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お使いに

 二人の叫び声に反応したのは俺だけじゃなかったようで、奥にある作業場に出掛けてる二人とシフォン以外が集まっていた。

 ラパンさんが指で摘んで掲げてる物を見て指輪が完成して叫んだ事は解った。で、ゲンちゃんは?

 その側でがっくり項垂れて姿が確認できた。どうしたよ?

 

普通(ふずう)のじゃダメだず・・・・・・」


 項垂れながらぶつぶつ何かを言ってる。本当にどうしたよ? 特別な指輪でも作ろうとしたのか?

 側に寄り落ち込んでる理由を聞くと指輪とは全然違う事だった。

 シーマを蔑ろにしてしまったお詫びに依り代――体を動かせる物を作ろうとラパンさんに教わりながら作成に挑戦したが結果が出ないとか。むしろ、最初の段階で躓いたようで。

 あわよくば、りゅう達の分もと意気込んだが・・・・・・その気持ちには感謝。


「これが溶けないと(はず)まらないんだず・・・・・・」


 綺麗に丸くなってるキラキラ輝く鉱石を見せてくれた。

「これは?」の質問に嫁ズが揃って「「「あ!?」」」と反応。


「たつ様、これはもう一人の子と言っても差し支えがございません」


 シロさんの言葉に驚いた。そんな大事な物を。

 驚きの表情を見てクロが


「って言っても生きてるとかじゃないから安心していいし。ま~あ~し達の想い出かな? ししし」


 んん? どう言う事? 

 あっけらかんと話すクロとは対称に照れながらシロさんが続きを


「あのぉ~・・・そのぉ~・・・・・・なんと言いましょうか・・・・・・子で察して頂けると幸いなんですが・・・・・・」


 了解、愛の結晶と。夜のプロレスの結果と。流石に詳しくは聞かないでおく。

 三人の結晶なので差し詰め『玄蛇鋼(げんじゃこう)』って処か。

 それにしても、そんな大事な物なのにいいのか?

 

「ただ持ってるだけなんて意味なんてないず。そんなら恩返しに使(づか)った方がいいず」


 男らしいゲンちゃんにひしっと抱き着く嫁ズ。劇はもうええて。

 こうなったら三人は放っておいてラパンさんに聞く事にしよう。

 指輪を完成させしげしげと見てるラパンさん。その脇では姉妹がうっとりそれを眺めている。

 感慨に耽っている処悪いけが静かに声を掛ける。

 指輪を丁寧に置きこちらを振り向くなり「どうしました」返事をもらうなりゲンちゃんの躓いた加工の話しを切り出した。

 気には掛けてたようだが声が掛からないので黙々と指輪作りを進めていたと。一つ完成したから一旦ゲンちゃんの作業を手伝う事に。

 三人抱き合う中、平然と中断させ作業に駆出させるラパンさん。昨日の話し合い以降何気強くなってるな。

 ラパンさんが見守るなかゲンちゃんに同じ作業をしてもらう。

 見た感じは小さい(かまど)なんだが、それに付いてる上蓋を外すと凄い熱気が。この熱気が竈の中の温度が高い事を表してる。

 そこにトングの長い感じの物で玄蛇鋼を摘み開けたとこに落とし入れる。

 蓋を閉めて待つ事数十分、今度は正面下の方に付いてる小さい扉をトングで引っ掛けて開ける。

 本来なら溶けた物が凹の形をした道を通って溜まるかと思われ場所にころころと球体が落ちてきた。


「「「・・・・・・」」」


 流石のラパンさんも黙り込み、ゲンちゃんは呆然。

 静かな空気が流れるがラパンさんが口を開いた事でゲンちゃんも正気に。

 やはり流石としか言えないが、ただ黙り込んだ訳ではなく原因を考えていたようで根掘り葉掘りゲンちゃんに玄蛇鋼の事を尋ねていく。

 大体先程聞いた内容と一緒だなと思ってたがラパンさんは何かに感付いたようだ。


「多分ですが、ゲンちゃんと同等の力――この場合だと炎か火の精霊でなら・・・・・・」


 思わず


「ゲンちゃん火吹けないの」


 俺の問いに「無理だず」否定の声を上げ、何故吹けると思ったと逆に問い掛けられた。

 いや~、映画ででかい亀の怪獣が火吹いてたからとは言えないので濁しながら返しておいた。

 ちょっとジト目で見られたが異世界なんだから火ぐらいはって思うよな。

 精霊ならノム爺に聞いてみるかとバングルに呼び掛けようとしたが、ゲンちゃんの「心当たりがあるず」で一旦手を止めた。

 なんでも四獣の朱雀は炎を操るのに優れているとか。さっきシーマと話していたがこうも早く機会が訪れるとは。

 丁度いいのでお使いに行こうか提案すると凄い喜びで両手を握ってきて上下にぶんぶん。

 ただ場所が解らないのでそれについて聞くと、村から少し離れた場所にでかい木があり、そこに付いてる扉を潜ればいいとか。おお、ちょっとファンタジーになってきた。オラ、ワクテカすっぞ!

 とりあえずシフォンに行くか聞くと


「んみゅ、女神様が居るから・・・・・・」


 なんか歯切れが悪い。

 シーマの顕現で白寅は付き添い第一を考えないとだからか、基本、食べ物>その他の行動が主だから選択が狭められた感じか。

 やり取りを聞いていたのか内ポケットからにゅるりと出てくるシーマ。


「私は大丈夫ですからシフォンの自由になさい」


 その一言で目を輝かせ、すぐに食べ物を選ぶのもどうかと思うが・・・・・・優しい女神(シーマ)だから獣人達に崇拝されるんだろうな。俺の心臓には優しくないが・・・・・・出てくるなら一言頼むわ。

 シーマとのやり取りに皆が笑いだした。

 

 


 

   

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