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別れと魔獣と双子・・・仲間

今回短いです


「彼女と話してきます」

と、スピカの方を指した。


シュナが冒険者たちと何やら話しているころ、スピカはカイトからシュナの対応について注意を受けていた。

「スピカのいいところだとは思うが、人が良すぎだ。今は食料も薬草も潤沢に足りているがこれから先、俺らと別れた時にそれが続くとは決して限らない。だから、さっきスピカが言おうとしていた「お礼なんて」なんて言ってはだめだ。まして、あのガルウは依頼で彼らが退治していたのかも、行きずりで退治していたのかもわからない。もし、依頼だとしたら彼らは彼らの実力で退治したという事になりかねない。でも、彼らの実力ではガルウを退治することは極めて困難だったよな。あのままスピカの介入がないまま彼らだけで対処していたら時間はかかったかもしれないが、退治できたかもしれない。でも、それじゃぁだめなんだ。なんでかわかるか?」


段々と表情が曇るスピカに、真剣な顔で教えるカイト。

彼の問いはスピカにはわからなかった。


「これから先スピカがどういう人に会い、どういう旅をするのかわからないが狩りに不慣れな人との旅になった時に困らないよう教えておく。“狩りは70パーセントの力ですること”不測の事態に備えておかなければならないし、帰り路の体力も必要だ。獲物は狩りました。が、帰る体力がなく魔物に襲われてしまいました。では意味がない。それが一つ。もう一つは彼らだけでガルウを狩れたと申告した場合、もしかしたら次の依頼が彼らの実力に伴わない依頼になるかもしれない。そうなった場合、彼らは死んでしまう可能性だってありうる」


カイトの言葉にスピカは泣きそうだった。

下手な優しさは犠牲を産むかもしれないと初めて気が付いたからだ。

ここは結界石で覆われた町や村ではないのだ。自分の身は自分で守らなければならないし、その為には自分の実力を知っておかなければならない。

そういう場所だ。

シュナやカイトのおかげで忘れてた。

自分がどれだけ恵まれた旅をしているのかを。


「ごめんなさい。私が甘かったです。一歩間違えば私は彼らを傷つけていたのですね」

「まぁ、過ぎたことは仕方が無いしこれから気を付ければいい。だから、頼む泣きそうな顔をしないでくれ!シュナに何を…」

「あ、カイトさん泣かせてるんですか?大丈夫だと思ってお任せしたのに…」

スピカを慰めるように頭をなでていたカイトだが、シュナにそれを見られ慌てたように手を離した。

「いや!これは…泣かすつもりはなかったんだよ…」

実際にスピカは泣いてはいない。あくまで泣きそうな。なのだがそれでもカイトにしてみれば同じように思うのだろう。

「わかってますよ。別にこれでスピカさんが泣いても仕方が無いとしか思いませんよ。で、スピカさん彼らですがギルドの依頼みたいです。スピカさんが話し合って決めてください。手助けをしたのはあなたですから。カイトさんもそれでいいですよね?」

頷くカイトを見てスピカはこの旅に二人がいてくれて良かったと思った。


だから、彼らとの報酬は決めていた。

本の少しくらい強気に出てもいいだろう。


「話し合いに行ってきますね」

カイトやシュナが聞いたら驚くような報酬だろうが、今のスピカには大切なものだった。

受け身ではなく自分から動くために。


「お待たせしました。報酬の件なのですが…」

何を言われるのだろうと不安げに揺れる彼らの顔は、さっきまでの自分のようだと思った。



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