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魔道皇子、精霊の愛し子になる  作者: サトム
三章 魔道王子、守るために戦う
27/28

魔道皇子、隠れ家に案内する

・このお話はフィクションでファンタジーです。

 今のアラステアの気分はマネージャーだ。タレント(ジークとロイ)を守りながら彼らの評判を上げ、彼らのプライベートを整える……実際のマネージャー業を知らないのであくまで想像上の勤務内容だが、たぶん間違っていないだろう。


 第三皇子の執務室を出入りできるのは限られていて、先ぶれのない訪問は誰であろうと断っていることは有名だというのに、学習しない人間というのは多いらしい。今まで皇位から遠く、変わり者の皇子に関わってくる人間など少なかったというのに、接近しようとする人間が増えたのである。「なんか久々に忙しくなったなぁ」と笑いながら仕事をしている護衛たちはこの状況を楽しんでいるようだ。

 騎士団を巻き込んで行われた魔導騎士との公開試合後、ジークを誘うべくひっきりなしに送られてくる手紙をさばき終えてアラステアは大きく伸びをした。


「大丈夫か?」


 気遣うジークが机の書類を片付けながら心配そうに頭を撫でてくるので、遠慮なく大きな手に擦り付けて甘えながら目を細めた。


「ん。このくらいはまだ平気。それより外に出られないことのほうがストレスだから今日は外出する。隠れ家に行こう」


 急ぎの書類にサインと手紙へと返信したアラステアは、着替えるために立ち上がったタイミングでヴァージルが残りの書類を回収する。


「了解。レスタたちは自由に出歩いているが、ジークはお前と一緒に缶詰になっているからな。次の手(・・・)を打つ前に少し息抜きをしてくるといい。ジークの部屋は用意してある」


 いざという時のためのシェルターの役割もあるので、連れていくなら早いほうがいい。今のところ皇帝の統治は盤石だが、なにがあるか判らないのが政治なのである。


「歩いていくから道を覚えて。何かあって私の対処が間に合わない場合はそこに逃げ込んでほしい」


 これは最悪な事態を想定した避難訓練なのだと暗に匂わせれば、濃紺の髪を揺らしたジークが少し驚いたように目を丸くした。


「その可能性はあるのか?」

「多分ない。でも『国のために第三皇子を切り捨てる』可能性はあるから」


 国を維持するために皇族(生贄)を切り捨てることは過去にもあった。かなり昔の話だが。それに政争に敗れれば精霊ごと排除されることもあり得ることを考えると、絶対安全な隠れ家を教えておいて損はない。とくにこの国に慣れていないのならばなおさらだった。


「ま、本来は冒険者稼業で利用する私的な家だから、気軽に使っていいからね」


 あとでジークの魔力を隠れ家に登録をしておくことと、冒険者ギルドにも顔を出したいし、長旅で消耗した武器防具などを本格的なメンテナンスにも出したい。そういえばジークの不足している衣類の買い足しや、夜会用の正装を数着ほど用意するのを忘れていた。


 帰国してからレスタたちの対応で精いっぱいで、余裕がなかったのだと思い知らされる。ここ数日もレスタを抱きしめて眠っていても彼と何気ない会話を交わした記憶がない。すでに十日を過ごして一度も皇都を案内もしていないという事実に愕然とし、知らんふりして部屋を出ようとしていたヴァージルを強い視線で引き留めた。


「……」

「……判った。今日はもう休みでいいぞ。一年間溜めていた仕事もあらかた片付いたし、確かに必要な物や冒険者稼業の後始末もしなきゃならないしな。護衛で俺も行くから、少し待ってろ」


 長い脚でさっそうと退室していく友人を見送ってから、レスタとロイの従魔環に暇なら隠れ家に行こうと連絡して自室にて着替える。そして精霊たちが合流するのをまたずにヴァージル、ジークとともに自室を出ると、皇城の浅い場所でとある貴族に絡まれた。


「これはこれは、第三皇子殿下。二年ほどお姿を見かけませんでしたが、ご無事でなによりです」


 男は侯爵家の人間なので皇族にあいさつをする資格は持つが、確か彼は代理当主だったはずだ。末席とはいえ現皇帝の息子に皮肉を言えるほど重要人物ではない。それに二年ってなんだ。私がレスタを迎えに行く前は普通に公務を行っていたし夜会にも出席していた。ただお前が侯爵代理ですらなかったために姿を見る機会がなかっただけだろう。


