あたしは、厨二じゃないっ!
「じゃぁ、ノーマは今晩寝る場所もないんだな。じゃぁ、ウチ来るか」
あらかた食事が終わった頃、オービルがあたしにそう言ったら、
「オービル、おまいさんそれはちょっとアレなんじゃないかい。いくら学校出たてぐらいだからって言っても、この子は女の子なんだろ。おまいさん一人暮らしなんだからさ」
皿を片付けにきた、お店の女将さんらしき女の人がすかさずそう言って窘めた。へぇ、オービルって独身なんだぁと思っていると、女将さんは、
「おまいさんだって、デクスぐらい早くに結婚してれば、この子ぐらいの子がいてもおかしくないんだよ。先に子供なんか引き取ったら、ますます嫁の来手がなくなるじゃないか」
と続けたんで、その言葉に、オービルが咽せた。けど、あたしぐらいの子供がいてもおかしくないって、オービルってば、一体幾つなの? と思ってたら、
「おまいさんももうすぐ31なんだ、人の世話を焼く前に、自分の世話を焼きなよ」
「さ、31~!! げほん、げほん……」
間髪入れずそう言った女将さんの言葉に、今度はあたしがデザートを呑み込みそこねた。31になるってことは、今はまだ30ってことだよね。おっさんくさっ! 37~8ぐらいだと思ってたのに。第一、37~8だって、十分早いけど、31で19の子供って、幾つで結婚しなきゃなんないのよ!!
「それがどうかしたか? ノーマは12~3だろ? なら、計算が合う……」
「誰が、12~3だって!!」
呆れた、あたしが中坊と間違われてた訳!
「ちがうのか、学校出てすぐならそんなもんだろ」
あたしは飛び級でもしたのかというオービルを睨み上げて、
「逆よ、あたしは19! 来年二十歳の歴とした大人!!」
と言い放った。飛び級って、あたしは一桁かってぇの。だけど、その言葉に、オービルはもちろん、女将さんまでフリーズする。ああ、そう言ゃ最初、オービルのあたしの扱いって、完璧ガキンチョ相手だったもんね。あれって、オービルの勘違いなんじゃなくて、この町の人の共通認識だった訳? うー、だとしたら、マジ凹む。
あたしは、ぽかんと口を開けたままの二人を見て、完全に脱力した。