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幕間 昔話2

 森に入ってどれ位経ったのか。意気揚々と入ったものの獣人処か生き物にすら遭遇しない。

 いくら強いと言っても疲労は溜まる一方・・・・・・せめて休めそうな場所でもあれば・・・・・・。

 ぐるり辺りを見渡すも目に付くのは鬱蒼(うっそう)と生えてる木々のみ――おまけに来た道すら解らない。


(くっそ! 楽かと思ったがなんだこりゃ――帰る事もできねぇ! ははは、迷いの森ってのは伊達じゃないってか・・・・・・ああぁぁ! くそっくそっ!!)


 内心、悪態をついても変わらない状況だが愚痴も言いたくなる――本当参ったね・・・・・・。


「ごめん・・・・・・あ~しのせいで・・・・・・森に行こうなんて言ったから・・・・・・」


 いつもの軽口ではなく、かなり沈んだ様子で喋りだす・・・・・・こいつも相当参ってるね。このしおらしい態度がそれを物語っている。

 また何か言うとするので思わず振り返り――ゴチンッ! 頭突きを一発。


「いだっ!?」


 軽くしたつもりだが、不意打ちだったので少し効き過ぎたようで軽く悶えている。


「落ち込んでいる暇があるならさくさく動け――たっく・・・・・・らしくねぇ」


 悶えながらもこちらを軽く睨み、徐々に相好(そうごう)を崩す。


「なになに? 元気付けてる訳? しししし、そっちこそらしくないじゃん」


 そんなの本人が一番解るっての。そっぽを向きぶっきらぼうに一言「はん、置いてくぞ」宣言通り進めば独特の笑い方をしながら後に着いて来る。

 そんなやり取りをし、暫く進むと・・・・・・(ようや)く――漸くだ・・・・・・ぽかんと拓けた場所に小高い丘を見つけた。丘があるなら谷間――もしくは洞窟なんかがあるかもしれない。最悪は掘ればいい。

 思考していると暢気な声で「一番乗り~」なんて聞こえる・・・・・・おいおい――考える暇すらくれないのか。

まあ、気持ちは解らないでないが。

 軽く溜息をつくも進もうとした瞬間


「ぬし等、ここに何用だ・・・・・・悪意あって先に進むならここは通さん。理由があるなら述べてみよ」


 何処からともなく声が聞こえてくる・・・・・・しかも偉そうな。こうなると・・・・・・


「はぁぁ~? 姿表せし。何偉そうに――()っちゃうよ」


 案の定、ビタンッ・ビタンッと尻尾を打ち鳴らし喚き散らす・・・・・・相変わらず沸点低いなぁ。まあ、めんどくさいなら――その案(ころす)には賛成だが。

 挑発のように尻尾をならしてる傍ら、辺りを警戒していると「ふむぅ」溜息とも呆れ声ともとれるような声と共に小さな影が丘の麓に。

 

「やぁ~とぉ見ぃ~つけた」

 

 影を見るなり襲い掛かる姿を見て、一瞬哀れに思うが・・・・・・予想しなかった事が。

 丸飲みにでもしようと大口開いて襲ったところまでは理解できたが・・・・・・なんであいつが首根っこ掴まれてそのまま引きづられてるんだ。

 むろん、黙ってされるがままに掴まれてる訳ではない。騒ぎながらも何度も尻尾を打ちつけるが効いてる感じが見受けられない――嘘だろ。

 呆然と見つめてるとこちらの側まで来るなり


「もう一度尋ねる・・・・・・なんの理由でここに来た――理由次第では・・・・・・」


「ぐぅ」くぐもった声にはっと我に返り慌てて事情を説明した。いつもなら笑いながら襲いかかるとこなのに・・・・・・それができないのがあいつを思ってなのか、恐怖なのかは解らずに。

 大雑把な説明を最後まで黙って聞き入れ、少し考えるような素振りを見せ、こちらにある提案を持ち掛けてきた。


「同じような理由でこちらに来た・・・・・・か。それならば条件付きでワシが匿ってやろう」


 匿うと言う言葉に掴まれたままのあいつが抵抗するが顔を覗き込まれ二、三言葉を掛けられると大人しくなり・・・・・・有ろう事か泣き始めた。

 人族のような容姿で無力化させただけでも驚きなのに、更に泣かせるって・・・・・・何者なんだ。

 先程とは一転して、今度はあやすように抱き抱え条件の内容を投げ掛けてきた。


「大恩ある獣人には手出しせぬ事を約束するなら着いて来い」


 それだけ言うと踵を返しあいつを抱えたまま歩き出した。って事はあいつはこれを飲んだって事か。

 不思議な思いもそのままに着いて行く事を選んだが・・・・・・後にこの相手と番になる事や獣人の種となるなんてこの時は思わなかった。

 

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