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一人? でお使い

(こっちに来てから一人で行動なんてなかったな)


 昨晩の宴の広場――祭壇の脇を抜けテクテクと一人歩きを楽しむ。

 厳密に言えば携帯に三名? って名でいいのか? 一緒に居るが。

 少なくとも名と数えていいのか謎の女神は内ポケットより顔を覗かせているが。


「久々に表に出ると新鮮ですね」


 シーマの言葉に相づちを打ちつつ景色を楽しむ。

 今までゆっくりした記憶は蟲人領だけだったので新鮮の一言は言い得て妙だ。

 この時間をくれたシーマに感謝。

 それにしてもティアナが残るって言った時は驚いたな。それに付き合い鈴鹿も。

 いつもなら何も言わずに付いてくるんだが・・・・・・う~ん、解らない。

 お使いを引き受けて二人の帰りを待とうとしたが、シーマの「精霊さんにお願いしましょう」で風の精を呼び出した。っても俺が呼んだ訳じゃないぞ。

 シーマが一言言うなりひょいと現れた。あの軽そうな似非体育会系喋りで。


「お呼びっすか? あれ? お久しぶりっす、シーマ様」


 ついでとばかりに俺にも挨拶し、用件を聞くとすぐさま伝言に向かい速攻返信を持ってまた何処かに。

この間一分も掛かってない。どんだけ自由が好きなんだ。

 で、返ってきたのは「鈴鹿と一緒にもう少し見て回る」だった訳で。

 俺の予想だと「直ぐに戻りますからお待ち下さい!」の構えだったんだが・・・・・・なんか手堅く賭けたのに大穴だった。そんな感じだ。まあ、ギャンブルはやらないから知識だけな。

 言い方は悪いが、こんな事を考えてしまう辺り少しづつティアナに毒されてるかな。


「たつさん、たつさん。見えてきましたよ」


 シーマの呼び掛けで正面を見上げる。うおぉぉ! でかいな!!

 巳の種が歩く為か、結構拓けた道でついつい考えながら歩いてたがいつの間にか近くまで来ていた。あっちの世界なら間違いなく電柱なり人なりぶつかってたんじゃないか。今はそんな心配ないんだがつい例えてしまう。

 見えてきた壮大な光景に年甲斐も無くはしゃいで少々早歩きに。「そんなに急がなくても」シーマの言葉は聞こえたが依然そのまま。

 どんどん近付いて行くとその全貌が徐々に現れてくる。

 見えてきた辺りから進んでどの位だろう? 目の前に巨木の幹が。

 感想としては「すげぇぇええ!!」の一言。

 何かに表せて言われたらビルでさえちゃち、タワーでもピンとこない、ただただ大きく立派な物だと。

 事前に木だと教えられなければこの距離だと巨大な壁って言われても信じられる。それほど横幅も広い。ぐるり回ってみたいがどの位時間が掛かるやら。


「ふふふ。たつさん子供みたいですよ」


 シーマの言葉で我に。いや~歳は取っても大きい物には浪漫を感じるのですよ。ダムとかロボとか・・・・・・お胸様は手の平サイズが正義(ジャスティス)ですが。

 頭を掻いて、照れながら誤魔化すがまたしても笑われてしまった。


「それではたつさん。折角なので幹に触れてみて下さい。場所は何処でもいいですよ」


 にっこり微笑みながら幹に触れるよう言ってくるシーマ。言われた通り素直に触れる。触れた感じは普通の木だな。

 手触りを感じてるとシーマが何かを紡ぎだした。


「四獣の守護で隠れし扉よ・・・・・・女神シーマの名において顕現を」


 言葉に反応したのかふわっと優しく光ると触れていた辺りから扉が現れた。おお! ファンタジーや!! またしても感動。

 余韻に浸っていると微笑まれ「中も楽しみにして下さい」なんて言われたり・・・・・・ヤヴァイ!? ワクワクが止まらない!

 ノックができるような丸いわっかついた取っ手を掴みそっと・・・・・・引くのか? 押すのか?

 いかんいかん、せっかち過ぎた。

 改めて聞くと「たつさんの思うように」それだけ言うとにこにこしてるだけ。なんか俺のリアクションを楽しんでないか。

 それじゃ引いてみるか。

 そっと引くと重さを感じさせず、スッと隙間が。 

 隙間から見えた感じ中は暗いのか? 引張る力を強めて更に開く。

 幹に対して直角になるまで開くと、ポツポツと蛍のように明かりが灯り始めた。

 この光景も驚いたが、完全に明るくなった室内にがこれまた。

 家具やら何やらすべてが一つの木でできている、明かりが浮いてる・・・・・・妖精の住処に迷い込んだ。それ以上上手く言えない・・・・・・。

 

「どうですか? 私のお気に入りの場所は」


 胸元からではなく隣から声が聞こえた。焦ってそちらに振り向くと俺より少し低めの身長の女性――シーマが。いつの間にそんなでかく!?

 クスッと笑い浮かぶ明かりと戯れながら


「私の残照が少しだけ元に戻してくれたみたいです。・・・・・・どうしたんですか? そんなに見つめて」


 背景と残照が相俟って凄く幻想的な雰囲気のシーマに思わず見惚れてしまった。

 流石に恥ずかしくて素直に口には出さないが、この光景が何処かに飾られたら間違いなく行く人行く人足を止めるだろうな。

 下手な誤魔化しとは思うが、少しぶっきらぼうに酉の村に繋がる扉が何処かを尋ねる。

 そのまま案内されて奥へ進むと扉が四つ付いた部屋に。

 後は言われるまま扉に手を掛けると


「外に出ると小さくなってしまいますので、暫くはたつさんのポケットに住まわせて下さいね」


「お・おう」顔は向けずにどもりながら返事をするのが精一杯だ。

 ドキドキしながら扉を開いた。 


  


  

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