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OCEANBLUE 碧い海  作者: 西光寺 龍
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OCEANBLUE 碧い海    ( 第七章 )

( 第七章 )

 全員賛成の閣議決定を受け「オーシャン・ブルー」計画は本格的にスタートを始めた、極秘は外され全て世界的に公表された、突然の日本政府の発表に世界は大きく揺れたヨーロッパ諸国はドイツ以外の国は新しい日本のチャレンジに応援の声が上がる、アメリカは日本の経済の安定は極東地区の安定につながると協力姿勢を発表、ロシア、カナダは日本の発電所の天然ガス化に大賛成の姿勢で居る、中国、韓国は大型の浮島は新しい基地の新設につながり、日本の軍国化であり超大型空母だと猛反対を始めた、しかしロシアが賛成の態度だけに反対運動も思ったほど大きく無い。

 日本国内は全電力会社が共同記者会見で既存の原発の廃炉を発表し、五年以内に全ての原発を天然ガス火力発電に切り替える事も発表し原発所在の県民自治体の喜びの声が上がる、汚染土、震災がれきを抱えていた岩手、宮城、福島の県民行政機関も中間処理場の必要がなくなり、国の決定に大賛成の姿勢だ、中国、韓国の息が掛かった野党の国会議員は日本の国力が大きくなるのを恐れ安全が保証出来ない新計画は税金の無駄使いだと反対の態度でいる。

 勇太郎は民自党の若手議員十人を集め「オーシャン・ブルー」推進本部を新設し予算から法改正まで議員が出来る行動を始めた大阪党や大衆党からも参加者が有り党籍を超えオールジャパン体制を作った。

 片岡は組立と汚染土の積み込みが同時に出来る港の選択を福島の相馬港の北側に有る新港に決めたここには強度も深度も広さも十分な大型桟橋が有る南側には大型船も入港出来る、サイコロキュウブの搬入も

仮置きも出来る、国土交通省は直ぐに桟橋の補強クレーンの新設、道路整備の工事を開始した

 勇一郎の推進本部に福島県知事から嬉しい問い合わせが入った、福島県のシルバー人材センターが汚染土や汚染物質の運搬、積み込みをさせて欲しいので許可が欲しいと言ってきた、勇太郎と奈美は福島県庁で開かれる作業員の防護服の使用説明や作業説明に参加するため福島県庁に入った、シルバー人材センターの人材は経験豊富のベテラン揃いだが年齢的な体力を勇一郎は心配している、最初にシルバー人材センターの統括責任者が作業協力の趣旨の意気込みを話す。

「皆さんシルバー人材センターを老人の集まりと考えていませんか、今の人材は若者にも決して負け無い体力の持ち主ばかりです、知識も経験も有り日本を思う気持ちや家族の大切さを知っています、我々が今回の作業に志願したのはこれからの日本を支えていく若者達に少しでも体に悪影響が有るかも知れない作業はさせられない、ここは我々の出番ですお国に最後のご奉公をさせて下さい」

 勇太郎はシルバー人材センターの作業に対する心構えを聞き被爆を覚悟していると感じ驚いた奈美も同じ様に感じたはずだ、この人達で有れば今度の計画が問題無く成功すると確信した。

 新港の整備も終わり組立作業が始まった、いよいよ日高君、鈴木君の出番である、どんな大型船も陸地で組立海に浮かべるが「オーシャン・ブルー」は海の上で組立なくてはならない皆初めての作業だけに接続部分の防水に神経を使う10ピースを陸上で接続し海に浮かべるそれの繰り返しで大きく広げていく一辺が200ピースX200ピースの四万ピースで一段目だこのエリアには汚染土は収容しない二段目の接続が完了してから汚染土の収容を始める、四隅にはソーラー発電による自走システムが作られJPSでの位置の維持が保たれる、中心部には100メーターX100メーターの水槽が作られ金属容器に密封された使用済み核燃料を保管する予定だ2014年五月から福島第一原発四号機の燃料棒の取り出しが始まっている、収容先が決まっていないだけに完成を急がなくては成らない、東海村沖では常陸那珂火力発電所の北側の桟橋でも「ハイブリット・パワーステーション」の組立が始まっている、このエリアは日本原子力研究開発機構も有りスーパー軽水炉原子力発電所の建設には日本の中でも最適地だ「ハイブリット・パワーステーション」は「オーシャン・ブルー」の四倍の大きさだけにピースの量も膨大になる、神栖の三井化学も総力を上げ二四時間体制で製造を急いでいる、政府も予算組に手こずっている民自党内の原発不要論者の抵抗が大きいのだ党内がまとまらないと国会での特別予算法案が出せない、勇一郎は官房長官に呼ばれた。

「大泉君!君のお父さん何とかならないのかね原発反対の声が大きすぎる」

「長官、父は父、私は私です父がどんなに反対しても私の考えは変わりません」

「それは分かってる、でも君の父上は影響力が大きすぎる」

「分かりました今の日本の現状を父に良く説明して父に公の場では静かにする様に言ってみます」

「頼むよ君だけが頼りなんだよ」

 勇一郎は片岡と奈美に相談する

「大泉さんお父様は原発推進を進めた責任者だったと記憶してますけど」

「確かに最初はそうだったんだ、それが3.11以来反対に考えが変わった、自分で進めた原発の責任を父なりに責任を取るつもりなんだろうけどね」

「でも「ハイブリット・パワーステーション」は地震も津波の被害は完全に消去されたでしょう?」

「横山さん勇一郎のお父さんが心配しているのは放射性廃棄物の事だと思うよ」

「トイレの無いマンション問題ですね」

「そうこの前勇一郎のお父さんフィンランドのオルキルオト最終処分場の視察に行って来たのは聞いて知っているよね、多分その時最終処分場の限界に気が付いたと思うよ」

「秀二、それは世界中で解決されていない問題だよね」

「あ~どの国も深く埋める処理しか方法が見つからないこの方法は将来必ず地球に悪影響が出る!」

「秀二何かいい方法はないの?」

「う~ん俺もいろいろ考えたがこれだと言う案が無い」

「所長使用済み核燃料を再処理した最終的な核廃棄物はかなり少なくなりますよね」

「そうだねもんじゅが稼働すればかなり減るね」

「所長どんなに少なくなっても地球に有る限り数万年は放射能は消えません、だったらロケットで太陽に送ったらどうでしょう、太陽は超巨大な原子炉と同じですから太陽にもなんの影響も有りません」

「太陽ね~なるほどいい考えかも知れない技術的には問題無いとしても安全性と経費の問題だな」

「秀二それ良いじゃないか!地球の未来を考えれば世界中の国が協力するよ経費は問題無いよ!」

「所長安全性はロケットの軌道で打ち上げ失敗の場合でも海に落下する様に調整出来ます、廃棄物は頑丈なロケットの爆発にも耐えられるキャスクに入れ打ち上げれば心配ないと思います」

「直ぐ官房長官に報告して検討してもらおう」

「よし俺もオヤジに話してみるよ」

 勇太郎の父も本当にその処理方法が実現可能ならば原子力発電所建設に反対しないと約束した、勇太郎は官房長官にその旨報告政府もJAXA(宇宙航空研究開発機構)と検討を始めていると聞いた。

                                     ( つづく )


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