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刀様の言う通り!?  作者: 神山 備
Taverna la Bianca
28/96

ノーマ・ビアンカ

  あっという間に白あんパンを完食してしまったジェイ陛下は、素に戻っていたことを取り繕うように大きく咳払いをして、

「皆の者何をしておる。遠慮せずに食べてみよ。このピペ、なかなかに美味なるぞ」

と言ってふんぞり返る。そしたら、こう言うときは女の方が度胸が据わってるのかな、ナタリアさんがおむすびに、さっきジェイ陛下にカゴを渡した侍女さんがあんパンに手を伸ばした。あたしはおむすびの横にポラの葉で仕切って置いてある板海苔をとってナタリアさんに渡した。そして、女性陣は

「これにくるんで食べるんですの?……紙? 磯の香りがしますわね。ああ、おクスコフが口の中で解けるわ。

ええと、中に入っているのは……海鮭シェルタね! この和えてあるソースは何?」

「このピペ(パン)、なんて柔らかいんでしょう。中に入ってるクリームは……モンテ? の色ではないですわね。では、カリレ芋? カリレ芋はこんなに甘くないわ。ああ、一体何ですの」

今まで食べたことのない味に、質問の嵐。

「王妃殿下、それは紙ではなく、海苔アーラを細かくして紙のように漉いたものです」

「これが海苔アーラ!」

「はい、香りが立つように、ここにくる直前火であぶって参りました。

それから、ピペ(パン)の中身は、クロー豆でございます」

「「クロー豆ですって!」」

あたしの答えに、彼女ら以外からも驚きの声が挙がる。

「はい、少量の塩とお砂糖で甘く煮てあります。ああ、カリレ芋というなら、薩摩コルディン芋や、南瓜ダイアンでも良さそうですね」

「ああ、南瓜ダイアンならきっと合いますわ!」

それに対してあたしは、今思い付いたようにそう付け加えた。実は、オービルに『お前はヘイメ出身の発明好きだ、解ったな』と、王宮でのキャラ設定を決められていたのだ。でもあたし、顔立ちヘイメっぽくないよと言ったら、『ヘイメにも移民ぐらいいるぞ』とオービル。念のためにヘイメを出るときにあたしの戸籍を領主権限で改竄したんだよ。犯罪だよ、まったく。 あたしは今、三代前に北のレズノルドってところからアルスタットに移って来た移民の子孫ってことになってる。何でレズノルドかって言うと、北の国の人だから、色白なんだって。ダリルさんから、

「ノーマ様の世界でワイアプとはどう言うんですか」

といきなり聞かれたときにはビックリしたけど。最初はちゃんと、【シロ】って言ったんだよ。でもね、それがあたしの偽の名字になると聞いて、却下。シロって、なんだか犬みたいじゃん。まぁ、もう今はレクサントに改姓してるけどさ、旧姓聞かれる度にワンって言わなくちゃならない気分になっちゃう。

 そこであたしは、イタリアの白、ビアンカにして欲しいとダリルさんに言った。

「ところで、なんで白なの?」

って聞いたら、

「ノーマ様のイメージがワイアプだからですよ。ノーマ様自身も色白でらっしゃるし、ノーマ様の作られる異世界食も白い物が多うございます」

って答えが返ってきた。ま、『色の白いは七難隠す』って昔の人は言ったみたいだし、異世界人だなんて知れたら、この頭の固い融通の利かないお城の人たちに、何言われるかわかんないよね。


 てな訳で、ヘイメの発明家ノーマ・ビアンカが誕生した。

 

 で、その頭の固い融通の利かない人たちは、遅ればせながらおそるおそる手に取ったおむすびとパンを貪るように食い散らかし中。今のとこ、あんパンで頭痛を訴える人はいない。寧ろ、あんパンの人気の方が高い状況。ね、解ってくれる人は解ってくれるのよ、オービル。


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