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その後は他愛もない会話を少しだけしたところで僕はお皿洗いに、少女は歯を磨きに行った。
タスクドールの欠点は脳に疲労を来たすので睡眠時間の確保が必要だ。少女は日に最低八時間の睡眠を強いられている。
行動時間を過ぎれば電池の切れた機械の如くその場に倒れる。無防備だが僕のようなプロトタイプと違ってセーフティが色々とあるらしい。羨ましいことだ。
「おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
少女は自分の部屋に戻って行った。僕も残りの皿を洗って、お風呂に入って寝ないと。
そう思っていると、少女と入れ違いのようにリビングに伊江楼が入ってきた。
「ご飯……ある?」
ボサボサの金髪を右手で揃えつつ、眠たそうな目を左手で擦りながら彼女は欠伸を噛みしめて僕に尋ねる。
「しゃんとして下さい。猫背になってますよ」
「しゃきーん」
楼は口で言いながら、一切姿勢を正さずリビングに横になった。
僕らプロトタイプは七人。皆が色を使った偽名を使って生きている。それは連帯感を生むためなのか、碧が決めたので僕は知らない。
「お、悪いね!」
僕は無言で総菜を並べていく。
パスタは作らなかったが、代わりにインスタントの味噌汁を並べてあげた。
「いただきます!」
シャンと座り、豪快に手を叩いて食べ始めた。よく噛むので勢いよく手を叩いた割には食事速度は遅い。
桜は七人の中では貴重な常識人だ。素直で、頼りやすい性格をしている。
今回、僕が少女を引きとることになったとき率先して手伝いに来てくれたのが彼女だ。少女の服は専ら桜が買ってきてくれる。
少女も他と比べると懐いている印象を受けるが、それでも二人きりになることは今まで見たことがない。




