鈴鹿の回想
思い切り噛んだのを見て、私は思わず笑みを浮かべた。普段は威勢がいいのに何か緊張する事があると勢いが空回りするのか、結構噛んでしまったり。そんなとこも可愛く感じてしまい、プロポーズを受けた時もこんな感じだったなと追想してしまう・・・・・・。
出会ったのは父の会社で、集荷配送に訪れていたの。その時はアルバイトの為、荷のチェック等で見掛ける位だったけど、髪形が印象的で正直怖い人かな、と思ってたり・・・・・・
ある時別倉庫に案内する事があって、連れて行った先で父が保管してるバイクを見つけたの。彼は、私が居る事も忘れてバイクに近寄って子供の様な笑顔ではしゃいで、思わず「好きなんですか」と声を掛けると、あっ、と言う顔をして照れながら謝罪しつつ、そのバイクの事を話して始めたの。父の影響で私も少々の知識と乗る事があると伝えると満面の笑みを浮かべたわ。余程好きだったのかその日の内に父に譲渡してくれないか頼み込んでいて、この時から怖い人から面白い人に、そして凄い情熱的な人だと印象に残ったのよね。
それからはちょくちょく挨拶を交わしたり、挿し入れのやり取りをしたり、すっかり最初の印象とは別になってきた頃バイクの整備が終えたから一緒に走りませんか、とお誘いが。今思えば少し噛み気味だったので彼なりのデートのお誘いだったのかしらね。それが切っ掛けで色々お誘いを受けたわ。春夏秋冬のイベントはCGがコンプリートする位に。釣りとか山菜採りはレアイベントかしら。
そんなある日、突然のプロポーズ。場所もムードも何も無い。本当に突然。誰が見ても空回りだろって言う位。主人公補正があったら「え、何か言った」とスルーされる様な。おまけに噛み噛み。それでも返事ははい。マイナスプロポーズだけど、それでもプラスが上回る程この人が・・・彼が、たっちゃんが大好きになっていたのね。父も覚えは良かったのかすんなり挨拶も通り、逆に彼のお義父さん、お義母さんの方が、どんな手を使って騙した、とけちょんけちょんに。それでも最後は良くやったと。そんな事言われると私の方が凄くプレシャーがががが。
それから、私が病に罹り死ぬまでの数十年は掛け替えのないものでした。それが今度は違う世界で出逢えた。またなれるのかな。たっちゃん・・・・・・期待していいよね?




