やっちまったトルティー
「どうしてお昼食べた後は眠気が襲って来るのかな?眠気には神でも負けそう」
「はい」
返事をしたのは午後からいっちゃんと交代で入ったニッキーこと[第2天使]だ。いっちゃんと同じくニッキーとは正式な名前ではない。トルティーだけが勝手に呼ぶ渾名。なので彼女達は正式には名無しである。
ニッキー 彼女は無口で無駄な事は一切話さない。銀髪ショートで瞳は緑、見た目からしておとなしめな雰囲気が出ている。
だがトルティーは彼女の秘密を知っている。本人は必至に隠しているよだが見た目と反して他人のちょっとした失敗とダジャレ好き。ニヤリと音が聞こえて来そうな一瞬の悪い笑みをトルティーは目撃している。
トルティーは大きく背を伸ばす。ニッキーの前で居眠りをしても不思議な事に暫く起こされない。代わりに寝てる顔を近くで凝視していたと、いっちゃんから何度か注意と報告を受けた。ちょっと不思議ちゃんなんだよね。なので眠くても頑張るのだ。
「午後からの予定教えてくださいな~」
「はい。第1天使がトルデリアが王国にて以前から確保しておいた活動拠点の確認、また必要最低限の日用品、家具の準備、使徒を転移させるためのシンボル設置です。第1天使は既に出発済みです。使徒は10日~15日後に転送予定です。同じくトルデリア王国に情報収集に降りていた神人数名からの報告書が夕方に準備出来る予定になっています。 以上です」
「おっけー じゃ私の予定は?」
「ありません」
「あれれ、半日オフか~ じゃあ昼寝・・・・は勿体ないから私物の整理でましようかな~」
私物整理とは言ったが順調だったのは最初の30分ほど次第に飽きてきて手持ちぶさたになってくる。
トルティーには変わった趣味?特殊な物の収集癖がある。それは人形集めだ!普通の人形なら可愛らしいのだが、トルティーが好きなのは[ミミックに捕食中の動物人形] 足をミミックに捕らわれ顔と片手をあげ助けを求める猫。ミミックに耳を捕食され引きずり込まれ最中のウサギなどなど、大事なコレクションとして飾られている。
以前天使バージョンをいっちゃんにプレゼントした事があったが一瞬で消滅させられた。
「トルティー様、アテーネス様が此方にお越しになるようです」
「お姉ちゃんが?りょうかーい。お茶の準備お願いね」
「かしこまりました」
この前頼んだ勇者の事かな?など考えていると到着の知らせが届いた。
ーコンコンー
「トルティー様、アテーネス様をお連れいたしました」
「トルテちゃん遊びに来ましたよ!」
「お姉ちゃんいらっしゃい」
きゃっきゃっと手を二人で合わせ再会を喜んでいる。久々の再会を喜んでいるかの様に見えるが、先日もあっておりこの光景は毎度見られるものであった。少し落ち着きテーブルに移動しお茶を楽しむ。
「お姉ちゃんいきなりどうしたの?何か用事?」
「そそ、忘れるとこだったわ。この前会ったとき勇者に伝言を頼んだでしょ!あの子ダンジョンに居たみたいでなかなか連絡とれなくてね、今朝連絡ついて伝言伝えたよって報告にきたのよ」
「そうだったんだね。ありがとう♪でもこの平和なご時世にまだダンジョンなんか潜ってるんだね。洞窟フェチなんだね~」
「フフフ。管理されている所は良いけど、野放しの方は国からしたら危険だと思うし頼まれたんだと思うわよ。それより例の彼には会えるかしら?」
「まだパパの所だから今は会えないかな、意識を覚醒させるのも地上に降ろしてからの予定だよ」
「残念。会ってお願いもあったんだけどね」
「いや~彼特殊だから・・あれ?私が特殊にしたのかな?」
「なによそれ(笑)信仰の方は上手くいきそう?せめて3割ぐらいまで増やしてくれると嬉しいんだけどね」
「あはは、3割ぐらい今でもあるはずだよ~」
「・・・・」「ないの・・?」
「そこの天使ちゃん資料はある?」
アテーネスは少し呆れながら気配を消し壁と同化していたニッキーに問い掛ける。
「いえ。資料はここにはありませんが情報としてなら存じております」
「ではあなたの口から教えてあげてちょうだい」
ニッキーはテーブルの方まで移動し淡々と説明していく。
「では、現在大小13の国があります。アテーネス様を国境とし信仰を捧げている国の数は、[9国]です」
(残り4国だしやっぱり3割はあるよね。心配しちゃったよ)
安心した表情を見せているトルティー。少し笑顔も見せニッキーの話の続きに耳を向ける。
「一方トルティー様の方は、[1国]です「はぁ!?」です」
待ってこの子計算も出来ないの? 13-9=4ですよ!ニッキーさん?あれそう言えば降臨したのも一ヵ所だった・・・・でもあんなに歓迎してくれたよ?あれ?あれ?
