朱雀さんと
舗装された石畳を歩きながら左右に目を向けると大体の酉人が羽を並べてなにかしらしている。
シーマに聞いてみると葬送用の羽札を作ってると。まさか、この胸のは・・・・・・どうやら違うらしい。
場所柄なのか賑わいはほぼなく、寄り道をする雰囲気でもないのでさくさく歩いて建物の入り口に着いた。側には監視さんなのか? 何故か巳の種の坊主頭の男が佇んでいた。
その男と目が合うとスルリと近寄って来て
「あなたが父の使いで参った方ですね。そちらの小さくなってるのがシーマ様ですか?」
丁寧な言葉で尋ねられた。
朱色の袈裟風の服装で一見ファンキーな坊さんコスプレかと思ったが、見た目とは大違いだ。と、言うか何故俺がお使いで来てる事知ってるんだ? ほんで父って?
疑問をぶつけると最初に足止めした酉人が知らせに来てくれたからとあっさりネタばれ。父ってのはゲンちゃんだった。
何で酉人の所に居るのかも勢いで質問したら少し悲しそうに
「父と母の血が濃い為か少々長生きでして・・・・・・」
聞いてはいけない事を聞いたか。素直に謝罪すると「気にしないで下さい」逆に畏まられた。本当すいません。
「それでは朱雀様の元に案内しますので――失礼」
そのまま抱き抱えられた。どうやら運んでくれるらしい。
クロもシェルビさんもこんな感じだったから巳の種の癖なんだろうか。
そのままシュルシュルと進んで行くと、石の柱に彫刻が施された一際立派な祭壇と、その上に一軒家位の大きさのでかい朱色の鳥が休んでいるのが見えた。あれが朱雀様か?
間近まで行くと
「朱雀様、お客人ですよ。シーマ様も来ておられますよ」
声を掛けて数十秒、ゆっくり目を開き
「すいません、今さっきまで送っていたとこで。初めまして人間さん、久しぶりですシーマ様」
勝手な想像だが、場所が場所なだけにもう少し威厳がある声かと思ったら案外爽やか。結構フランクな感じで少し焦った。
だけどシーマは・・・・・・
「・・・・・・お久しぶりです朱雀・・・・・・大変ではありませんか?」
ちょっと遠慮と言うか気を使ってると言うか・・・・・・。
それでもにこやかに「いえいえ」と返してくれる朱雀様。更には
「玄武やお嫁さんに名前付けたとか? 私にも付けて下さいな。君も玄武の子なんだから頂いたら」
めちゃめちゃフレンドリーだな。
運んでくれた巳の種なんて
「え!? あの母に名前!!」
凄い驚いてる・・・・・・ここまでびびってるって事はこの巳の種が卯人に悪さしようとした子か?
ゲンちゃんの時も軽いノリだったので勢いで『スーさん』、巳の種は『ボーさん』って呼んだら引く位喜んでいますがな。そこは『ハマちゃん』だろうと言う苦情は受け付けない。
喜んでいる二人とは反対に少々落ち込み気味のシーマ。なんでそんな落ち込むのか聞くと
「名前に気付かない辺り女神失格だと・・・・・・しかも朱雀――スーは・・・・・・私のせいでここから動けないのです」
なんでか尋ねる前にスーさんが語りだした。
「シーマ様は悪くありませんよ。この役目のおかげで酉人は生きていけますし・・・・・・それにグータラな私には丁度いいですよ」
最後には、あははと朗らかに笑い特に気にしてないアピール。
それを聞いて少しだけ顔を緩ませ「・・・・・・ありがとう・・・・・・スー」少し気を持ち直した様子のシーマ。
これは二人で話してた転生とかの繋がりの話しに関係あるんだろうか?
シーマも機会があれば直接聞いてみると良いって言ってたし・・・・・・聞いてみたいな。
ちらりとシーマを見ると察してくれたのか
「話しの続きですよね? スーさえ良ければ聞かせてもらって構いませよ」
この言葉にボーさんも反応して
「面白い話しですか? ここに居ると気軽に話す事がほぼ無いので私もぜひ仲間に」
少々娯楽に飢えてるらしい。
そりゃ死に携わる事してたら気軽に話すなんて事はないわな。葬儀なんかで楽しくしてたら俺でなくてもキレるわ。
シーマの御墨付きもでたので、改めてスーさんを見つめると
「ん~・・・・・・そんな面白い話しでもないですが聞きたいですか?」
俺とボーさんは黙って首を上下コクコク頷く。
その様子を見るなり「ふ~~・・・・・・仕方ないですね」苦笑いを浮かべ了承してくれた。
「さてさて、何処から話したもんですかね・・・・・・シーマ様からは何処まで聞きましたか?」
スーさんの問いに転生するのに世界の穴が何やらの件についてとかを軽く話したと伝える。
「最初から中身の話しを・・・・・・解りました。少し始まりの方から話していきましょう」
ボーさんもドキドキしてるのか俺を抱く力が強くなる。と、言うかそろそろ降ろしてくれても構いませんぞ。
子供に何かを見せる体勢で少し恥ずかしいが始まってしまったので大人しく聞く事に。




