『ファンの部屋』
ファン:熱狂的な信者諸君。
「お兄ちゃん、私達にファンっているのかな?」
「そりゃあいるだろ。オーディエンスが」
「……でも、オーディエンスの人達が必ずしもファンとは限らないんじゃないかな?」
「馬鹿言え。こんなデタラメな作品を読んでくれているんだぞ? ファン以外の何者でもないだろ」
「そうなのかなぁ……なんか、押しつけ過ぎると嫌われそうじゃない?」
「そ……そんなことない」
「オーディエンス、気付いたらゼロ人かもしれないよ」
「……」
「そうなったら私達の命は――」
「だあああ!! そんな不吉なこと言うな! 作者が気に入ってるうちは死なないんだよ! たとえオーディエンスが皆無だとしても!」
「……本当?」
「……」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「ま、それはそれとして今回はファンの部屋だよ」
「今の、脇に置いていい問題なのか?」
「だいじょぶだいじょぶ! きっと何とかなる!」
「物凄いポジティブ思考だな。……しかしファンか。お前は何かのファンだったりするのか?」
「そりゃあもちろん、お兄ちゃんの大ファンだよ! ファンクラブも勝手に作って第一号なんだから!」
「うん、聞いた俺が馬鹿だったな」
「馬鹿ってことないよ! わたしの方が馬鹿だもん!」
「それは知ってる」
「あれー、ここフォローないの? なんか悲しい」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「今は色んなファンがいそうだよね。そもそも、ファンの定義って何なのかな?」
「好きならそれでファンになるんじゃないか?」
「なんか、ファンから怒られそうな言動だね」
「ああ、あれだろ。お前は『にわか』だ、とか」
「そうそう。ファンの人って好きだから譲れない所とかあるんだよね。私もお兄ちゃんのことは誰にも譲れないよ! 色んな意味合いを込めて」
「込めるな。俺はお前の玩具じゃないんだぞ」
「えへへ~~。ファンクラブ会員ナンバー001のヒトミです。三度の食事より一度の兄、これが座右の銘です」
「意味わからん。とりあえず、ファンを名乗るのは危険が伴うということだな」
「……どうしてそうなったの?」
「自分○○のファンです! ってファンの奴は大っぴらに言わないだろ? だから、人前で俺は○○のファンなんだ。って言ってしまったが最後、本物のファンに叩かれる」
「その理論はよくわからないけど、とにかく、熱狂的すぎるのは注意しないとだね」
「どういうことだ?」
「ほら、よくあるでしょ? 好き過ぎて自宅特定とか」
「よくあってたまるか。ファンじゃなくてストーカーだろ」
「ファンからストーカーに転身するのってよくあるみたいだよ」
「なんで転職みたいな言い方なんだよ。全国の硬派なファンに謝れ」
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「でも考えてみると不思議だよね。ファンってことは友達以上恋人未満ってことなのかな?」
「全然違うと思うぞ」
「じゃあ、ファンはどこからファンになるの?」
「なんで哲学みたいになってるんだよ……。そうだな、ファンの人たちの共通点はあれだろ。あれをした瞬間にファンとみなしていいんじゃないか?」
「あれって?」
「ファンクラブに入る」
「つまり、お金を払うとファンになれるってことだね」
「……言い方があるだろ」