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別れと魔獣と双子と・・・仲間

朝早くにギルドに着いたはずなのに、カードを貰う頃には時刻は昼を指していた。

着いた頃は少なかった人も壁に張られた紙、依頼書を熱心に見ている。


「カイトさんはもう依頼を受けられたのでしょうか?」

大勢の大人たちが二人の視界を塞ぎ、目当ての人物を探し出す事ができないでいた。

昼にはギルドで待ち合わせをしていたはずなのだが…。

「ここじゃ、見つけられないしカイトさんも同じだろうから一旦外に出よう」

人の波に逆らうようにスピカの手を引きギルドを出た。


石造りの壁に一枚板の大きな扉。

たくさんの人の手垢と風雨による色あせは歴史を感じさせるものだった。

しかし、そこに入るものには関係のない話のようで、日中は開いたままになっているそれに目をくれることはない。

「カイトさんに鳥出すね。このままじゃお昼食べ損ねそうだし」

と、緑の布を取り出し魔法で折っていく。

まだ慣れないスピカはその様子を食い入るように見、少しでも盗もうと思っていた。

「ギルドの扉の近くにいるって伝言でいいよね」

後は、飛ばすだけ。

慌ててスピカは返事をした。

結局シュナの手が早すぎで何も盗めなかった。


しばらくしてカイトから返事が来た。

『あと少しで着く』

伝言を読むか読まないかの差でカイトの赤茶けた髪が見えた。

「あ、カイトさん!」

大きく手を振るスピカにカイトも気が付いたようだ。

手を振る事はしないが、すこし足早になった。

「悪い、意外と早かったんだな」

合流して一番の言葉にシュナは驚いた。

「これで早かったの!もうお昼なのに!」

聴いた話では3時間もかからないと…。

「ああ、スピカがいる事を忘れていた訳じゃないんだが、女性がいると長くなるのを忘れていてた」

シュナは大変だったな。と頭をポンっと叩いた。

カイトの話によると彼が登録した頃はそのような事はなかったようだ。

だが、ここ最近の行方不明の事件を受け、女性の冒険者に限っては改めて注意喚起をする事と新たな女性登録者にはくどいほどに話をする事になったようだ。

と、カイトは他所のギルドで聞いたらしい。

その事をすっかり忘れていて、覚えていたのならシュナには少しずらして登録に行くよう薦めたんだが・・・。と苦笑いを浮かべながら謝った。

「本当ですよ。全く僕には関係のない話を延々と聞かされていたんですから・・・」

長く重いため息を吐いた。



その後三人は食事を取りカイトを除いた、二人の初依頼を探しにギルドへ戻ってきた。

初めてという事もあり簡単な、出来れば一日で終わり二人でできる依頼を受けようと思っていた。

カイトも最初は二人で受けた方がいい、と思っていたようでいつの間にかギルドの方に見繕ってくれるよう頼んでいたようだ。

「おかえりなさい。スピカさんシュナさんカイトさん」

カウンターに顔を出す前から受付嬢に声をかけられ10枚程の紙の束を渡された。

「これだけか?少なくないか?」

受け取りながらパラパラと中身を見てゆくカイト。

「頼んでおいたから。普段ならきちんとあそこから探せよ」

掲示板をあごでしゃくるカイト。頼まれた受付嬢も特別だ、と言わんばかりに首を縦に振っている。

「簡単で明日一日で終われる依頼なんてそうそうありませんよ。採集もまだお二方は初期レベルの物しか受けられませんし。それだとスピカさんがいらっしゃると受ける事はできませんから・・・」

「ああ、あの山での採集か・・・。確かにな、わかったありがとうな。この中から探してみる」

依頼を受けるはずの二人を置いて話を進め終わらせてしまったカイトは、流れについてゆけない二人を半ば引きずるようにカウンターから離れていった。


「あの、さっきのスピカがいると受けられない山の採集って・・・」

カウンターから僅かばかり離れたテーブルに依頼書を広げてゆくカイトに聴いた。

「ああ、この近くに初期レベルの採集にもってこいの山があるんだが、女人禁制なんだよ。なんでも女が入ると必ず遭難するし大怪我をするらしい。数年前にも信じないで入った女が一週間ほど行方不明になった挙句、両手を骨折していたんだと。冒険者に怪我は付き物だが大怪我はしたくないだろ?だから採集はなし」

だからだろうテーブルに広げられている依頼書は全部簡単な雑務ばかりだった


その後カイトのアドバイスを受け、二人は貴族街の荷物配達の依頼を受ける事になった。









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