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呪われし欲望に祝福を  作者: alex
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悲しき命に永遠を 1


第一章悲しき命に永遠を  1


 渚の大声に目を回していた祐樹が覚醒する。

「何事だあああ?」

きょろきょろして声の主を探す。目の前には10歳ほどの猫耳がいる。

「誰だ?」

猫耳については見て見ぬふりをした。俺は何も見てない、と言い聞かせて。

「祐樹、お、俺だよ、佐倉渚だよ!!」

「はあ?」

そりゃあ困惑した。確かに昔からの幼馴染の渚の10歳ころの時とそっくりだが、渚は大学生でもうすぐ二十歳もいいとこだ。それが人生の半分ぐらい幼くなってる。それに、それ以上に猫耳が気になる。

「渚なのか・・。その耳は?」

「起きたら付いてた・・それに見た目が……。」

 渚は14歳くらいまでそりゃあもうチビだったのだが、その時期を境に急に伸びて180台に達した。ということは今の渚はチビだということだ。

「なんでこんな姿に・・・・?」

祐樹が問うとすぐに渚はこたえた。

「あの幽霊がいってたんだ。魔力がどうとかで魔力適正値が高い種族になるとかかんとか。」

嫌なことを思い出した祐樹は渚の話はほとんど上の空だった。

――そうだ、幽霊がいたんだ・・・。

「聞けよ!!」

「お、おう・・・。」

するとどこからか声が聞こえた。綺麗だけど冷めた不思議な声だ。

「そこの坊主、ケット・シーなんてラッキーだったな。

「はあ?」

 上空から発せられる声につられて夜空を見上げる。そこには宙に浮いた紫色の髪をした少女がいた。宙に浮いている以前で不思議だがそれ以前に彼女の瞳が気になる。右から見ると赤色、左から見ると青色、正面から見ると透き通った菫色だ。思わず彼女の瞳に見とれる。空中で体育座りしている彼女はよく見ると背中には蝙蝠のような羽根が生えている。

「ボクの姿に見とれるのはその辺で勘弁しておくれよ。ボクはシャイなんだ。あんまり見ると照れるだろ?」

 思ってもみない発言に戸惑うが祐樹は一言わりぃ、とだけ返した

「ボクはインプのスミレ・イ・レドネィア。すぐそこの地獄に住んでる悪魔の一人さ。」

 地獄という単語におののくがインプと聞いた時点で予想はしていた渚は表情を変えなかった。

「ここはヘル帝国の端っこで僕らインプの寝床なんだけど今日から君らと一緒に行動するようにリリス様から頼まれてねえ。リリス様っていうのは君たちをここに連れてきた美女ね。」

 少し困惑したが納得した。

「彼女の言っていた使いか。」

「うん、ボクは悪魔の王女リリス様から正式に貴族として認められて彼女の使いをしているんだ。上級悪魔だよー。」

祐樹はうろたえていたが彼女が面白かったのかうろたえるのをやめて一つ質問をした。

「上級悪魔さん、ここはどこなんだ?」

「スミレでいいよー。ここは始まりも終わりもない異界エンチャントの九つの大陸が一つ、スヴァールトアルヴヘイムのヘル帝国の端っこだぞ。さっきも言ったけどな。」

 ヘヘン、と調子に乗るインプ。

「スミレさん、聞きたいんだけど、俺の体縮んでるしこの耳。一体何なんですか。祐樹は普通なのに。」

一番聞きたかったことを渚は問う。

「君は魔法適正値が高かったんだぞ。特にケット・シーは高度な攻撃魔法と封印魔法、あと幻術魔法を得意としている身体能力が高い妖精でな。胴体視力も高く猫の妖精という意味なんだ。すっごく珍しくて彼らには集団ですむ寝床もいらないくらい少数なんだよ。まあ、そんな希少な奴になった反動で10年ほど若返ったんだな。もう一人はただの人族みたいだけど魔法適正値ゼロの代わりに武芸が得意で剣士になる奴が多い。あと、呼び捨てで呼んでおくれよ。さん付けは省にあわないだろ?」

—―よくわからないが魔法適正値が俺は高くて、祐樹は低かったってことか。俺もただの人族が良かったな。こんなみっともない姿…

渚がしょげているとそんな気持ちは知らない祐樹がマイペースにいう。

「渚、かっこええ!俺もケット・シーとかいう奴のほうがよかったな。」

こいつ、人の気もしらないで・・・。

パンッ!!

