別れと魔獣と双子・・・仲間
シェットからホクゾトまでは野宿をしながら数日はかかる。
幸い天候に恵まれているようで、足取りも軽かった。
今までは…
「これ、どうするんですか?」
「どうって戦うしかないんだろうが…」
「先客がいるようですし、このまま通り過ぎてもいいのではないでしょうか?」
スピカの問いにカイト、シュナと答える。
三人の目の前では…
冒険者のパーティーなのだろう。5人組の男女が魔物、ガルウと呼ばれる本来は大型の四足生物と闘っていた。
基本ガルウは大型だがこれは中型、まだ若い個体なのだろう。毛も多少白いものがのぞける。
「いいか、スピカ、ガルウは成獣になると毛が茶色になる。あの個体は頭頂部がまだ若干白いから成獣に成り立てか早くから群れを追い出されたと思う。オスのようだから群れではない。ガルウのオスは基本群れず、繁殖の時期になるとメスの群れを探して回る。因みに今は繁殖の時期じゃぁない」
その横で、カイトが魔獣の解説をしてくれている。
が、闘っている冒険者たちにとっては邪魔なのだろう。後衛の弓を持った女がにらみつけている。
冒険者は剣士が二人、弓が一人、盾持ちが二人とバランスは悪くない構成となっている。
魔法を使えるものが減っているため滅多にいないが、ここに魔法使いが入るパーティーもあったりする。
「加勢はいるか?」
重い腰をカイトあげ声をかけるが
「わかりませんか!必要なのが!」
と、弓の女に怒鳴られてしまった。
「…そもそも無理をして戦っているのがダメなんだろうに…。よし!スピカ訓練の成果を見せてもらおうか」
ボソボソと何かを呟いていたカイトだが、よし、とスピカをガルウの方へと押しやった。
「え!今ですか!なんの準備も…」
「魔獣との戦いで準備なんて出来る訳がないだろう。街道とは言えど安全な場所なんてない。幸い一人じゃないし、連携なんてもんこの際だあってないようなものだろう。気にするな!行ってこい」
カイトに言われるがまま弓の方へ向かうスピカ。
彼らの戦い方はさっきから見ていた。カイトが言っていたようにパーティーは連携が取れていないと危険だ。しかし飛び入りでスピカが戦闘に入ってしまう場合、そのようなものあってないようなもの。加勢が必要だと言ったのは向うだ。多少の怪我などは構わないのだろう。と思うことにした。
「先ほどから見ていると剣士が切った後、盾の方が防御にそれぞれ入られていますが、入るとき一瞬ですが隙が生まれます。その時に弓を射っていますよね?」
女の方は一切見ないで声をかける。
「ええ、そうよ。で?」
「そのままそのタイミングで攻撃をされてください。狙えれば眉間を。私は魔法が使えます」
みなまで言わずとも彼女はわかったのだろう。頷き弓を構えた。
「射るわよ!」
ギリギリと音を立てて引かれる弓。
放たれると同時にスピカは風でそれを押し出した。
今までにない速度で飛んでゆく矢、それはガルウの眉間深く刺さった。
これまでも、狙えるのならば眉間を狙っていたのだろう。少しガルウの眉間に禿が出来ているが、威力が足らず倒すまでには至らなかったようだ。
しかし、今、放った矢は違った。
スピカの魔法で風の力を借り、押し出す形で放たれたのだからその威力は比ではない。
現に矢は矢羽近くまで刺さっている。
ゆっくりとガルウが倒れた。
さすがに眉間深くに矢が刺されば死ぬだろう。これで死ななければ違う方法を考えなければならなかった。
ほっと息をこぼすスピカ。
「やったぁ!」
そばにいた剣士達が叫んでいる。
弓の女も嬉しいのだろう。少し笑顔が見えた。
「これで大丈夫でしょうか?カイトさん」
カイトとシュナ二人のそばに戻り初めての実地がうまくいったことに、多少呆然としていた。
「ああ、うまくコントロール出来てる。ガルウ自体が体力を削られていたから出来たことだけどな。動きが単調になっていた。本来のガルウは素早い動き、爪と牙が武器だ。体力がある状態では狙えないからな」
よくやった。とスピカの頭をなでるカイトも嬉しいのか満面の笑顔だ。
「あのう、ありがとうございました、手を貸していただいて」
興奮も収まったのか5人は寄ってくると、頭を下げ、声をそろえてお礼を言ってきた。
よく見ると若いパーティーのようだ。装備も若干綺麗で使い慣れていないというか、防具に着られている感がある。
「いいえ、お礼なんて…フグッ」
スピカの口をシュナがふさいできた。
「これはギルドの依頼なのでしょうか?それとも行きずりですか?」
スピカはシュナが何をしようとしているのかわからない。が、カイトはわかったのかスピカを引き取るとシュナに任せろと耳元で呟いた。
「ですよねぇ…。はぁ、これは依頼です。ですから報酬は分けないといけませんね」
と、盾持ちの一人がギルドカードを出した。
シュナはそれを見ると何やら思案し、
「彼女と話してきます」
と、スピカの方を指した。




