別れと魔獣と双子・・・仲間
「スピカさん、手伝っていただけますか?」
はい、と手渡された結晶石は思った以上に軽かった
「…私ですか?」
何故?と小さく呟いたのが聞こえたのだろう、残りの作業をしながら答えてくれた
「元々この街の守護属性は“風”なんですよ。ただ風の魔法を使えて、結界石に魔力を込められる程の魔力を持った人がどんどんいなくなってしまっていて。仕方なく“水”の魔法を使える僕らがやっていただけなんです。その土地にあった属性じゃないとどうしても結界の力が弱まるし、結界石に込めた魔力の燃費も悪くなるらしいんですよね。詳しくは僕も知りませんが…兄さんがこういうのは詳しいですよ」
できた。と小さく呟くとカイトとスピカを呼んだ
「カイトさんは僕が合図をしたらこの結界石を台座から降ろしてください。その時わずかですが衝撃が走るというか、静電気のようなものを感じるかもしれませんが決して落とさないでくださいね」
言われるがまま、指定の位置に立ったカイトだがシュナの説明に慌てた
「は?俺がやるのか?シュナがやるんじゃないのか?」
「僕でもいいですが、そしたらカイトさんはスピカさんに魔力の“道”を通してくれませんか?さっきの言葉からするとやったことは無い様に聞こえたので、そっちを頼んだんですけど…」
ならば、とカイトの処へ向かおうとするシュナに
「い、いやいい。俺がこっちをやるよ…。魔力の“道”なんて通したことないだろう。普通…」
シュナの言葉を遮りやることを了承した。最後の方は何を言っているか聞えないほど小さかったが…
「お願いします。魔法を使うことに慣れた人でないと無理なので…すみません…で、スピカさん魔力の“道”は…」
「知りません!」
「ですよね…。まぁ普通なら知らなくて当然ですし、聞いたところによればスピカさんは魔法を習いだして日が浅いようですし仕方ありませんよね。僕が“道”を通しますのでスピカさんはご自身の魔力に集中してください。カイトさんはいつでも結界石を取れる様に手を添えていてください。僕が合図するまで触らないでください」
カイトが頷いたのを確認するとシュナはスピカの正面に立った
どうすればいいのだろう?とシュナの顔をみたスピカだったが、どうもシュナの様子がおかしい。
両手を上げ下げし、ブツブツを呟いている。
「あの?シュナさん…?」
「あ、…仕方ないですよね。はぁ…。スピカさん今から手を触りますが許してください。後、本来ならばこれは背後から…その…抱きしめるように手を添えてするんですけど、僕の場合…その…手が届かないんです。なので正面からですみません…」
そういうや否や、結界石を持つスピカの手に彼の手を添えた。
「私も、結構恥ずかしいと思うので良かったです。お願いしますシュナさん」
想像するとかなり恥ずかしい大勢になると気が付き、顔を少し赤らめた。
それを聞いていた3人と言われた本人は「そこじゃない」と思ったが口に出すのは止めてい置いた
「今から“道”を通しますが、通ったのが確認できてスピカさん一人で大丈夫だと思ったら僕は手を放します。魔力が貯まってきたら肩を叩くので、台座の結界石の真上まで持って行ってください。カイトさんも僕が肩を叩いたら結界石をどけてください。そしたらスピカさんはゆっくりでいいので台座に置いてください」
お願いします。と二人に頭を下げスピカに合図をした。
集中するために目をつぶった、つぶった先に光の残像が見えていたのが消え、小さな花が見えた
これがスピカの魔力だ
「魔力が見えたと思います。今から僕の魔力をスピカさんに流しますので、それを頼りに結界石まで魔力を持ってきてください」
シュナの声が聞こえた。彼の言う通り魔力の花の横に小さな鳥が見えた。彼の魔力なのだろう。
鳥はくちばしで花を掴んだかと思うとゆっくりと飛び始めた。
花は千切れることなく、くるくる回りながら魔力を伸ばしていく
「その調子です。後少しで結界石に着きます」
ゆっくりゆっくりと進む鳥に引っ張られながら伸びてゆく魔力
スピカにしか見えていないのが、勿体ないと思えるくらい綺麗で幻想的だった
やがて鳥の先に小さな泉が見えてきた。
「泉が見えたと思います。それが結界石です。その泉は少々乾いています。それに水を貯めるように魔力を貯めていってください。ゆっくりでいいですから」
彼の言葉通りよくよく見ると泉は満々と水を湛えているはずが枯渇していた。
これを満たせばいいのだと視覚的に理解したスピカはゆっくりと、しかし確実に魔力を流していった。
何時の間にか鳥がいなくなったことに気が付かないほどに、その作業に集中していった。
たぶん書き直します