「大丈夫?理解した? してないみたいね」
アテーネスが少し心配そうにトルティーを気遣う。
「あと3国は?」
間違いであって欲しいと悲壮な表情ですがり付くトルティー。
「はい。他3国では[精霊信仰][無信仰][初代皇帝信仰]などですね。ですが小さな村では今も2柱信仰が寝根付いて居ますので、トルティー様の信仰は[1割2分]ぐらいです」
「あう・・・orz」
「300年間まったく関われなかったのだし仕方がないわよ」
アテーネスが励ます様に声をかけるが立ち直る気配がトルティーから感じられなかった。ニッキーは特に気にすることなくまた壁になりに戻る。
「トルテちゃん?大丈夫よ。今回は使徒まで用意したのよ。3割なんてあっという間よ。私も協力するわよ」
アテーネスとしても世界の信仰が自分に集まっているのは良くない状況であり、何とかトルテに頑張って欲しいと必至で励ましていく。
トルティーは嫌な汗をかいていた。あの使徒・・・まずったかもしれない。トルティーの中で信仰は3割ぐらい今でもあり、彼と楽しく邪神ごっこしながらついでに国を豊かにしていく予定であった。だか現実は違った。信仰を2割増やすのは簡単な事ではない。信じて居た神を別の神に変える。ムリゲーだ。それに付け加えて、彼は魂が一部損傷していた。それは綺麗に修復した。それはいい。問題は強い思いが混ざりあった状態で修復・仕上げの魂の外部分をコーティングをしてしまった。[強い思い]それはあれだ邪神ごっこ・・・・トルティーは考える、何かないかと。
トルティーと邪神ごっこする分には完璧だ!そう考え創った。だか彼は絶対に勇者や聖者にはなれない!魂がもう邪神ごっこ仕様なのだ。なら残された手は・・・
「お姉ちゃん!!勇者と聖女ください」
見事な土下座をするトルデリア王国の女神トルティー。
苦笑いするアテーネス。
「いえ、ワガママは言いません。派遣、そう派遣でいいのです50年ぐらい!」
必至過ぎる妹の姿の若干引き気味ではある。
土下座する妹をなんとか椅子に座らせ事情を聞いていく。
「ーーーと彼の希望を叶える事でお互い納得し使徒となりました。」
最初は落ち込んでいながら説明を話していたが、[あの占いで1位]だったと話した頃から気分が高揚した感じで最後まで話していた。途中からアテーネスも呆れ顔を隠せなくなっていった。
「・・・・」
「それでですね!占いには[理解ある態度を見せるのが吉]とお告げがあったので彼の考えを受け止めたのです」
この子今あの占いの事[お告げ]と言いましたよね?・・・・ちょっとあの神達と話す用事ができましたね。
「そうそれで邪神・・・・って事になったのね。はぁー 世界征服って・・・・」
「わ、私は自分の事を神や邪神等と一言もいってませんよ!ただ彼がそう思い込み私に願っただけです」
「訂正もせず、邪神ごっこに混ざったトルテにも責任ありますよ!私は使徒まで用意しやる気になったのかと期待してたんでよ」
「えと・・・・ごめんなさい」
「まぁー今から何かを言ってもどうしようもありませんね。でも[ごっこ]で納まるように注意すること!」
「は、はい。でもね面白い機能も色々つけたんだよ」
「・・・・そこ詳しく教えてトルテちゃん!」
右手とね右目がね・・あそこも邪神並でね・・キャーそれは凄い・・破壊力が・・・・
ニッキーは知らぬ方が良いと目を閉じ聞かなかった事にした。
「そうそう忘れるところだったわ。信仰の事少しは改善される作戦があるんだけどトルテちゃん興味ある?」
「あります!使徒VS勇者とか大会開きますか!ヤラセで勇者負けてください」
「・・・・トルテちゃんそれはいけないわ!えっとね今世界中で困っている事があるのよ!それをトルテちゃんが解決すれば信仰も戻ると思うのよね」
「でも私難しい事出来ませんよ?」
「大丈夫よ!前にやってた事なんだしやれるわよ」
神々の話しは人間の知らない所で続いていく・・・・
☆いっトルコーナー☆
いっちゃん「とうとうバレてしまいましたね」
トルティー「最初から隠してはいなかったよ!信仰が誤算だったよ。ただそれだけー」
いっちゃん「信仰の事は仕方がありませんね。あと機能ってなんですか?」
トルティー「ふふ。まぁまぁそこはお楽しみだよ。ボタン1つで~みたいな?」
いっちゃん「本人の任意発動ではなく、本人は無視の遠隔発動!!ちなみにボタンは誰がお持ちで?」
トルティー「私だよ~」
いっちゃん「ですよね・・・・体調悪いので帰ります」
トルティー「????」