酉人の住処
扉を開けた先に石造りの大きな建物が見える。目的地はあそこなのか。
部屋を出て小さい状態に戻ったシーマに尋ねてみる。
内ポケットから顔を出した状態で肯定の返事を。
なんかこの姿・・・・・・人形に話し掛けてる怪しい人物みたいだな。あっちなら職質されそう。
流石にヲタクのメッカでも居ないよな・・・・・・。
若干自身に引いたが気にしないでおこう・・・・・・うん。
建物が目印になってるのもあって移動はスムーズ、ついつい鼻歌なんか出てしまう。
リズムが気になったのか「それはどんな意味の歌なのですか」なんて真面目な顔で質問されたから、テレビアニメの歌だと教えたらなんか色々興味をもたれ、御互いの話しで盛り上がってしまった。
ビックリしたのはシーマ達にも学校みたいなとこがあって、そこで色々な世界の仕組みを覚えるらしい。
覚えた内容の適正で色々な仕事に回されるとか。なんか親近感が湧くな。
俺の居た世界の事もある程度は知ってるけど発展が早くて覚えるのが大変だなんて愚痴が。
どの位から知ってるのか聞くと、混乱しそうな時代から言われたので思わず歳の事考えてしまった。
歳とこには何故か皆敏感で笑顔が怖くなるのは共通らしい。
最初に合った――声だけの時も考えた事を怒られた。敏感過ぎるだろう。
お小言が長くなりそなので誤魔化すように他の女神の事を聞いてみた。
少し不満そうだが聞かれた事は律儀に応えてくれるので助かった。
「私の他には妖人の守護するティアナ、人族を守護するアレディ。この世界には私達三姉妹が柱として送られたきました」
うんうん、ティアナから聞いた。三姉妹ねぇ~・・・・・・三姉妹!? え? 姉妹って言うと肉親――詰まる所のKA・ZO・KUですよね!? もう一度確認。
「え・ええ・・・・・・姉妹です。私が真ん中で姉がアレディ、妹がティアナです。それがどうかしましたか?」
どうも何も・・・・・・あなたの妹さん――あっしの嫁になるんですよ。
その事を告げるとかなり驚き「あのティアナが!?」ですよね~。
ちなみに風の精霊の時は鈴鹿が話したので気付かないようだが行動を共にしてると教えたら更に驚いていた。
昨日からの態度はもしかしてシーマが関係してるのか。帰ったら聞いてみなければ。
まさか鼻歌からこんな情報になるとは思わず、御互いの話しをしながら進んでいたら立派な石造りの階段の前に着いた。
話しを中断して目の前の階段について尋ねる。
「ここを上って行けば酉の村――たつさんの世界で言えば寺院に近いですね」
結構な段数がありますな。舞妓はんもびっくりじゃないか。
裕に百段以上はありそうな階段を見て思わず京の都を思い浮かべた。
幅も奥行もそれなりあるので転ぶ心配はなさそうだ。だけどしんどそう。
顔が曇った事に気付いたシーマに
「今のたつさんなら息切れしないで上れると思いますよ。今まで歩いて疲れた事ありました?」
確かに、申人と揉めた時も長い距離歩いた時も――いや、この世界来てから疲労とは無縁だ。変な疲れはあったが。
その一言で階段を上って行くが・・・・・・全然余裕だわ。今なら線路も果てまで歩けるんじゃないか!? スタンドなバイミーみたいに。
余裕ができた事で上りながらさっきの中断した話しを始める。
まずはジャブで義姉と言ってみたら
「今まで通りシーマでお願いします。それに・・・・・・ふふふ」
案外普通の対応だった。笑う前に何か言っていたが聞こえなかった。
長い階段も雑談しながら上ればあっと言う間、拓けた場所に着いた。あれが木から見えた建物か。
テレビやパソコンで見ただけなので中までは解らないが、見た感じはアンコールなんちゃらってのに似てるな。
周りにも石造りの建物があり、酉人なのか羽が生えてる人や、上半身がまんま鳥っぽい人、逆に下半身だけ鳥っぽい人が出入り、行き交う。ちなみに空飛んでる人もいた。
このまま入っていいのかシーマに聞こうと思ったら
「人族の方、こちらに何用か」
少々刺々しい物言いで上から声を掛けられた。
空を飛んでた一人かな、見回りの意味もあったのか。
とりあえずここに来た経緯を話そうとするもシーマが一言。
「安心して下さい。こちらは私が呼んだ方です」
声に反応して一瞬首を傾げるもそのまま滑空し側に。
俺の顔を見てまた首を傾げてる。
胸元から「ここですよ」で漸くシーマと目が合う。
「なんと!? シーマ様!! そのお姿は!」
こうなった理由を簡潔に説明し始める。
納得いったのか俺に視線を合わせると
「同胞の手助け感謝致します。ようこそ、酉人の住処へ」
棘が抜けて歓迎された。シーマ愛されてるな。
念の為と一枚羽を手渡された。これを目に見えるとこに付けておけば、酉人に招かれた証となるので上空の見張りにいちいち足止めされないと。
赤い羽根じゃないが、シーマが顔を出してる胸元とは反対の位置に白い羽を付けた。
付けたのを確認すると「でわ」短い挨拶と共に上空に飛んでいった。
「それじゃ、気を取り直して行きますか」
「ええ」
大きな建物に足を向けた。




