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別れと魔獣と双子と・・・仲間

冒険者ギルドと言われてはいるが「冒険者」という職業は厳密にいえば存在しない。

はじめはとある集団が路銀を稼ぐために、個人や村などから自分達だけでは行けない場所の護衛や、調達できないものを採取したりしていた。いわゆる便利屋、何でも屋だったのだ。

しかし、この集団が優秀すぎたのか時代の流れなのか、自分達だけでは捌けないほどの依頼が舞い込むようになってしまった。

そうなれば依頼者からは人を増やし大きくするよう言われるようになる。

人を増やすにもただ増やせばいい、というものでもない。

雇ってみたが使い物にならなかったり、きついからと依頼を投げ出して余計に手間をくったりもした。

信頼を損なうような事をした者もいた。

だが、依頼は減らない。逆に増えてゆく。もう自分達ではどうしてよいのか検討も付かず、依頼をこなすだけで手一杯な状況だった。

そこで、建国したばかりだったコンシャース国の建国に携わった伝で頼み込み、ただの「便利屋」を「冒険者ギルド」としてコンシャース国公認の「便利屋」に作り変えて貰った。

最初は「便利屋ギルド」だったのが国公認の組織の名には相応しくないと「冒険者ギルド」となったと言われている。



スピカは朝早くから「冒険者ギルド」にシュナと一緒にいた。

女性の登録者は久々だと、やる気を出した職員のテルーに普段なら必要のない「冒険者ギルド」立ち上げの話を聴かされていた。

もちろん必要な話は終わっている。がスピカ一人残して出るわけにも行かずにいた。

早く終わらせてくれないかと、シュナは顔で訴えるが見えないのか見えない振りをしているのかどんどん話を続けられ結局最後まで聞かされてしまった。


「冒険者を職業として名乗るのは出来ないんですの?」

シュナが早く終わりたいのはわかっている。だがどうしても気になったのだ。

「いい質問ですね。スピカさん。冒険者と名乗ってもよろしいんですよただし…男性に限ります。女性の場合はお勧めいたしません。何故ならー」

「女性の冒険者は行方不明になりやすい。から」

テルーの説明にかぶせるように答えたのはシュナだった。

シュナの答えに頷き、スピカにわかりやすく説明するために口を開いた

「ええ、悲しい事ですが女性の冒険者はここ数ヶ月で行方がわからなくなっているものが多いのです。あなた方もご存知だとは思いますが、今女性が数が減っています。そのせいだとは思うのですが。基本冒険者は自由です。誰某にどこどこに依頼にいくから戻るのは何時ごろだ。なんて事細かに言って出かけるものなどいないに等しいのです。妻帯者などは別なのでしょうがね。ギルドの方でもギルドを通した依頼を実行中にこのような事が起こった場合は責任をもって探すなりはしております。が、個人の間で依頼を受け、このような事が起こってもどうもしようがないのです。どこにいるのかさえ検討が付かないのですから」

深いため息をつき、スピカを見た

「ですから、冒険者だとあまりわからないようにしてください。ましてスピカさんは成り立てです。ご自分を守る手立てが少ない。魔法を使えるようですが実戦経験が少なすぎますので。お気をつけください」

真剣なテルーの目にスピカは知らないうちに頷いていた。


テルーは結局これが言いたいが為に長話をしたのだろう。

満足したかのように部屋を出て行った。


その後直ぐにカードをもって違う職員が入ってきた。

申し訳ないという感情を顔中に貼り付けて…

「申し訳ございません。話が長すぎたようで…。私イオリアと申します。どうぞこれがスピカさんとシュナさんのギルドカードです」

トレーに2枚の木製の板が置かれており、それぞれに渡すと顔つきが変わった

二人を一人前の冒険者としてみる目に

「ようこそ冒険者の世界へ。これから大変だとは思いますがお二人の活躍を楽しみにいたしております。スピカさん先程のテルーの話。軽く考えないでください、あなたは大丈夫なようですが長く冒険者をしていると自分の腕に過信する者が多くあります。気を抜かず旅を続けてください。」

スピカは再度頷いた。

やらなければいけない事があるのに、誘拐などされてはたまらない。

カイトとシュナに旅の間戦闘の手ほどきをしてもらおうと決意した。ここに二人の拒否権はない。


スピカの表情に納得したのか今度はシュナを見た。

「シュナさん。あなたは神殿の関係者ですね?あちらのギルドにはよくしていただいており、大変助かっております。何時までスピカさんと一緒に旅を続けられるかは存じ上げませんが、あなたは旅なれているご様子。スピカさんを助けてあげてください。一人の女性として旅の仲間として。」

行方不明の話はミサトから聴いて知っていた。だがどこか他人事だった。

だが、今日二人の人から真剣に話をされ、認識を改めないといけないことに気が付いた。

カイトにも念を押さないといけない。と考えつつ頷いた。




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