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紋章、占い、旅立ち・・・迷子


2週間はあっという間だった

朝は早くから神殿の掃除をし、昼は座学夕方から実際に魔法を使用しての勉強

とても濃い2週間だった


その間シュナやミサトも数回遊びに来たり、一緒に魔法を勉強したりしていた

主にスピカが教えてもらう方だったが

二人とも故郷で魔法の修行をしており、そのお陰で旅にも出られたと言っていた

最近は魔獣が増えていて子供を街から出したくない親も増えているとか

そう考えると二人は随分と物分りのいい親を持ったものだ。とスピカは感心したのを思い出しクスリと笑った


「なに?スピカさん。笑ったりして…」

スピカの顔を覗きこむのはミサト

彼女も旅の支度をしている

「何でもありませんわ。それよりシュナさんはどちらでしょうか?」

荷物を纏め上げると神殿に見えないもう一人の連れを探した

「シュナならケッツと話してる。彼故郷に帰りたくないから未練たらしくお願いしているんじゃないの?」

ふんっと外を目で指し示し、怒った様な口調で教えてくれた


「契約の更新…でしたか」

「そう。仕方ないのにね…。約束なんだしこれ以上活動していると見つかるし…」

「え?何かおっしゃいましたか?」

荷物を肩にかけていたスピカには最後の方は聴こえなかったようだ

「ううん、なんでもない」

どこかほっとしたように答えたのをスピカは気が付かなかった


荷物を持ち神殿を出ると確かにシュナがケッツと何か言い争っていた

「だから、最初から1年間だけの約束だっただろう?これ以上やるとあいつが怒る…」

困ったように眉根を寄せてシュナと話すのは、シュナとミサト二人の所属している…いやしていた芸能事務所のマネージャー。トクマ=ケッツだった

茶の短髪に鳶色の目、一見優しそうにも見えるが今や押しも押されぬアイドル「ミサト」と「ケンリ」を作り出したのは彼なのだから見た目通りの人物ではないのだろう


「お願いします!ケッツさん。あともう一年、一月でもいいんです」

頭を下げるシュナ。表情はスピカからは見えないが必死さが出ているだろう。

一応彼の足元には荷物はあるが、極端に少なく感じた

「今は故郷に帰りたくないんです。だからお願いします!アシスタントでも何でもやりますから!」

頭を上げさせるためにかシュナの両肩を優しくつかみ、顔を覗きこむように言った

「もういい加減にしろ。シュナ。あいつの紹介で引き取ったんだ。約束は護らないと俺が殺される…。それとも何か?シュナは俺が殺されても良いと思っているのか?」

「…いいえ、思っていません。でも!」

顔を上げるシュナ。表情は納得がいかないのか泣きそうな顔をしていた

「あいつなら冗談抜きでやりかねないだろう?俺だって命は惜しいんだ…すまん!」

パンッと音が鳴りそうなほど強く手を合わせるケッツにシュナは負けた…

「そうですね。嫌なら最初からケッツさんを頼らなければ良かったんですし、頼ってしまった時点で僕の責任ですよね。帰るのが…」

深いため息と共に、泣きそうだった顔が和らいだ

「すみませんでした。ご迷惑をおかけして…」

荷物を抱えスピカとミサトのほうによってきた

「終わったの?あんたのわがままは…」

呆れたようにしているミサトにシュナは

「駄目でしたね…。わがままは通じませんでした」

なんとも情けない表情で笑った

「まだ、エッジワースさんたちいらしていませんよね?最後に参拝していいですか?」

と、一瞬のうちにあの鳥を折上げると素早く神殿へ入っていってしまった


「私まだいいとも何と言っていないのですけれど…」

ミサトと二人苦笑いを浮かべシュナの背中を見送った


「神官様たち少し遅くない?」

「そうですね…。何でも他所の神殿からお使いの方が見えられたそうで対応に当たられていますから。少し遅くなっても仕方がないのではないでしょうか?」

見送りは絶対すると言って聴かなかったパーヘル。カイトもまた買い付けに出て行くので途中まで一緒にいく事になっている。

勝手に出立するわけにはいかないだろう

どれくらい待つのかわからないが、長引くようなら中で待とうとケッツに声をかけた様としたが

「すみません、お待たせいたしまして」

エッジワースが神官を連れて出てきた


「彼は水の神殿の神官をされている方です」

エッジワースが紹介をする神官はゆっくりと下げていた頭を上げた

一つにくくられた長い黒髪、背はカイトよりも高く痩せているように見えるが服が少しゆったりとしているせいもあるかもしれない。

白を基調としたゆったりとした服は神殿に仕えるものを現す物としてどの神殿でも同じ仕様だ

ただ違うのはエッジワースたちは風を奉っている事を表す緑のラインがそして彼には水を奉っている事を表す青のラインがそれぞれ袖口、裾、襟に施されている

因みに地位が上がればあがるほどラインの本数が増えてゆくらしい


「弟がお世話になっているようで、みなさんには感謝のしようがありません」

にこやかに微笑む顔は

「シュ、シュナ…」

「の、兄です」

驚くミサトの言葉に乗っかるように訂正してきた神官はシュナと同じ顔をしていた

ただ、こちらの方が少し大人びていはいたが



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