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別れと魔獣と双子・・・仲間

お昼をカイトとシュナに奢ってもらう予定が、マクベル卿の計らいで彼の屋敷に招待してもらうことになった。

最初はマナーも何もわからないスピカを気遣い、断っていたカイトだが最終的にお貴族様の権力をきせられ行かざるをえなくなってしまった。



「ご馳走様でした。マクベル卿」

デザートまできっちり食べ終わり、お腹もくちくなった三人は顔を見合わせお暇をしようと立ち上がりかけた。

「ところで皆さんはこれからどちらまで?」

わざとだ。と言わんばかりのタイミングでマクベル卿が話しかけてきた。

今の今まで全く違う話をしており、ちょうど話も切れた所だったというのに。


「…あっ、これからホクゾトへ向かいます。シュナさんとはそこで別れますが…」

つい、スピカが答えてしまった。

カイトとシュナは止めようとしたが、席が離れていたため遅れてしまった。

二人の態度にスピカはいけないことをしてしまった。とは気が付いたが言ってしまったものはどうもしようがない。苦笑いでごまかした。


「シュナさんはホクゾトでお別れという事ですが、郷のトゥームに帰られるのかな?」

流石は貴族。というところか、たったこれだけの情報でシュナの行動を当ててしまった。

ホクゾトは中継地の町として栄えている。ホクゾトから西へイサ等を経由しシュナの故郷トゥームへ行く道と、南下しウィッテで船を使用しコンシャースへと行く道がある。

他にも小さい街道がいくつかあり、商人などは必ず通る道だ。


「はい、そうですが、何故でしょう?」

何か用事を依頼されるのではないか、と身構えてしまうシュナ。

だが、

「いや、別に依頼などではないから身構えずとも…。ただお礼の手紙を届けては貰えないかと思ってね。あなた方の様子を見ていると急いで出立しないといけないようだ。少し時間を貰えないかと思たのだか…」

「手紙を届けるくらいなら僕は構いませんが…」

チラリとカイトを見る。

「時間はどれくらいかかるのでしょうか?宿に荷物を置いたままですし、いろいろ買わなければならないものもありますので。少し時間がかかるようでしたら先に用事を済ませてしまいたいのですが…」

昨日の依頼が思ったよりも手間取ってしまった事もあり、食料などが買い足せていなかった。

それに、いくらカイトの知り合いが経営している宿屋とはいえ、部屋を出ていて荷物だけ長時間預かってもらうのも気が引ける。


「良かった。今から書きますので皆さんが準備を終えるころにはお渡しできると思います。街を出る時にでも門でお渡しします」

ほっとした様な表情を浮かべた。

「神殿には私の方からシュナさんに手紙を渡したことを伝えておきますのでご心配なく。助かりました。街の神殿を通して手紙を出すと時間がかかってしまって…。一昨日クソンからの手紙を集めてきたのが出てしまってね。次となると一月ほどかかってしまうからな」

良かった、と嬉しそうにしているマクベル卿とは一旦わかれスピカたちは貴族街を出た。


急いで荷物を受け取りに宿へ行き、それぞれの食料を買い足しに市場へ寄った三人。

昼も過ぎていたため思ったほどの食料は買えなかったが、途中で行商人から買ってもいいし肉ならば狩ればいい。となり水と調味料、堅パンなどを主に買うことになった。

食料品以外の消耗品はシェットに着いたときに購入済みだったりする。


そうこうしている内に手紙が届いていてもいい時間になった。

少し街を出るには遅い時間になってしまったが仕方が無い。

少し重たくなった荷物を抱え三人は門へと向かった。


出街の手続きをしている三人に兵士から渡されたのは一枚の封筒。

真っ白な上質紙に赤い封蝋が押されてる。印まではわからないが、マクベル卿からの手紙だろう。

「街道にどうやら魔物がちらほら発見されています。気をつけてください。これがマクベル卿からの手紙です。渡せばわかると。卿は急ぎの仕事が入ったから送りには来られないと聞いています。」

くれぐれもなくさないように。と門兵に念を押され渡された。




「結構えらい地位の人だったのかな?」

シェットの街を背後につぶやいたシュナの一言に他の二人は青ざめた。

気さくな雰囲気だったため、よくよく考えると失礼な事をしていたように思う。





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