手のひらをたたく音がした。その音の主はスミレだった。

「質問タイムはジ・エンド!!これからボクの寝床に行って早めの休息にしょうか。」

あれ?向こうでは昼じゃなかったっけ?そういえばここに来たときから夜だった。時間差があるのか?まいったな、こりゃ寝れそうにないぞ。

元々、夜中に寝て昼起きるという時間枠の中で生活してた渚にはもっときつい。祐樹は9時に寝て4時に起きる大学生とは思えない生活をしていた祐樹は問題ないだろうが。まあ、渚は夜中までバイト、祐樹は朝、新聞配達のバイトをしているのでその影響だが。

 そして彼女のねぐらとやらについた。ただの洞窟に家具を置いているだけだった。まあ、幾つかの洞窟が一つにつながってるので広いし、かべに挟まれたへやも結構あったので暮らすには十分だろう。明日は準備して、明後日から旅へ出発することになった。

 気になっていたのがスミレの羽根だ。どうやって寝るんだろう、と隠れながらきにしていたらスミレは気づいたようで羽根をしまってくれた。折りたたんだ、いや違う。消えたのだ。自由に出したりしまったりできるそうだ。不思議だ。彼女にはもう一つ特徴があった。しっぽだ。紫色の30センチ程のそれは、先っぽが針のように尖がっていて先には毒があるらしい。これはインプの特徴らしい。

 ベットは思いのほか柔らかかった。ふだんなら1秒もかからず眠れるはずなのに全く寝付けなかった。


       ***


 結局、その日は満足に睡眠がとれなかった。おかげで朝になって眠気が襲ってきた。

 あと、耳やしっぽが非常に気にくわなかったのでそれに対してもイラつきが頭によぎる。

 よく眠れたらしい祐樹は満足げにおはよう、と言ったのだが俺は無視で返した。一体、誰のせいでここに来たと思ってるんだ。別に攻めるつもりはないが、祐樹は考えなしなのでよく巻き込まれる。

 いまさらだが祐樹と俺の要望と性格を話そう。というか俺は誰と話してんだ?

 俺、佐倉渚は黒いショートヘア―とそりゃあもう真っ黒な、漆黒というのか知らないがとにかく黒い瞳をしている。肌は日本人にしては白い方だ。俺の元の姿は結構背が高かったのだが今はあいにく低い。耳としっぽは猫のような形で相変わらず黒い。

 性格は皮肉屋で面倒くさいものには興味を示さない。体操をやっていたので体が柔らかい。頭は中の下で大学に入れたのが奇跡だと自分でも思う。まあ、いいところなんて無い。無表情で無口、まあ聞き上手だってことくらいか。顔は良かったので女から結構人気あったが気になる女なんていなかったな。

 俺の親友で幼馴染の大阪祐樹は江戸茶色の髪に焦げ茶色い瞳をしている日本人にしては珍しい。肌は日本人らしさがあり黄色だ。背丈は平均そのものだ。

 性格はいいやつ、ていう感じだ。無鉄砲で考えなしのバカだが、面倒見がいいし頼りになる。困ってる時は助けてくれるし見た目もいいので女子から途方もなくもてたりする。剣道をしていたので運動神経がいい。成績が良くて常に学年トップ5入りだったので俺よりずっといい大学に通ってる。でも頭の回転が鈍かったりする。

 と、誰にしているかわからない自己紹介は終わりにしよう。どんどん眠たくなってくる。

そこへスミレがやってくる。

「いまさらだけど君たちの名前を聞いてもいいかい?」

この人、いまさらすぎ。それにしても変なしゃべり方するよな。柔らかい女声なのにどこか冷めた声にまるでお人形さんのようなしゃべり方。もちろん本当のお人形のしゃべり方は知らないけど……。

「俺は佐倉渚。」

「俺は大阪祐樹。」

「ナッギーとサカユーね!!」

はあ?しばらく意味が分からなかったがあだ名で呼びたいのか?

「俺の事、ユウでいいよ。」

「俺は…渚って呼んでくれよ。」

「ユウ君はイイとしてナギサは呼びたくないなあ、ボク。」

じゃあ、どうすんだ?ナッギーとかありえねーし。

「決めた!!君のことはクラナと呼ぶよ。佐倉な(・・)ぎさ君。」

気にくわないがまあ呼ばれ方なんて気にすることじゃねえし、まあいっか。

 それから俺らは旅の準備を始めた。リリスとかいう幽霊がくれたリュックは彼女の言葉通り物を縮めて収納ができた。中には着替えと金とアウトドアセットのようなものと懐中電灯などあらゆるグッズが入っていた。渚は黒いローブが気に入らなかったため黒いコートに黒いズボンと黒いブーツと黒ずくめにした。コートの中には隠しナイフをスミレに仕込まれ、ほかにもいざというときのための解毒剤もしくまれた。どうやらこのスヴァールトアルヴヘイムはものすごく物騒らしい。耳を隠すためコートのフードを被るように言われた。祐樹は人族なのでこの地獄と呼ばれるヘル帝国を出るまで長いローブにフードを被る必要があった。中はあの剣士のような服のままだ。着ない着替えやいらない日用品を彼女の寝床に残し、食料や調味料をリュックに詰めた。およそ二十日分の食料はなんとか見た目小さなリュックに収まった。

 準備のあと彼女の家を片付けさっさと布団に入って眠りについた。大きな不安と小さな好奇心と共に。

駄文なのでそこらへん注意ですね。ただただ作者の好奇心ですので、こういうのが苦手な方は回れー右!!です。

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