出発
「申人の長。セティアだ」
「え・えっと~、戌人のアルトです」
「同じくフロンテよ」
申人の縄張りに着き、二人を降ろすと申人達が一斉に集まり、歓迎ムードの中二人を出迎えてくれた。元々の理由が理由だけに、友好関係を戻すのはどちらも嬉しい事なんだろう。間に入った俺としても嬉しくある。ちなみにシフォンは申人から餌付けされている。
「嬢ちゃん、こっちも喰うか」
「んみゅ、モグ」
俺は俺で、改めてノム爺にお礼を言いに行くと、「構わんよ」で済まされたが、気が収まらないので、りゅうに頼みおにぎりと汁を出してもらい、渡した。渡した瞬間「うまい!」と食べてたので、小さいのも喰えるかと尋ねると「うむ!」と凄い勢いで首を縦に振った。
その言葉を聞いていたのかドリーも出てきて、ノム爺のおにぎりをかじる。旨かったのか何度もかじりだした。ノム爺は笑いながらされるがままに。その姿を見ていた申人達にもお裾分けしたらシフォンまで来ていた。この娘はどの位食べるんだろか。りゅうのチートなかったら恐ろしい事になりそうだな。
セティアと双子は、まだ話してる様なので差し入れに行くと。
「本当にすまなかった・・・・・・」
頭を下げるセティアを双子が宥めてる最中だった。
タイミング悪かったかな、と思ってると双子と目が合った。「どうしよう」みたいな顔をされてしまったので、お節介かもしれんが「仲直りしたんだろ、ほら一緒に喰おうや」とおにぎりと汁を差し出す。
「そ・そうですよ。セティアさん。い・一緒に食べましょ」
「そうよ。むしろお礼を受け取って」
それを聞いてか、漸く頭を上げると「ありがとう」と言い、双子と一緒に食べ始めた。これで一件落着。この調子で妖人達とも上手くやれればいいな。俺も獣人も・・・・・・
皆が打ち解けて来た頃、雰囲気を壊すのもあれだなと、セティアに耳打ちで出発する事を告げる。「もう・・・・・・か」と、しんみりされたが、二度と会えないわけじゃないからと声を掛け立ち上がる。すると何人かの申人達は察したのか、寂しそうな顔するが、笑って手を上げると笑顔を返してくれた。
シフォンのとこに足を向けると・・・・・・まだ食べてた。当然、囲んで餌付けしてた申人にはばれる罠。
「すまねぇ、もう出発するな」
「・・・そうか・・・・・・」
「セティアにも言ったが、二度と会わないわけじゃないから・・・その・・・・・・またな」
「そう━━だな。またな」
シフォンに「行くぞ」と声を掛けると「みゅん。ごちそうさま。またね」と申人に礼を言い、俺と一緒に歩き出した。途中、シフォンに移動どうすると聞くと、「みゅ、まだ乗る」との事で遠子に「もう少し頼むな」と。
着いてそのまま乗り込み、ふっと思った。エンジンを掛けると結局ばれるんじゃないか。最後は締まらない俺だった。
エンジンを掛けると、案の定気付かれた。皆笑顔で手を振ってくれてた。俺は窓を開け「またなーー」と声を張り上げ、手を振り返し、ゆっくり走り出した。追い掛ける様に走り出したシフォンも手を振りそのままトラックを追い抜いてった・・・・・・申人が笑顔から驚き顔になったのは言うまでもないだろう・・・・・




