使徒の取り扱い説明書
「では、先程の続きからいきましょうか」
邪神軍の先輩イッチャン・ダンラブさんが戻ってきた。そう出掛けてから4時間経ったあと何気無いそうぶりで戻ってきてそのまま話し出したのである。
えっと、お出掛けの説明はなしですかね?まぁいいか、邪神側と人間側でそうゆう所も違うのだろう。馴染んでいかねば。
「そうそう、先程の名前が書かれた紙にミスがありました。私の名前はイッフェルです」
なんだろう凄く綺麗な笑顔で自己紹介されてしまった。イッチャン・ダンラブは間違いだったのか、ふむ、イッフェルさん覚えましたよ、先輩!!
「俺の名は・・・・覚えてないです」
「神界で初めて会ったとき魂が欠損してましたので、一部記憶の欠損はそのせいだと思われます」
「そうなんですか、た、魂大丈夫なんですか?」
さらっと恐ろしい事を言われ不安になってくる。魂って壊れるの?絆創膏貼っても治らないよね?血の気がどんどん引いていく・・・・
「魂はトルティー様がしっかり?と治(改造)してくれましたよ」
その言葉に安心感を覚えるのと同時に邪神様に感謝の念が溢れだした。
「名無しは困りますので、名前はこちらで用意させてもらいました。[ハリス・トラース]とトルティー様から与えるよう言付かっています」
「ハリス・トーラスですか、ありがとうございます」
その後はこの世界の事など教えてもらった。時間や年間の日数などほぼ地球と同じらしく問題なく適応できそうだ。お金の事も教えて貰ったが、まぁ使ってみないとなんとも言えないな。
ファミリーネームになるトーラス家は天界から任務で移住した子孫らしく、男爵の貴族号を持っており今回名前を貸してくれたそうだ。身元不明・過去の記録なしは、ある程度の文明では通じないと言う事ですな。ラノベと違い現実感ハンパないっすね。
神界?と混乱したので教えてもらった。文字通り神界は神と神に使える天使が住む世界で、天界は神人と神に直接使えていない天使が住んでるようだ。地上とは空間が違うみたいで専用の出入口があるとか。
気になったのが神人!人間を越える人種かと思えばそうではないらしい。進化の過程なのかわからないが、地上生活に順応出来なかった者を神の誘いで天界に移住したみたいだ。神が導いた人!略して神人と名称になった。神の慈悲を受けた神人は天界で物を作ったり神のお手伝いをして過ごしているらしい。俺の能力の1つもその神人が関わるのが有るそうなので詳しく説明してもらった。
トーラス家は長い年月の中で地上に対応できる様になった人達みたいだ。神の為に地上でお手伝いって事だな。トーラス家みたいなのは世界中に居るみたいで困った時は頼りなさいとイッフェルさんに言われた。
そのトーラス家だか、俺の架空の母親が当主と一夜の過ちで大当たり!隠れて俺を産みそのまま平民として育てられ、先月母の死を切っ掛けに母の形見から男爵の血筋が発覚した設定だ。言葉がわかるようになったさつきの指輪が形見だ。男爵家のお家騒動にも繋がる危険性があるので、家と多少のお金で手切れって感じらしい。うんで、イッフェルさんは少し年上の幼馴染みで、俺が心配で王都までくっついて来たのだ!幼馴染みゲット!設定だけど。
男爵当主(架空の父親)は2年前になくなってる事になってるが、今は天界で元気に過ごしているらしい。
ふ~む。知らないところで壮大な過去が出来てしまった。ちなみに俺は15歳らしい。身体もそれぐらいだと説明を受けた。イッフェルさんは前に見たときよりも少しわか・・き、綺麗になっている!18歳らしい。イッフェルさんは腰まで伸びてる黒髪に黒目!スレンダーな感じだ。俺は黒髪でなぜか目は赤いらしい。後で鏡をさがなくては。
15歳がこの国の成人で王都に住むには都合が良かったみたいだ。成人を切っ掛けに王都に出て来て働く人々が多いとか。
「今日はここまでにしておきましょう」
「はい。流石にこれ以上は覚えきれないです」
イッフェルさんがキッチンの方へ向かっていく。説明に使っていた本がテーブルの上に残されていた。黒い表紙で分厚い本だ。黒・・・・邪神軍に関わるの本なのか?何気無く置かれているのだ、表紙ぐらい見ても大丈夫だろうと横目で覗いてみた。
見たことに後悔した。本当に見なければよかった。
[ハリス・トーラスの取り扱い説明書・最強兵作りへの歩み]
俺の取説だった・・・・orz
まぁー 作られた身体に架空の過去、納得も出来なくはないけど、せめて見えないようにしてくださいよ・・・・
でも誰かが本作ってくれたんだよな、俺の為にあんなに分厚い本があるのは少し嬉しかった。
俺はちょろいのかも知れない・・・・
「簡単な物ですが夕飯用意しましたので食べてから寝てくださいね」
美人の手料理なんて初かも知れない。取説をテーブルに放置とか全然許せるぐらい嬉しい。
「急がなくても良いですが、この家を管理してくれる人を雇う事も考えておいてくださいね」
「俺の事も含めて色々秘密あると思いますが、部外者入れちゃっても大丈夫なんですか?」
俺は不思議に思った。俺の設定がバレただけでもトーラス家に多大な迷惑が掛かるし邪神軍の事はもっとヤバい。俺達が身動きがとれなくなってしまう。
「そこはスキルを使って上手いこと出来ますので大丈夫ですよ」
食事を食べながら重大発言をしてきた!!!
「ま、魔法なんかもあったりするんですかね?」
何いってるんですか?頭お花畑ですか?とか言われるのが怖く少しぼかして聞いてみた。美人にこの人大丈夫?って思われるのは全力で避けたい。
イッフェルさんは少し不思議そうな顔を向けてくる。やっちまったかな・・・・
「魔法ありますよ。でもその説明はハリスさんの身体の事にも繋がるので明日まとめて説明しますよ」
本をポンポン叩いて、これで教えるよっといった雰囲気で食事は続いていく。ポンポンってそれ俺の取説・・・・秘密とかじゃないんですね。どうりでテーブルに放置してたと思いましたよ。扱い軽いですね。
食事も終わり2階の個室を割り与えられる。料理はとても美味しかった。家を管理する人を雇うともう食べられないのか、なるべく人を雇うのは遅らせよう。しょうもない事を考えながらベットに横になるとそのまま意識を失った。
☆イットルコーナー☆
イッフェル「トルティー様、説明がとても面倒です」
トルティー「あは、彼目をキラキラさせて聞いてそうだもんね。」
イッフェル「取説を直接見せるのはダメなのですか?」
トルティー「彼には見せれない事けっこう書いてるからね~まだですダメかな」
イッフェル「ああ、アレですね」
トルティー「そそ、アレ」
二人 「ふふふ」