については冬華ちゃんの名誉が極力傷つかない形でお願いしますね」

「そうですね」

「二川さん、私たちはまだあなたとは仕事したいって思ってるから、辞めてそのまま塞ぎ込むのは勘弁ね」

「ありがとうございます・・・・・・」


二川は同僚の温かさに涙した。




週明けの月曜、沖浦は異動を受ける旨を人事部に伝えた。


「本社を離れるとはいえ、向こうでもしばらくはあなたの噂が付いて回ります。いいんですね?」

「はい。禊ぎのつもりで働かせてください」

「わかりました。半年間は助勤扱いにするので、退職金受け取るならその期間内をおすすめします。せいぜい頑張って」

「はい」


沖浦はそのあとすぐ、安全管理部門の上司に異動を受ける返事をしたことを伝え、引き継ぎについて話し合った。それから2週間は自分のデスク周りの引き払いと仕事の引き継ぎ、自宅では引っ越しのための片づけに終始した。

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