「……アディントン侯爵代理(・・)。あなたの兄のアディントン侯爵は相変わらず辣腕を振るっているようだな」


 一応皇族の一員なので国に大きく関わる貴族や騎士団、商会などの人材状況は頭の中に入っている。アディントン侯爵は優秀な人物で、隣国に大使として赴任しているのに彼の評判はよく耳にしていた。逆に代理当主である男は可もなく不可もなくといった評価だったが、最近はよくないうわさが聞こえるようになってきていた。

 皇帝と同じ年代だが、頭髪が薄くて腹が出ている小柄な侯爵代理は汗を拭きながら、ヴァージルとジークを見て薄ら笑いを浮かべる。


「殿下は平民(・・)を側近にしておられるのですね。どれだけ信用されているかは知りませんが、皇族に連なる方がご自分の好みだけで一部の人間のみに信用を偏らせるのはいかがなものでしょう。私を含めて本当に信用のおける者はたくさんおりますよ。それに皇族ならば国にいるすべての民を信用するべきではないでしょうか」


 へらへらと笑いながら進言してくる男を見下ろしたアラステアは、怒りを腹に溜めつつもしばらく考えてから言葉を返した。


「侯爵代理(・・)はずいぶんと心が広いようだ。皇族とはいえ命をかけて自分を守る者と、自分の命を狙うような者を平等(・・)に信用することはできないよ」

「私が殿下の命を狙ったとでも言いたいのですか! 少しでも殿下の不評を買った者は二度と信用することはないということですね!」


 アラステアの言葉を拡大解釈して騒ぐ男に、周囲の人々の視線が集まる。国の中枢である皇城で大声を出して騒げば、たとえ自分に非がなくても悪目立ちするのは当たり前だ。そしてなぜこんなバカげた騒ぎを起こすのかという疑問と、ああ、これがやりたかったのかという正解を同時に理解したアラステアはスッと片手を上げる。


 黙れの合図に騒いでいた男が口を閉じた。男の視線が誰かを探しているかのように泳ぎ、目が血走り、額に汗をかいているのを見てため息を吐いたアラステアは、背後にいたヴァージルが気配もなく移動したのを感じる。


「私は『皇族』の誤った認識を語った代理(・・)に、本当の『皇族』の立場を教えただけだが? それに先ほどの言葉は自供ということでいいのかな?」


 大なり小なりアラステアに害を与えようとする動きは少なくはない。犯人や依頼人が判明するものもあるが、一部は不明のままだったりするのだ。だからそれはお前の仕業か?と逆に代理の言葉だけで問いかけると、男は迎えの来ない迷子のように口を開閉させてながら息を詰める。


「誰を待っているのか? あなたを迎えに来る王子さまでもいるんだろうか」

「……っいや、あの……」

「それに……」


 魔導具での録音の小細工がないのを確認したアラステアは、代理に顔を近づけて彼にだけ聞こえるようにささやいた。


「自分の命を守ってもらうのに、実力のない貴族騎士より、実力のある平民騎士のほうがいいに決まっているだろ。同じくそばに置くなら無能な側近より、有能な側近のほうがいいよね。私も、あんたの待ち人も」


 おそらくこの騒動を企てた人間は、この男を釣る餌に侯爵代理を終えたら側近にするとでもちらつかせたのだろう。万が一、アラステアが部下に取り立てたとしても、情報を流すように言われていたに違いない。


 企てた人間に心当たりのあったアラステアが大声では明かせない本音とこの騒動の裏をささやけば、返事を待たずに歩み去る。多分何も気づいていないジークが無表情のまま後に続き、どこかで何かをしてきたらしいヴァージルが薄い笑みを浮かべて合流した。


「こちらに来ていたのは中立派の貴族だ。対処はどうする?」

「ん~……噂だけ流してもらおうかな。『自分は無能だけれど重用しろ、と皇族に訴えた男がいる』って感じで」

「了解。どのレベルまで?」

「貴族だけでいいよ。出たとしてもどっかの当主代理が私から『根も葉もない暗殺未遂の疑いをかけられた』程度の噂だろうし、実際はもっと話を大きくする手筈が失敗したんだ。本当なら無視してもいいくらいだよ」


