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刀様の言う通り!?  作者: 神山 備
Taverna la Bianca
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お菓子なパン

 パンのかじり口を見ながらわなわなと震えるダリルさん。

 当然ながら今回焼いたのは成形パン。なら、一個ずつ中身を変えるとまでいかなくても、半々で何か入れたいなって。そこで、あんこを作って入れたのだ。ただ、小豆もどきを見つけられなかったから、白花豆もどきの白あんパンなんだけどね。

 こっちではパンが甘いという発想はないから、あたしも最初は普通のパンを食べて貰ってから、甘い物が挟んであると説明して出す予定だった。しかも、ダリルさんはあまり甘い物が好きじゃないから、ダメだったらパスしてくれて良いよと言って渡すつもりだったのに。

「ゴメン、それ後から食べてもらう予定の、エランジュピペ(菓子パン)だった」

と、あたしが謝ると、

「ピペ(パン)がお菓子エランジュ!?」

お菓子とパンという別々のカテゴリーの物が一緒になっていることにみんなは目を丸くした。おむすびもそうだけど、こっちの人には中に物を詰めるという発想がないみたいだ。ま、全粒粉で、ポロポロのこっちのパンになんか入れても、食べてる内に崩壊して、エライ目に遭いそうだけどね。

「あくまでもピペ(パン)はピペだけど。あっちでは、いろんな物乗せたり詰め込んだりして焼くの。

もちろん、おかず系のもあるけど、果物を甘く煮たのとか、これみたいに豆を甘く煮たのだとか」

「豆自体が甘いものですよね、更に甘く煮るんですか?」

そう、こっちは豆をシチューに入れたりチリビーンズのように辛く煮つけるのが一般的だ。

「うん、これもクロー豆を砂糖とひとつまみの塩で煮てあるんだよ」

あたしはそう言いながら、あんパンを半分にしてイオナさんに渡す。なぜ半分なのかというと、また間違っちゃわないようにという確認の意味と、あたしが半分食べたかったから。

 実は試作だからって結構中のあんこを大盤振る舞いしちゃったのよね。さすがに一個食べると重そうなんだもん。

 でもさ、白花豆なのに、名前がクロー豆なんだよねこれが。クローリア地方原産だからなんだけど、なんだか日本語的にはビミョーな名前。

「うわぁ、おいしい! 本当にこれが豆なのですか?しっとり濃厚で、まるでクリームのようですわ」

一方、あんこの部分をがっつりいったイオナさんは、そう言ってはしゃいでいる。でも、

「でしょ?」

満面の笑みを浮かべながら盛り上がる女性陣に対して、男性二人は敢えなく撃沈。オービルは、

「頭痛がしてきた」

と頭を抑えてているし、ダリルさんは、

「歯が宙に浮いているようです」

と顎を抑えている。それを見て女二人はくすくす笑いながら、パンの試食会は終わった。


 ただ後日、あんこの作り方をイオナさんに教えたとき、その砂糖の量にイオナさんがフリーズしてしまったのはご愛嬌。


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