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こんなおち

 長話で渇いたのか、カップを傾けコクリッと喉をならし一呼吸。少し間を空け


「これが私――私達と旦那様の出会いです。今も素敵ですが・・・・・・」


 何やら思い出し、頬を染めている。感傷に浸っている処悪いとは思うが思わず手を上げ疑問に思った事を尋ねる。


「シロ先生。思いでに出てくるゲンちゃんの喋り方が普通・・・・・・むしろ渋いのは補正ですか」


 思わず先生と呼んだのが不思議だったのか、小首を傾げて「先生?」と悩むも気を取り直し説明してくれた。

 魔族は特殊な発音をするようで、傍からは動物が鳴き合ってると言った方が解りやすいだろうか。試しに名前を呼んでもらうと「~~-~」古いビデオやカセットテープ巻き戻したり、早送りしたような擦れる独特の音と言い表すのが妥当かな。まあ、今の時代それを見た事ある人も少ないか。

 これでは話しすらままならないと、助けてくれた卯人に言葉を習って覚えたと。その際独特な覚え方をしてしまったので不思議な話し方に。当初はゲンちゃんが教えると言ったらしいが反発心が若干残ってたのが功を総じてこの話し方を・・・・・・大正解だ。

「旦那様の話し方も可愛いですが」とノロケられるが今のシロさんで居て欲しい。


「ねえねえ、さっきからなんの話ししてるん」


 いつの間にかクロが側まで来ていた・・・・・・ゲンちゃん抱えてるのは解るが、何故かラパンさんまで背負って。

 そのままポスッと座ると「で、で」シロさんにせっついてる。

「ふふふ」柔らかく笑うと、からかうように「あなたが泣いた話しよ」冗談っぽく返す。


「は・はぁぁ~!? いいいいつあ~し泣いたし? そ・そんな事言うとあんたの恥ずかしい話し喋るからね」


 そう言えば、ゲンちゃんとの出会いで泣いてるんだっけか。確かに今の姿からは想像できないな。

 余裕の姿でクロの言い分をかわすシロさんに業を煮やしたのか


「ムキィィイイイイ! そんなんだから子供達に怖がられんだからね!」


 お、なんぞそれ。興味津々に顔を向けると気を良くしたのか、ふふんと胸を張り「聞きたい?」の問いに首を縦に振った。

 少し勿体付けるようにしながら語り始めた。

 巳の種――シロさん達の子供が始まりで、魔族の血が濃い為か・・・・・・結構ヤンチャだったらしく、大きくなった頃に卯人を支配しちゃうかと調子に乗ったらしい。

 その頃のシロさんは旦那様大好き乙女に変わっていたので、最初の約束『獣人を襲わない』は絶対と。

 そんな時に子供達が変な計画を経ててると聞き、お説教と言う名の蹂躪を・・・・・・。

 多対一――しかも実の母親にとなれば格好もつかない・・・・・・よし、母親を先種様と呼んで誤魔化そう。

 これにより巳の村では悪い事をすると先種様に喰われるぞ。先種様は敬えよ。の風習が出来たそうだ。

 ちなみに余談だが、この祭壇があるとこがその現場だったとか。


「子供達に『あんまり手を焼かせると――喰いますよ』なんて言わないよね」


 シロさんの声真似をしながら最後を締めくくるも、言われた本人はケロリと


「躾は大事です。特に旦那様が言った事も守れない子は・・・・・・ふふふ」


 全然ノーダメージ。むしろその忠誠心(あい)が怖い・・・・・・ここまで変わる物なのか。

 余裕の態度を見せるシロさんに癇癪を起こし


「むぅうう! あんたがそんなんだから村入っても皆畏まって・・・・・・おかげで全然身動き出来なかったんだらね」


 あかん、なんか本気の喧嘩っぽくなってきた。クロがかなりヒートアップしてる。

 まだ言い足りなりのか語彙力のない罵りを続ける。

 流石にカチンときたのか


「あ”!? いい加減にしろよ――このくそが!? お客様の前だからって調子に乗るなよ!?」


 うお!? 怖!! 

 ぴりっとした空気におんぶされてたラパンさんも目覚めて「ワーゲの襲撃か!?」シャドーを始めた。

 そこは「ワーゲさんなのか」とツッコミたいがこの状況がそれを許さない。

 二人睨み合ってるとクロの膝から降りたゲンちゃんが


「だめだず! 二人共・・・・・・喧嘩して怪我すたらワシ悲すいが・・・・・・」


 シロさんとクロの手を取り悲しそうに懇願する。すると・・・・・・なんて事でしょう。先程までの空気が一掃され甘い雰囲気に。オラついたシロさんなんか「ついお国言葉が・・・・・・申し訳ありません・・・・・・旦那様」謝りなが乙女の顔に・・・・・・凄いビフォーアフターだな――おい。

 クロもクロで「言いすぎたし・・・・・・ごめん」素直に謝るとゲンちゃんとシロさんに頭をなでられ苦笑いを。凄いなゲンちゃん。流石イケメン。

 皆が冷静になった処で思わず


「そう言えば思ったんだが、シロさんもクロも強いんだから二人でゲンちゃん助けられたんじゃないか」

「「・・・・・・あ・・・・・・」」


 この言葉に場が更に静かになったのは言うまでもない。お後がよろしいようで。 


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