 裏口に向かいながらいくつかの指示をだすと、目つきの鋭い細身の男がジークに丁寧に頭を下げた。


「ジーク。悪いが殿下の護衛を頼みたい」

「任せろ」

「いいか、アラステア。ジークはまだ正式なお前の護衛じゃない。それにこの国にも慣れていないんだから無理をさせるなよ」


 心配性な侍従兼護衛の言葉にひらひらと片手を振り、城外に出る。空気を読んで先ほどの騒動をスルーしてくれるジークには感謝しかない。誰しもが貴重な休みを、馬鹿げた政争の話でつぶされたくはないのだ。

 いまだ精霊たちが合流しないので珍しくジークと二人きりだったが、皇都の大まかな説明をしたり、自分たちがよく利用する店の話をしながら隠れ家に向かった。


 商業区と住宅区の外れ、少し広めの住宅や小さな商店が並ぶ一角にアラステアの自慢の家があった。頑丈な金属の柵がぐるりと取り囲み、庭は一年放置していたせいで草が伸び放題。薄い茶色の壁と白いドアと窓枠、黒い屋根という少し大きいが普通の一軒家だ。

 道から玄関まではヴァージルが手を入れたらしく、獣道のような細い一本道が石の階段まで続いていて、二段ある階段を上ると屋根のついたエントランスに二つのドアが並んでいた。


「カギは魔法錠だからあとで登録する。ドアノブの上のここにタッチすると防犯魔導も含めて解除されるから、中に誰かいても必ず触るようにしてくれ」


 そういってドアを開けると、みっちりとした重さのあるダークブラウンの木の床と白壁の優しい雰囲気の室内にジークを招き入れる。入ってすぐに大人が三人並べるほどの幅の廊下が奥まで続いていて、少し先の両側の壁にドアが二つ、一番奥にドアが一つあるだけのシンプルな作りになっていた。


「この床は靴を履いたままで入っていいから。絨毯の敷いてある場所は靴を脱いでね」


 そして入って右側のドアを開けると、ソファとテーブルや落ち着いた雰囲気の応接セットがしつらえてあり、大きな窓には華やかな刺繍の緑のカーテンと草木をモチーフにしたレースのカーテンがかかっている。


「ここは来客用の応接室。で、反対が冒険者の道具置き場とか手入れする部屋だよ」


 反対側のドアを開ければ細かく区切られた棚と装備や武器を手入れするためのスペース、血や汚れを拭き取った後に捨てる気密性の高い大きなゴミ箱などが設置され、直接外に出るためのドアがもう一つあった。


「あとでジークの場所も作るから、護身用の武器を除いた道具はここで管理してほしい。この部屋専用の防犯の魔道も敷いてあるから、最悪の場合のシェルターとしても使える」


 入口から中をのぞいたジークが小さくうなずくと、最奥のドアへと足を向ける。


「ここからがプライベートルームだね。ここで靴は脱いで入ってほしい」


 この大陸では珍しい習慣にジークは小さく笑った。


「レスタの足を靴で踏んでしまうのがそんなに嫌だったか」


 自宅で靴を脱ぐ理由にすぐに思い当たったようで、大きな手で肩をポンと叩いたジークは千早が嫌がったことをしっかり覚えていたらしい。千早は長く過ごした森の小屋も入り口で靴を脱いでいたのだが、日本の習慣的には少し不満だった。


 ドアの先はブーツなどを脱ぎやすいように三十センチほどの段差と一部に十五センチほどの足場もある三メートルほどのスペースがあった。千早の世界の玄関に近い作りで、ブーツも収納できる大きな収納もある。室内の玄関があるという不思議な状態ではあったが、室内でも土足文化であるこの国ならではだと納得していた。


 十五センチの足場の上で靴を脱ぐと、段差に座ってブーツを脱いでもいいとジークに教えながらアラステアは一つだけあるドアを開ける。通されたそこはリビングだ。毛足の短いみっちりと目の詰まった赤い絨毯が優しく足裏を受け止め、部屋の懐かしい匂いにほっと息を吐く。


