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少女は納得しないと置いて行けない。僕を探すことで能力を無闇に使われては犠牲が出てしまうと容易に予測できるためだ。
死にはしないだろうが。少女がその気にならなくても弾みでここら一帯は廃人だらけになるだろう。
すぐに明りが切れる電球と、明るさが強く一定ではない電球。
「……どっちが失敗作なのだろうか」
どちらも商品には向いてなさそうだが。
夕御飯を食べ終え、少し一息。
僕はテレビを見て、少女は僕の膝に頭を乗せて幸せそうな笑顔を浮かべている。
懐き方はタスクドールの生体パーツと同じく黒猫に似ている。気まぐれで甘えん坊。
テレビはいつの間にか料理対決になっていた。どうなってこうなったかはわからないが、いくら素材や調理がよくても食後では食欲は当然湧かない。
チャンネルを変える手間すら煩わしく思って暇をつぶすべくぼんやり見ていると、テレビのテロップでは猟奇殺人事件の新たな犠牲者が生まれたことを客観的に述べていた。
「明日は僕が作る」
ふと下からそんな提案をされた。
タイミング的に猟奇殺人事件かと思ってみたが、刹那に料理だと行き着いた。
「作れるの?」
外見年齢は中学生ぐらいで、研究所では眠っているか勉強しているかだと聞いていたがどうなんだろう。
「レシピは頭の中には入っている」
「失敗しそうなフレーズだ」
「美味しくは思わせられるから」
物騒なことを言われる。
さすがに頷けず、教育。
「僕の許可なくタスクドールを使わないって約束したよね?」
「うん。使わない。だから、出来たのに美味しくなれーって言う」
微笑ましい。それならば許容内。
問題は誰に言われたかだ。
「碧から聞いた」
僕は自分の頭を軽く抑える。
どこであの問題児と会ったのだろうか。