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ゲーム

チュンチュンと鳥の音色が聞こえ始める頃。


「あああああ!」


静寂だった家の中が、いきなりの大音量で静けさを消す。


「ん……、どうしたの?将くん。」


ガチャッと扉を開け、寝間着姿で聞いてくる。


「どうしたじゃねぇって!時計見ろ!時計!」


「時計?……あら?もう、入学式10分前じゃないの。」


「なんでお前、そんな冷静なんだよ…」


「え〜?だって、私のスキルを使えばいいんじゃないの〜?」


忘れてた。美由のスキルは、簡単に言えば瞬間移動(テレポート)だ。それなんてチート?と言われるかもしれないがスキル自体には、殺傷能力がないのでランクはCだ。

厳密に言えば、瞬間移動ではない。美由のスキルは、「接触転送(センディング)」といって『自分の手に触れたものを、瞬時に違う場所へ送る』というスキルだ。だから自分しか、移動できない瞬間移動よりも明らかに性能がいい。しかし、デメリットもある。

自分以外の生物を、転送できないことだ。何故自分はいいのかわからないが、試した結果ダメだったそうだ。故に……


「それ、お前だけしか間に合わねえじゃん!」


「あれ?あ〜そうだった〜♪じゃあ私は、着替えて行くね〜」


えっ?ちょ待って、裏切るんすか?待ってー!美由様ー!


チッ……。まぁ美由は、可愛いから許してやろう。問題は……


「なぁ〜どうしたんだ〜、こんな朝早くに〜」


こいつだぁ!こいつだけは逃してはならん!


「ん?ああ、いや、タンスの中にゴキブリが40匹くらいいただけだよ。」


「へえ〜、って何それこわっ!」


ふふふ…ちょろいちょろいっ。


「いや〜だからもう、学校行こうか。」


「いや、だからじゃねえだろ!…まぁ、いいか。で、今何時なんdぐぼらっ!」


「あっれ〜?ごめん、なんかゴキブリがお前の腹部にいたから殺そうと思ったけどちがったは〜。それよりも早く、飯作らなきゃな〜いくぞ〜」


「ちょ!待てって!引きずるなよ!階段階段!やめろってあががががががががが」


こいつ、風のスキル使って、飛んで行くとか言うかもしれんからな。悪いが俺と一緒に怒られてもらおう。



————————


「ですが、オルガ様。CランクやBランクの方は、どうするのですか?AランクやSランクの方は、ともかく。彼らは殺傷能力が極めて低いですよ?」


「あっはっはー!いいよミリア、心配しなくても。ちゃんとその部分には考えがあるからねー」


薄暗い場所で、青年と美女がなにやら話しあっている。


「考え、とは?具体的にどういうものですか?」


「んー、めんどくさいなあ。まあいっか。いいよ、教えてあげる。」


口角をあげ、なにかいたずらを思いついたような笑みで青年は言った。


「レベル制にするのさ!まず最初に、一人10ポイントぐらい経験値を持たせておいて、殺したらその殺した人の経験値を丸ごとぶんどれる!そして経験値がある程度上がったら、レベルをあげさせる。そのレベルに従って体力や素早さ、筋力などを上げさせる!ああ!なんでこんなこと早く思いつかなかったんだろう!せっかくぼくの世界なのに!」


「しかし、それでもCやBランクの方々は、不利になりませんか?レベルを上げるために人を殺さなければいけませんし、本末転倒ですよ?中には防御特化のDランクもありますし。」


「ん?それはそうだね。じゃあ人間以外にも敵を作ろうか、魔物みたいなものを。どうせ作るならとびっきり弱いものから、最強のものもつくってみたいね!んー!ワクワクしてきた!」


「まるでゲームの世界のようですね。」


「そうだよ!これはゲームだ!殺し合いと言う名のゲームなんだ!」


「しかしそうだとしたらラスボスはどうなるのですか?今のところ絶望しか、与えてないように見えますが。希望を少しでも見せないと人間達はうごきませんよ?」


「それじゃあ、僕たちを殺したら終わりだ!世界も共に終わることになるけどね!」


「なるほど終わらせる気は、ないということですね。その偽の希望を提示しても、頭のいい人間は諦めると思いますよ?」


「そうかな?それこそ、レベルをあげれば僕を越せるとおもうんだけどなあ?…物理のみ、だけどね。ハハハッ!」


「では、いつ開催しますか?」


「うーん?そうだねえ。準備に1日ぐらいかけるから、開催は明日だね!」


「では明日の正午に開始という事で。あなたには、ちゃんと人間達に説明してもらいますよ。」


「えー、めんどくさいよー。ミリアやっといてー。」


「ダメです。あなたが考えたのですから責任をもってやってください。私は、あなたの手伝いしかしませんから。」


「あー、もうわかったよ。やればいいんでしょ、やれば。じゃあ僕、さっそく準備してくるから!じゃあね!」


そして青年は、その場から光と共に消えた。


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