「我が家にようこそ。これからここがジークの家だよ」


 リビングは大人の男五人がくつろいでも十分な広さで、高価な透明ガラスの窓から柔らかな日差しが室内を照らしていた。薄いグレーのソファや黒のテーブル、モノトーンで統一された家具類が配置された落ち着いた雰囲気に、ジークは興味深そうに見まわしている。


 千早の時はクラウンベルド邸の一室を間借りしていたので、彼女の個性がまったくない部屋だったのを思い出しているのだろう。


「落ち着いていていい家だな」

「うん。私の好みをこれでもかと入れたからね。建ててくれた建築屋さんに面白がられたよ」


 千早の親は彼女が高校生になってから家を建てたので、彼らがどういったこだわりで間取りを決めたか知っていた。そして実際建ててみて、こだわった部分が想像と違う不便も見ていたので、いくつかほしい機能を伝えて、あとは建築屋さんに自由に図面を引いてもらったのだ。


「家具も私の好きにさせてもらったし、ジークも自分の好きな家具を入れてもいいよ。ほら、ヴァージルも自分の一人用ソファを入れてるし」


 足の低い卵を斜めに半分切ったような背もたれの広い一人掛けソファは、侍従兼護衛男性の専用らしい。


「で、こっちがダイニングキッチン。食事は基本的にここで。ここは絨毯がないからスリッパ履いてもいいし、素足でもかまわないよ」


 リビングのドアのない隣の部屋にTの字に配置されたダイニングテーブルとアイランドキッチンはすべてオフホワイトに統一されていて、魔動器具を使った最新式の設備が整えられていた。この部屋も窓とドアがあり、ドアは庭へと出ていくことができるが庭は荒れ放題で放置している。


「あとこっちがトイレとお風呂と階段と物置」


 キッチンとは反対側にドアがあり、開けると廊下といくつかのドア、そして奥に二階に上がる階段が見えた。


「なるほど。道具置き場の部屋の傾斜は階段だったのか」


 なんとなく部屋の配置が理解できたらしいジークと二階に上がると、一階とは打って変わってダークオークの深い色の床と同じ色のドアが廊下の両脇にと最奥にあった。


「一番奥は物置部屋だよ。手前からヴァージル、その隣が私の部屋。向かいの二部屋は空いてるから、好きなほうをジークの部屋にしよう」


 ジークは廊下を歩きながら二人の部屋には魔法錠がかかっているのを見る。プライベートは完全に守られる家になっているのだろう。精霊たちには無意味だが、レスタはともかくロイは機微を見るのがうまいので、今まで通りにうまく生活していけるだろう。


「防犯の観点からすればヴァージルの向かいの部屋がいいだろうな。ベッドに机、タンスとカーテン……とりあえずはそんなものか」


 間取りを確認しながら手前の部屋を無造作に開けて中を見ていたジークは、必要そうな家具をいくつか声に出してからアラステアに振りかえった。


「これから買い物に行けるか?」

「もちろん。この辺りの商店街とか近い冒険者ギルドに案内するよ」


 魔導の灯りが光る廊下で自分より背の高いジークを見上げると、水色の切れ長の目がじっとアラステアを見つめる。それからそっと大きな手で耳の下に触れると、伸びかけてきた髪にそっと指を通した。


「チハヤの時に何度か居場所がなさそうな、心細そうな表情が気になっていた。森の家に引きこもってからは判らないが、今は城もこの家も、ちゃんとアラステアのテリトリーになったんだな。安心したよ」


 戦っている時からは考えられないくらい優しい表情で笑うジークに、どれだけ心配をかけていたのかと落ち込みそうになる。

 ヴァージルあたりがいれば『これが前世からってちょっと重くないか?』とか言いそうだが、アラステアはジークがどれだけ千早を慈しんできたのかを知っている。しかも見返りを求めない彼の献身は、後見人のラスニールとも違っていたのだ。


「本当に千早は子供だったね。あの頃はラス様の別邸とエーレクロン王国が用意した森の家に住んでいたけど、気分的には親が用意した賃貸に仮住まいしている気分だったんだ。だけど、この家は私がお金を貯めて建てた私の家だからね。ここに入れるのは大切な人だけだよ」


