ぬぬぬ・・・・・・悔しいが――って!?
一頻り無事を確認をし終えたのか、大蛇達との抱擁を解き辺りを見渡すイケコ。目が合うと同時ににっこりと笑みを浮かべ近付いてくる。大蛇達も当然のように付き従いしゅるしゅると後ろに。
シェルビさんは俺達をそっと降ろすと忽ち平伏しだした。
なんぞ? きょとんとなり棒立ちになってるとこに凜とした透き通る声が
「そこの御仁、我が旦那殿を助けて頂いたのはあなた様で」
その声の持ち主――白い大蛇がこちらに丁寧に語り掛けてくる。
更にぽかんと間抜け面を晒しているとイケコが近寄り、俺とラパンさんの手を握り「この二人ず」にこにこと助けた詳しい経緯を話し始めた。
黙って話しを聞くも時折こちらに鎌首を上げ、舌をちろちろしてくるので正直怖い。
話し終えたのか黒い大蛇がするりと近寄り三人まとめて巻き付いてきた。「うひっ」変な声が出るもお構いなしに絡み付き
「へ~やるじゃん、あんた達。ダーリン助けてくれてありがとね」
姿とは似つかない可愛い声でお礼を述べてきた。シェルビさんといい、ギャップが凄い――てか怖い。
怯えを感じ取ったのか「あ~ごめんごめん」軽い感じで謝り離れると、ぽむっと可愛らしい音共に姿を変化させた。
変化した姿はイケコが言う通り・・・・・・悔しいが可愛い。小麦色の肌にへそだしルックの黒髪ショートの小柄な女性に。とてもじゃないが元があの黒い大蛇とは思えない。
姿を変化するなりイケコの側により、ひょいっと抱き抱えた。あれか、抱き抱えるのが蛇ルールなのか。
その光景は中高生の姉が低学年の弟を甘やかしてように見えるが・・・・・・夫婦なんだよな・・・・・・。頭をなでられ「えへへ」御満悦のようで。
そちらに目を奪われているとまたも、ぽむっと音がし振り向けば・・・・・・白い方の大蛇・・・・・・なのか?
白い髪――と言っても白髪じゃないぞ。パールに近い感じの長い髪をお姫様カットにし、着物姿で色白のスラッとした和風美人がしゃなりしゃなりと近付いてくる。
間近で見ると一層白さが際立つ。雪その物――御伽噺の雪女と言われても信じそう・・・・・・。
「これ――恩人様をほったらかしにして旦那様にじゃれ付くのは御止めなさい」
先程掛けられた声と言い、黒い大蛇を窘めている辺り、どうやら白い大蛇の変化した姿で合ってるようだ。まあ、周りが下半身蛇なのに二足だもんな・・・・・・・これぞ蛇足・・・・・・・なんちゃって。
お小言を言われた黒い大蛇は「はいはい」軽く流して今もイケコを可愛がり中。白の大蛇は溜息一つ吐いて正面を向く。
「改めまして――恩人様方。当方の旦那様――玄武を御救い下さり・・・・・・誠にありがとうございます」
綺麗なお辞儀と共に深い感謝を・・・・・・って――え? 今玄武って? げんぶぅぅぅうううう!?
イケコに顔を向けるもまだ可愛がられてきゃっきゃっうふふしておりますがな。
俄かに信じられないって・・・・・・。




