表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/43

第14話 U-17ワールドカップ開幕直前

 日本中の期待を背に、俺達日本代表は、決戦の地・ドイツへ旅立った。


 飛行機の中、何の因果か、俺の隣には香田が座っている。

 コイツ、俺以外とは普通に喋るクセに、俺とは必要最小限しか喋らないんだよなぁ。



「…………」


「…………」



 ……なんなんだよ!気まずいなぁ!


「…お前さぁ、今はチームメートなんだからさ、もう少し普通に接してくれよ」


「……別に、普通だ」


 ……全然普通じゃねーから!



 結局、話にならないので、お互い無言のまま、ドイツへ到着した。



 予選の相手は開催国ドイツ、身体能力の高いナイジェリア、南米の雄アルゼンチン。我が日本も含めた4チームのうち、上位2チームが決勝トーナメントへ進出する事が出来る。

 …ハッキリと言おう。このグループは死のグループだと。



 ホテルに着くと、長旅の疲れを癒す為、食事を取った後は各自ホテル内で休憩となった。



 ―ホテル一階ロビー。


「厳しい戦いになるな…」


 同じく代表に選出された権田が険しい表情を浮かべる。


「ドイツはタレントが揃ってる上に開催国で優勝候補。ナイジェリアも、アフリカ勢はこの年代だと身体能力を存分に活かして来るから侮れない。そして、英雄ドラマーナの再来と言われる“ライオネル・ミッシ”を擁するアルゼンチンか…。確かに何処も強敵ばかりだ」


 ドイツは後にワールドカップで優勝するメンバーもいるし、何よりアルゼンチンには、あの“ミッシ”がいる。正直、タイムスリップ前の俺には雲の上の様な選手ばかりが相手なのだ。



「大丈夫ッスよ!ウチには日向先輩と香田先輩のゴールデンコンビがいるんスから!」


 同じく代表に選出された内村。内村は運動量を買われ、高校ではサイドバックにコンバートされていた。


「そうだなぁ~。お前ら、相変わらず仲悪いのに、試合では息ピッタリだからなぁ~」


 そして、驚く事に、高橋も代表に選出されていた。これはタイムスリップが起こした奇跡の一つだろう。


 俺、権田、内村、高橋、この4人が、ロビーのテーブルを囲んでいる。



「そうだな。ウチの司令塔(こうだ)のパスにあれだけ反応出来るのは、世界広しと云えどお前くらいだと思うぞ」


「そっスね。よくあんなパスに合わせられますね」


「圭司の奴、大輔には容赦ないからなぁ」


 周りから見ても、香田の俺へのパスは厳しい様だ。でも、厳しいだけでは無いんだよな。


「結果的にゴールに繋がってるんだから、最高のパスって事だろう。アイツの視野の広さとパス勘はやっぱり並じゃ無いって事だ」


 実際に、香田のキラーパスは、得点に繋がっている。俺なら決めてくれると信じているのか、最悪合わせられるもんなら合わせてみろとでも思っているのかは定かでは無いが。



「それ、圭司に直接言ってやれよぉ。少しは態度が軟化するかもよ?」


「絶対嫌だ」


「日向先輩と香田先輩って、なんでお互い意地張ってんスか?香田先輩は分かるッスよ?あれだけの才能があって、ず~っと日向先輩のせいで陽の目を見れなかったんですから。香田先輩からしたら日向先輩は完全に目の上のタンコブッスもんね」


「目の上のタンコブってな…。少しは言葉を選べよ」


「あ、すいません。でも、日向先輩が香田先輩を意識する理由無くないッスか?香田先輩も確かに凄いッスけど、日向先輩から比べれば完全に()()ッスよね?」


 格下ねぇ…。まだ、コイツらの目には、俺の方が格上に見られてるんだな。その言葉に、心の何処かでホッとしている自分がいた。



「格下って言うのは、俺の事か?」


「いっ!?香田先輩!?」


 内村の後ろには、無表情の香田が立っていた。因みに、香田と内村は小学生時代一緒のチームだったので、直属の先輩後輩である。


「ど、どうぞ、先輩!」


 内村がそそくさと立ち上がり、香田に席を譲る。それに香田は何も言わず、譲られるままソファーに座った。



「なぁ圭司、今、大輔がお前の事を…」


 こいつ!?させるか!


「…ああ。一応得点に繋がるパスを出してるとは言ったな。だが、あれは俺が()()()()()()()から成立してるんだ。際どいパスを出すのは決して悪い事じゃ無いが、もう少し受け手の事を考えてパスを出さないと話しにならん」


「なんだと?」


「おいおいぃ、なんでお前らは顔を合わせる度に険悪になるんだよぅ!」


 睨み合う俺達に高橋が割って入る。



「俺はキャプテンとして事実を言ったまでだ。チームの勝利を考えるなら、あんなギリギリのパスばかり出されても、()()()の選手が困る」


「…俺はチームの勝利の為にプレーしてるつもりだが?」


「まあ待て二人とも。お前達はチームの要なんだぞ?そのお前らが仲違いしてたら、勝てる試合も勝てなくなるだろうが」


 権田が冷静に俺達を止める。前から思ってたんだが、やっぱりキャプテンは俺なんかじゃ無く権田が適任だと思うんだがな。



「…そうだな。初戦のドイツ戦は一週間後だ。それまでにやれる事はやらないとな」


「そ、そっスよ日向先輩!香田先輩も、流石にあれはキラーパス過ぎますから…」


「何を言ってる?ドイツやアルゼンチンに勝つ為には、あの程度のパスじゃ通用しないだろう?…まぁ、ウチのキャプテンがもう少し優しいパスじゃ無いと追い付けませんと言うなら仕方ないがな」


 …この野郎、あからさまに挑発して来やがって。


「フッ、さっきは、()()()って言ったハズだけど?」


「…ああそうかい。本番ではもっと鋭いパスを出してやるから、せいぜい決めてくれよ、王様(おうさま)


「ああ~もう!お前らは面倒臭過ぎ!陰では認め合ってるクセに…」


「「認めてない!!」」


「うっ!?…ごめん」



「うわ~、高橋さん、マジで可哀想…」

ウイイレ風ステータス(2018参照)


香田圭司(17歳)180cm70kg

オフェンスセンス:80

ボールコントロール:81

ドリブル:79

グラウンダーパス:79

フライパス:75

決定力:81

プレースキック:82

カーブ:81

ヘディング:71

ディフェンスセンス:53

ボール奪取:52

キック力:80

スピード:79

瞬発力:78

ボディコントロール:76

フィジカルコンタクト:75

ジャンプ:73

スタミナ:79

逆足頻度:4

逆足精度:5

コンディション安定度:5

ケガ耐性:4


総合値:77



香田も順調に成長してますが、それでもまだ日向と比べれば格下と言われても文句が言えない差があります。日向だけはそうは思って無い様ですが…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