 と言っても建てたのはここ数年の話だ。今まで入れたのはヴァージルと家具運びを手伝った次兄エグバートのみ。そこになんのためらいもなくジークを入れることを決めたことに、アラステア自身が驚いたくらいだ。


「俺は『大切な人』か?」


 楽しそうにほほ笑みながら問いかけてくるジークに、金色の目を細めてアラステアは断言する。


「当たり前だろ。ジークはレスタの騎士で、千早を救ってくれた私の大切な友人なんだから」

「アラステア~! 呼ばれてきたよ! レスタも一緒だよ~」


 これが男の友情か!と感動していると、階下からロイの元気な声が聞こえてきて、厳重な防犯魔道が敷かれている家の中に入ってきたのが判った。

 二人は一瞬顔を見合わせて、ジークは苦笑、アラステアは悔しそうに顔をゆがめる。


「くそ~。この術式でも精霊の侵入を防げないか……。いったいどういった原理で移動してるんだよ。今ならエーレクロン王国の魔道師長の気持ちがよく判る!」


 自慢の防犯魔道を軽く突破されて頭を掻きむしって悔しがっていると、小さく笑いながら背中を軽く叩いたジークに促されて、精霊たちのもとへを歩き始めたのだった。


【世界の裏話・お風呂文化】


作者「今日は異世界のお風呂文化についてです」

千早「水資源が豊富なのは助かるよね~。それに伴う災害とかもあるから、一概にどうとは言えないけど」

作者「エーレクロン王国は極端に汚れる仕事の人たち、例えば騎士や屋外従事者といった人たちが毎日入れるようになっています。それ以外の人たちは水をかぶって拭く、くらいですね」

千早「うん。おかげで香水がきつくて困る貴族も多かったよ。一度なんてすれ違っただけで咳き込んじゃったもん」

作者「シャムロック魔道帝国は公衆浴場やそれなりの一般家庭にも風呂が整備されているので、日本とそれほど変わらないかもしれません」

千早「シャワーじゃなくて打たせ湯みたいにお湯が落ちてくるのには笑ったけど」

作者「アラステア曰く、無尽蔵に水が使えるならシャワーより快適だそうですよ。どうせ使わなければ海に流れていくだけなので、水を節約する必要もないらしいですし」

千早「浄水とはどうなってるの? 温度は魔道でどうにでもなるだろうけど、川の水をそのまま使えないでしょ?」

作者「その辺りは国の衛生事業とかぶるんですが、いくつか段階を経ているのは日本と変わりませんね。大きな川の一部を引き込み、まずは大きなゴミから鉄柵で物理的に取り除いていきます。それから地下に潜らせると、魔道陣の描かれたいくつかの部屋を通って浄化される仕組みです。皇城や貴族の邸宅などはそこから毒や薬物などの浄化を施しています」

千早「え? 地下に水道管があるってこと?」

作者「金属でできた水道管ではありませんが、街道整備にも使われる土の魔導で固められていますよ。下水も同じ仕組みである程度の汚染を浄化してから海に流しています」

千早「それじゃあ、家の中でも水が使えるってことなのかしら?」

作者「はい。水道施設のない家のために、公共浴場や公共の施設で水を汲んでいくこともできます。ただ、日本のようにそのまま飲用することは勧められていません。少量なら問題ありませんが、なるべく熱を通したり、浄化するなどする必要があるようです」

千早「そういえばアラステアの入浴シーンは二回あったけど、皇族って裸を見せちゃダメだったんじゃなかったの? 二回目で普通に冒険者やジークとシャワー浴びててびっくりしたんだけど」

作者「あれはヴァージルとアラステアの意見の相違ですね。ヴァージルがいればあんなことをさせなかったんですが、ろくに睡眠の取れない依頼を受けた直後で疲れ切っていた上に、ヴァージルもいなかったのでああいった事態になりました(笑)。一応ジークも気を付けていましたよ」

千早「まぁ、ねぇ。私は普通に異性が好きだけど、だからといってすべての男の裸を見て興奮するかと言われればそうじゃないしね」

作者「ちなみにアラステアが初めて冒険者ギルドのシャワーを使った時の感想は『大きさも、色も、形も千差万別なんだね』でした」

千早「……(笑)」

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