紋章、占い、旅立ち・・・迷子
カイトに付き添われ宿へと戻ったスピカは荷物をまとめ引き払った
幸い今は忙しい時期らしく部屋が空くことへの小言はなく、気持ちよく出ることが出来た
カイトがいたのも良かったらしいが
修行は明日早朝から、ということになりスピカはその日の夜祭殿裏にある小部屋で寝ることになった
なんでもこの部屋は魔力が溜まりやすいのだそうだ
魔法の修行の際にはみな、この部屋に泊まるのが決まりらしい
ただ…
「なんか臭い…ですわ」
あまり換気がされていなかったのだろう。かび臭い匂いがした
「一応布団は干してあるし、シーツは新しいのを用意してはいたんだけどな。さすがに匂いは…」
申し訳ない。と頭を下げた
「たったの2週間ですし、寝るだけの部屋でしたら気にはなりませんわ…多分。それよりもありがとうございます。色々と」
違う意味でスピカも頭を下げる。
「なにに感謝されているのかわからないが、荷物置いたら食堂のほうに来な。食事用意してあるから」
カイトはそういい部屋を出て行った
スピカが寝泊りする部屋はそのためだけにある。といってもいいような部屋だった
ベッドとサイドテーブルだけしかなかった
魔法を習おうとするのにおしゃれはいらないだろうし、女性が魔法を習うというのも最近は珍しくはないようだが昔は大変珍しかったようだ
「着替えなんかは適当に置きっぱなしだったのでしょうね…」
そんなスピカも余計な服は持っておらず、着替えも下着が数枚と上下1セットのみ。というものだった
宿では一応クローゼットに入れてはいたし、洗濯も毎日していた
少し不満に思いつつ文句も言っている場合ではない、と気合を入れ直し部屋を出た
食堂で改めてエッジワースの妻であるパーヘルを紹介してもらい遅めの昼食を取らせてもらった
野菜のスープとパン、そしてアウズやクソンを含めこの付近では郷土食と言ってもいい鶏肉を塩とハーブで煮込んだものが出てきた
「こんなに…まるで夕飯のようですが」
昼食はスープにパンくらい、奮発してハムくらいだろうか?
「いいのよ。昨日作りすぎてしまったのよ。それに基本神殿関係者は朝は食べないのよ。だからどうしてもお昼は多めになってしまって。ごめんなさいね」
パーヘルの言葉にエッジワースもカイトもうなづき食べろ、と促した
二人は先に食事を始めていた
スピカも二人に習いスプーンを手に取った
カチャカチャ
お皿が洗われていく音が小さなキッチンに響く
4人分のお皿は意外と少なく感じた。
(変ですね。3人家族だったのでこちらの方が多いのですけど…)
旅に出てわずか3日だが少し寂しいのかもしれなかった
昼食に食べた煮込み料理が引き金だったのだろうか
「スピカさん、悪いわねお片づけしてもらって」
「いいえ、これくらいさせて下さいな。お世話になるのですから」
洗い終わり手を拭くスピカにパーヘルが「もう一つ頼んで良いかしら?」といたずらっぽい目で聴いてきた。手には背負子を持って
「まぁ、仕方ないよな。一人増えたんなら食べ物も足りないよな…」
「申し訳ありません。お手伝いしていただいて」
カイトとスピカ、二人で神殿を降りていた
理由は食料の買出し。ただこれはスピカの分だけではなく、帰ってきたカイトの分も含まれている
今日買いに行かずとも足りはするが、明日明後日と天候が芳しくない。とパーヘルが言うので仕方なく二人で出かける事になった。
「今はお天気凄くいいですよね?なのに明日は崩れるのですか?」
空を仰ぎながら不思議そうにカイトに尋ねた
「ああ、母さんの勘は当たるからな…。色々と」
雲の動きを目で追うスピカをチラッと見ると、山道をため息とともに歩み始めた
腱鞘炎
治ったと思ったら
再発し
調子こいて編み物なんてするもんじゃありませんね。
再発しました。腱鞘炎事態が癖になるというか、なかなか治りにくいものだというのは理解していたのですが痛みが引くとどうしても使ってしまいますね。
もう夏だけど…編み物仕上げたかった。
盆には仕上げたいな。




