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古神機 ~繋がれし古の神々~  作者: 堤桜
第一章 輝きの巨人
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 戦争の兵器としてのロボット物よりもスーパーロボット系が大好きなんです。

 小難しい格闘技より単純明快なプロレスの方が好きなんです。

 鉄壁の防御力に圧倒的な破壊力でガンガン敵を倒して行くというのが好きなんです。

 ん?高等部の三上先輩…裏門から出て行ったけど、早退なのかな。

 県立ながら、中高一貫の本校男子生徒全員の憧れと言っても過言では無い、麗しき先輩の姿が目に入る。

 神社の娘さんで巫女さんなんて反則スペックまで備えているんだから、一部の連中には神格化されている状態だ。

 かくいう僕も来春には高等部に進学し、同じ学校に籍を置くのを願っている。


「やっぱ黒髪ロングのストレートって最高だよなぁ」

 やはり彼女を見付けた級友の翔が、間の抜けた顔で話しかけてくる。


「でも舞ちゃんのツインテールの破壊力も負けちゃいないなぁ」

 人の妹を怪獣だか兵器みたいな表現をするのは辞めて欲しいもんだ。


「お前は女の子のことしか頭の中に無いのかよ?」

「剛みたいな優等生はどうだか分からんけど、中三男子なんてそんなもんだよ。それに俺は美容師志望だから、女の子の髪が気になるのは当然だよ」

「たしかに家も美容室かもしれないけど、女好きってのが本当のとこだろ」

「ハッハッハッそれ否定できないなぁ」

「でも好きこそものの上手たれだっけ?それに俺は剛みたいに頭良く無いから、手に職を付けるって方が合ってると思うんだよなぁ」

 

 手先が器用だし明るく社交的な翔に、美容師というのは天職かもしれない。

 中三くらいで道を決めちゃうのはどうかと思う反面、自分のやりたいことがはっきりと決まっている友人を、羨ましくも思えている。


「優等生っていったって自分が何をやりたいのか分からないから、取り敢えず勉強してるってだけで大したことじゃないさ」

「それ、学年トップのお前が言うと嫌味にしか聞こえないから、他の奴の前では言わない方がいいぞ」

「あっ、そうだなありがとう」

 

 どうにも考え足らずに物を言ってしまう、対人スキルは圧倒的に友人の方が上だと思い知らされる。


「翔が美容師って、最高に合ってると思うよ」

「サンキュ」

 

 自分の進む道を見付けている友人を、本当はうらやましく思う、僕はするべきことが分かるまで勉強を頑張るしかない。

 予鈴が鳴り昼休みの終了を告げる。


 帰宅部である僕は、授業終了とともに帰ることとなる。

 本当は運動部に入りたかったのだが、「剛」という名前が皮肉なほど非力で、運動が苦手なので断念してしまった。

 二つ下の妹は逆にスポーツ万能で、チアリーディング部に入ったと思ったら、夏合宿終了後にはレギュラーメンバーに抜擢されたというのに……

 

 そういえば「日曜日に県立スポーツセンターで競技会があるから観に来てね」と言われていて「必ず行くよ」と返事したんだよな。

 応援団を応援するというのも何だかおかしなものだと思うが、シスコンという程では無いが妹は可愛いので即答したんだったよな。

 

 帰宅して早々に課題を終え夕食の時間となった頃に、最期の追い込みの練習を終えた妹が帰ってきた様だ。

「ただいまぁ」

「おかえりなさい」

 

 部活で大汗をかいてくるので、まずはシャワーに直行するのが、妹の行動パターンになっている。

 その後に夕食して、TVを観てから改めて入浴するという、何だか無駄な行動過ぎるんじゃないかと思うのだけど、「乙女はそういうものなの」ということらしい。

 

 その後リビングでTVを観ながら、遅い父の帰宅を待って一頻り会話をしてから寝るというのが日常となっている。

 何時勉強してるんだ?と思うが、平均以上には出来ているのだから大したものだと思う。


「お兄ちゃん、明日よろしくね」

「ああ」

 夕食を終え部屋に戻る僕に声を掛ける妹に返事をする。

 チアの競技会の観戦って、ちょっと恥ずかしい様な気がするが、可愛い妹から言われたら断るなんて無理なことだ。


 部屋で本を読んでいると、今日も帰りの遅かった父親が部屋にやってきて、無茶なお願いをしてくる。

 小一時間問い詰めたいところだったが、絶対に諦めない相手だということが分かっているので、それなりの条件で手を打ってやるとする。

 

 家庭円満はWinWinでないとね。

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