紋章、占い、旅立ち・・・迷子
生きてます
「私はこれからシェットとホクゾトを経由してカミーナへ向かう予定です。カイトさんはどうされますか?」
ミサトを乗せたシロが見えなくなるまで見送ったスピカは、顔色が戻らないカイトを見た。
「…え、ああ。コンシャースが目的地だからな。何ならカミーナの寄っても良いかもな」
“スピカ一人だと心配だしな”笑いながらスピカの頭を叩くカイト
”止めてください”という抗議の声をあげる目にシュナとその兄が見えた
「あの…」
「僕も途中までご一緒させてください!!」
スピカが“お二人はどうされるんですか?”と聴こうとしたがシュナにさえぎられてしまった
それに驚くのは兄のケンとスピカ。
そして咥えたタバコを落としかけたケッツだった。
「おまえ、何を…」
「お願いします!カミーナまででいいのでどうしてもお願いします」
深々と頭を下げるシュナ。ついさっき見た光景とダブった。
それに困ったのはスピカとカイトだ。どうしたものか、とケンを見る
カイトは構わない。と目で訴えている
「シュナ…」
低い声で呼べばビクッと肩を震わせる
「そんなに帰りたくないのか…」
ケンの問いに小さく頷く。
“まぁ、気持はわからないでもないか…”
どうしたものかと頬を掻くケン
里の長に言われたのは2ヶ月以内に連れて帰ること。
まだ、1ヶ月半ほどある。が遅れると巫女の儀式に差障りが出る。
この儀式の為にシュナを迎えにきたのだから、迎えに来た事が無駄になってしまう。
「わかった。そのかわりホクゾトまでだ」
深いため息をつく
その声に振り返るシュナは驚いたような表情を浮かべていた
「何だよその顔は…。ホクゾトに着いたらアルクで帰って来い。もし1ヶ月以内にホクゾトにつかなかった場合はそこまでで帰って来い。それ以上は準備が間に合わないから。これが守れないのなら今ここで無理矢理にでも連れて帰るがどうする?」
シュナの顔を覗きこみ、言い聞かせるようにいった
「いいの?」
長は怒ると怖い。まして大切な儀式があるのだ。もし何かあって儀式に穴を開けてしまったら。と考えると素直に喜べなかった。
「ああ、何とか誤魔化すよ。すれ違ったとでも言っておけばしばらくは大丈夫だろう。辻馬車や歩きでゆっくりしても1ヶ月はかからないはずだ。ホクゾトからならアルクで2日かからない。ちょうどいい日数だろう。で守れるのか?」
沈んでいた顔が徐々に明るくなっていく。
「守る!守るから。スピカさんカイトさん。着いていっても良いですか?」
縋るような顔をされると断る事はできなかった。
元はいい顔なのだから、少し卑怯だ。ともスピカは思った。




