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「つれない返事ね」

 言い切ってから、わざとらしくため息を吐かれた。

「それが性分です」

 僕はぴしゃりと返しておいた。

 電話先の人物は恋木紅こいきあかと言う。曲がりなりにも年上なので敬意と呆れを混ぜ、丁寧語で返した。

「今から晩御飯なので切りますよ」

「通り魔にでもなるつもりかしら。そうちゃんはそんな子じゃないでしょう?」

 そっちの意味合いではない。僕がタスクドールを家に上げたからからかっているのだろうか。

 紅はいつも本題に入るまでが長いためまどろっこしく思う。

「パスター、パスター!」

 少女は少女でマイペースに僕が運ぶ途中であったものを運んでくれた。あと少しで全て並んでしまう。

 変なところで気が回るものだ。

「それで本題は?」

「別に用事って程じゃないわ。ただ、上手くいっているのかなって」

 意地悪い。

「わかるでしょうが」

「ふふ」

 短く笑われた。

「それは僥倖ぎょうこう。なーんてね。お仕事あるから、明日はこっちに寄ってね」

「言われなくても行くつもりでしたよ。おやすみなさい」

 僕は電話を切り、少女を見る。

「上手くいかなくても」

「?」

 僕は少女を、少女は僕を利用しないと生きていけないのだから。

「いただきます」

 手を合わせて晩御飯を口にする。

 多少冷えていても、空腹がスパイスになって美味しく感じる。それに一緒に人と食べているからだろうか。だが、インスタントでも良いから味噌汁を付ければ良かったと小さく後悔した。

 テレビは楽しげなバラエティを映していたが少女は画面よりもなぜか僕の表情をよく見ていた。

「なに?」

「明日の予定」

 聞いていたのだろうか。

 少女は置いていかれるのをひどく嫌う。

 誰かに預けようにも僕以外の人に懐かないのも問題の一つだ。この愛情の向かい方は鳥の刷り込みに近い。

 別に僕が少女に一番最初に会ったわけでもないのだが。ただ単純に僕がタスクドール計画のプロトタイプだから波長が合って落ち着くためであろうか。

 詳しくは知らない。

「明日は頼みごとがあるから外に行きます」

「行く」

 僕は逡巡したが、頷くしかなかった。

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