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延長戦・4 ワールドカップ代表メンバー発表記者会見

 ―都内港区会見場



 ワールドカップ本大会代表メンバー発表記者会見の模様を、俺はモンテディオ山形のクラブハウスでチームメイトと共に食い入る様に見つめていた。



「日向さん、大丈夫ですって!絶対選ばれますから!」


「分からないだろ?俺は只でさえ歳なんだし、FWは人材豊富だし…」


「大輔さん、出場した代表6試合連続ゴール中なんですよ?ここ3試合は不動のスタメンじゃないっすか!」


 チームメイト達が、俺を安心させる為に声を掛けてくれるが、それでも俺の緊張は解けない。


「バカ野郎!ワールドカップの代表発表ってのはな、毎回必ずサプライズが起きるんだよ!」


「だからって、日向さんは今や日本代表の顔なんですよ?公式スポンサーのCMとかでも香田さんと並んで主役扱いじゃないですか!これで選ばれなかったら日本中で暴動が起きますよ!」


「でも…いざとなると不安でな。俺なんかついこの間まで底辺Jリーガーだったんだぞ?そんな俺が…」


「も~、じゃあ俺、選ばれる方に焼肉賭ける~」

「あ、俺も俺も!」

「おいもおいも!」


 俺以外の全員が、俺が代表に選ばれる方に焼肉を賭けている。


「お前ら、他人事だと思って…」


「あれ?これじゃあ賭けになんないや。そうだ!大輔さんは選ばれない方に賭けて下さいよ」


「え?ああ…賭けになんないなら…って、なんで俺が自分の選ばれない方に賭けるんだよ!?」


「あ、日向さん!始まりますよ!」


 釈然としないものの、記者会見が漸く始まるみたいだ。



 テーブル中央には西田監督、右に日本サッカー協会会長の田沢さん、左に日本サッカー協会技術委員長の関根さん。


 田沢さん、関根さんが挨拶を終える。そして、遂に西田監督がマイクを持った。



『私はワールドカップアジア最終予選の途中から監督に就任させて頂きまして、非常に多くの選手を見させて頂きました。その中で、実績よりも、今現在、コンディションの良いメンバーを選ばせて頂きましたので、早速23名を発表させて頂きます…』



「コンディション…。俺は今、コンディションは良いぞ?もう、最高だ!」


「知ってますって!日向さん、今季もリーグ戦ダントツで得点ランキングトップじゃないですか!」



『まずはゴールキーパー。川崎、西口、中本。


 フィールドプレーヤー。長戸、権田、内村、槙原、酒田、上原、海藤。


 長谷川、柴田、高橋、速水、山田、堀口、中島、布井、香田。


 大垣、江藤、岡島。…以上です』





 ………………………俺、呼ばれなかったよね?



 確認の為チームメイトを見る。皆、呆然としている。…やっぱ、呼ばれなかったんだよね?



「……落選…か……」


「う、嘘だ~。大輔さんが落ちるなんて、こんなの、世間もスポンサーも納得しませんって!」


「………やっぱ、歳だったかな……」




『…失礼。フィールドプレーヤーをもう一人、日向。以上です』


 そう言って、何故か西田監督は画面の中から俺に向かってウインクした…様な気がした。



 一瞬の沈黙。チームメイトの誰もが隣にいたメンバーと目を合わせる。そして…



「「………うおおおおおっ!やりましたね日向さん!!」」


 沈黙が嘘だったかの様な歓声があがった。


「ああ…ああ!ありがとう!皆、本当にありがとう!!」


「だから言ったじゃないですか!大輔さんは絶対に選ばれるって!…流石に、ちょっと焦りましたけどね!」


「まったくだよ!しかも西田さん、絶対わざとだぞあれ!俺にウインクしやがったもん!なんなんだよ!」


 一瞬凍り付いた雰囲気が一気に和やかになる。



『…今回の選出は、概ね皆様の予想通り、選ばれるべくして選ばれたメンバーだったと思います。特にサプライズも無かったと思ったので、ちょっと日向には泣いてもらう事にしました』


 やっぱりわざとかよ!心臓止まりそうだったんだからな!でも嬉しいから良いや!



 その後も、記者から西田監督の質疑応答が続き、各選手の選考理由などが語られている。


『…次に、香田ですが、今季もレアルの司令塔としてリーガ・エスパニョーラのリーグ優勝に大きく貢献してますし、私が知る限り、今現在最も優れたトップ下の選手だと思ってます。彼には、安心して背番号10を任せられます…』


『…最後に日向ですが…、彼には、私が監督就任して直ぐに、私の思いを伝えています。彼がまだ少年だった頃から、私はいずれA代表を率いる時は、彼にエースストライカーとしてチームにいて欲しいと考えてましたから。

 なので先程のジョークにも、彼は驚かなかったでしょう』


 驚いたっちゅーの!大体、代表発表でジョークぶちかますなんて前代未聞だ!



 そして時間は過ぎ、最後の質問となった。


『…ズバリ、今大会の目標を御教えください』


『目標…ですか。そうですねぇ…正直言いますと、アジア予選は苦労しましたが、歯車さえ狂わなければ今回の代表メンバーは、間違いなく史上最強だと自負してます。経験豊富な選手達が揃ってますので。なので、堂々と宣言させて頂きます。

 …我々の目標は、ワールドカップ制覇。…優勝です』


 一斉にカメラのフラッシュが画面を覆う。



 ワールドカップ優勝…。とんでもない目標だと、タイムスリップ前の俺なら笑ってしまったかもしれない。


 でも、今の日本代表には、香田を始め海外のトップクラブで活躍する選手が大勢いるんだ。


 その中に俺が混じってるのもなんか変な気分だが、能力的には負けてない。


 この10年間で学んだものは、俺をより強くしてくれた。今の俺は、間違いなく世界と戦える!



 そう考えたら興奮して来た…。今日くらい、ハメ外しても良いかな?


「よーし、今日は俺の奢りだ!霜降り米沢牛でも山形牛でもなんでも好きなだけ食いやがれ!!」


「え!?日向さん、普段は肉は鳥の胸肉とか赤身の牛肉とかしか食わないのに…!?」


「なんだ?だったら止めるか?」


「「ゴチになりまーーーす!!!」」


 こうして、よーく考えると祝われる立場の俺が、チームメイト全員に焼肉を奢る事になってしまったが、んなもの、代表に選ばれた喜びから考えれば安いもんだ!

23名の他にもサポート要員3名も発表されてます。


霜降米沢牛…旨いです。私の中で、牛の王様は米沢牛です。


…でも、30歳過ぎると次の日胃がもたれるんですよね(苦笑)




※新作始めてます。


主人公が悪の道に走り、いつの間にか最強最悪のラスボスになってしまう…予定のお話しです。ジャンルはローファンタジーです、宜しかったら11話位まで読んでみて下さい。


https://ncode.syosetu.com/n1651fp/

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