別れと魔獣と双子・・・仲間
pcを新しくしたため打ちにくくて困っています。
どうやらマーク卿の屋敷は坂道の頂上にあるらしい。
兵士が見えてきた、と教えてくれたのは小さく見えるとんがり屋根の先端だけだった。
普通に歩くよりかなり遅いはずなのに文句の一つも言わずに監視をする姿は素晴らしいとは思うが、
少しくらい手伝ってくれてもいいのはないか?とスピカは思わずにいられなかった。
もちろん口に出す事はしないが…。
兵士は兵士でこの坂道をずっと押しているはずの、少年少女の様子に戸惑っていた。
本来ならばアグーという四足の大型動物に引かせる荷車、荷物は少ないとはいえ文句も言わず、さほど息切れもしていないのはおかしい。
傾斜はきつくはないが、なだらかな坂道がダラダラと続くこの道は配達人泣かせで有名だった。
少年が余程の力持ちなのか?とも思ったがどうやら違う。
少女の方もどう見ても普通の…いや華奢な部類の女だ。
なら、
「魔法を使っているのか?」
ポツリとつぶやいた。それは隣にいたスピカにも聞えないほどの小さなつぶやき。
少しだけ二人に興味がわいた。
約30分ほどかけやっと屋敷に着いた。
門番は荷物と兵士で目的がわかったようだ。
軽く兵士と話をすると通してくれた。
屋敷内に入らせてもらってからが大変だった。直接荷車は屋敷内へは入れない。荷物の一つ一つをメイドやらに手伝って貰いながら玄関ホールまで運び、中身の確認等々…。
坂よりもこちらのほうが精神的に疲れたと二人ともに思った。
漏れも割れもなくマーク卿への配達は終わった。
だいぶ軽くなった荷車を引き屋敷を後にし、急いでマクベル卿の屋敷へと向かった。
行きとは逆でシュナが引きスピカが押す。魔法をブレーキ代わりにゆっくりと商品を壊さないように進んだ。
マクベル卿の屋敷はあまり時間をかけずに着くことが出来そうだ。
荷物が減ったことに加え下り坂なのだ。しかも割と近くらしい。
「本来ならば、マクベル卿から行って荷物を減らしてから、マーク卿の屋敷へと向かうのだが。今回はマクベル卿が、この時間でないと留守をしているらしくどうしてもと言われてしまった。」
申し訳ない、と軽く頭を下げる。
「家令などに預ける訳にはいかなかったのでしょうか?」
「どうやら本人が確認したかったようだ」
“高貴な人たちの考えることはわからない”と小さく呟いたのがスピカの耳に入った。
後ろの方でスピカと兵士が話をしている間、シュナは何やら違和感を覚えた。
自分以外の何かが魔法を使っているような気配がする。
しかも、シュナの魔力をじわじわと吸い取っているようだった。
あまり魔力のないシュナ、今はゆっくりと吸われているからいいもののマクベル卿の屋敷までは到底もたない。
「ねぇ、スピカ。何か感じない?」
後ろにいるスピカを振り向く事もなく聞いた。
「えっ!特には…この魔法はシュナさんのとは違いますね」
どなたのでしょう?とスピカも異なる魔力を感じたようだ。
「今はまだ大丈夫だけれど、マクベル卿のお屋敷までは魔力が持たないからきつくなるかも」
“ごめん”と小さく謝った。
「いいえ、今までシュナさんの魔力で楽させていただいたのですから…
「ちょっと待ってくれるかい?二人とも…」
スピカの言葉を遮り、兵士が大声をあげた。
「君たちが魔法を使っているのは何となくはわかっていた。が、他にも何かが魔法を使っているというのか?」
困った、とも言わんばかりに近くにいたスピカに詰め寄った。
だが二人りとも何がそんなに困ることなのかわからない。
顔を見合わせ困惑した表情を浮かべている。
「ああ、君たちはこの街に来て日が浅いのか?ギルドに登録しているから君たちは魔法の使用は許可されているが、基本的には魔法の使用は禁止されている。だから君たちが言っている魔法を使ってる者の正体がわからないと困るんだ」
二人は兵士の言いたいことはわかった。が、さらに困ったことになったと顔をまた見合わせた。
「言いたいことはわかるのですが、この魔法の気配はこの…荷物から来ているんです」
“どうしましょう?”と足を止め兵士の顔を見た。




