OCEANBLUE 碧い海
( 第六章 )
民自党本部での議員説明会が無事終わり勇一郎、片岡、奈美の三人は官房長官室に柳田長官を訪ね民自党
本部での説明会の結果報告を行い柳田長官からねぎらいの言葉を受け退室、議員会館の勇一郎の事務所に向かう片岡も奈美も初めての訪問である。
「秀二、横山さん紹介する俺の政策秘書の星さん、最近俺の留守中の仕事を片付けてもらっている」
「星です、先生がいつもお世話様です」
「片岡ですこちらは横山さんこれからもよろしくお願いします」
「先生もまだ若いので皆さんにご迷惑お掛けする時も有るかも知れませんが永い目で見て下さい」
「星さんもういいから、コーヒーお願いします」
ニコニコと嬉しそうに笑いながら星が下がると秀二が
「星さんは勇一郎のお父さんみたいだね?」
「うん星さんは俺のオヤジの秘書だったから俺が生まれた時も知っている人で俺の政治の先生だね」
「そうか勇一郎は一生頭が上がらない人だね」
「うん、もういいから話変えてよ」
奈美がクスクスと下を向いて笑いをこらえて居る
「勇一郎今日はさすが政治家だと思ったよ俺も横山さんも出番が無かった、ね~横山さん」
「そうですね最後の日本の将来は若い俺達に任せろは、私も感動しました!」
「でも福島原発の汚染水の問題を聞かれたらどうしょうと本当は思っていたんだ、俺にもどうしていいか見当も付かない問題だし」
「そうだな福島原発の汚染水は世界も関心が高い問題だものな」
「うちの研究所で解決索を検討するためにも一度福島原発に行きましょうよ所長」
「そうだね早めに時間を取り行く必要があるね」
「それと汚染土の問題も岩手、宮城、福島県も近々に解決しないと困ってるし」
「国も中間保管施設の場所が決まらない、たとえ国有地でも近隣の住人が猛反対する、気持ちは理解出来るよ誰だって放射能は怖いし子供の将来に影響が有ると聞けば自分の住まいの側には保管施設は作らないでほしいと言うのは当たり前だよ!」
「そうですね所長、これから福島の高濃度に汚染された地区は手付かずですから、大量の汚染土が問題になるのはこれからですね」
「秀二、汚染土を解決する方法は有るよ!」
「え~本当に勇一郎どんな方法で解決するの?」
「パワー・ステーション」のベースを別に造りサイコロキュウブの中に汚染土を収容すれば解決だよ」
「勇一郎グットアイデアだよ今仮置きされている汚染土は2・5万トン位だから一キロ四方のベースでも十分収容できる今後量が増えてもベースの数を増やせば中間保管でなく最終処理施設になるな」
「柳田官房長官に直ぐ話してみるよ星さん官房長官室に連絡して会える時間を確認して下さい」
「先生十七時なら時間が取れるそうです」
五時に勇一郎は奈美を連れて官房長官室に入る
「失礼します官房長官突然お時間取って頂いて申し訳有りません、どうしても長官のご意見をお聞きしたくてまいりました」
「大泉君が突然来るとはいい話なのか悪い話なのか怖いね!」
「多分いい話だと思います」
「そうか良かった安心して聞けるようだね、まあ座りなさいお連れの可愛いお嬢さんはどなたかな?」
「あ・はい次世代都市研究所の原子力発電所担当の横山です」
「横山奈美です長官今後も宜しくお願い致します」
「こちらこそ宜しくこれからは君たちのような若い人の時代だから頑張っていい日本を創って下さい」
「長官今宮城、岩手、福島の汚染土は各地に仮置きされていますよね?」
「そう今一番頭の痛い問題なんだ、候補地は幾つかあるが管轄自治体の反対が強力で前に進まない、政府も頭を抱えている」
「長官そこで提案なんですが、(パワー・ステーション)と同じ考えで保管施設として専用ステーションを造り洋上に保管したらどうでしょうか、広大な土地の購入も不要です、地方自治体の許可もいりません、今宮城県岩手県福島県に仮置きされている2.5万トンの汚染土はもちろん今後膨大に除去が必要の福島原発から30キロ圏の汚染土の収容も問題なく出来ます」
「なるほどそれはいい考えだ!洋上なら住民に影響は無いし環境にも問題ない、あとは海水に影響が出ないように保管ステーションの放射能の遮断設備の信頼性が問題だな」
「長官用に開発された強化プラスチックは鉛成分が多く含まれていますから放射能は完全に遮断されますから海水を汚染する事は無いと聞いています開発には横山さんが携わっていましたから詳しい事を横山さんお願いします」
「はい分かりました私は次世代都市研究所が東海村の原子力科学研究所の協力を受け数多くのテストを重ね出した結論は鉛を含んだ強化プラスチックの四重構造の壁の二番目と三番目の間に鉛とガラス繊維で構成された放射能遮断パットが入りますこれにより完璧に放射能をブロックします、強度も十分で数千年はその強度を保ちます、いかがでしょうか」
「なるほど良く分から無いが海を汚染する心配は無いと言う事だね」
「はい絶対に心配有りません長官」
「よし分かった君達を信じよう、私は直ぐに総理に報告し決済を仰ぐ結果を直ぐに大泉君の事務所に連絡するから事務所で待機して下さい」
勇一郎の事務所に戻った二人は次世代都市研究所に戻っている片岡に状況を説明官房長官から連絡が入り次第連絡すると電話を切った片岡との連絡が終わった直後官房長官から電話が入った、
「大泉君総理は最高の吉報だと喜んでおられた、ただ全体像がいまいち想像出来ないので大至急計画図と
横山さんが説明した放射能の遮断データーを総理官邸に届けて欲しい」
「分かりました急いで用意させますが一日待って下さい」
勇一郎と奈美は車で次世代都市研究所に向かった、研究所に到着した二人は設計室に向かい設計の重要部分を伝え翌日の昼迄に仕上げるように指示をし、奈美は飯田と遮断データー造りに集中する、勇一郎は片岡の所長室で仮眠を取りながら完成を待つ、勇一郎は秀二にさりげなく奈美の事をさぐる、
「秀二横山さんに彼氏はいるの?」
「いや聞いたことないな多分いないと思うよ、だけど何でお前がそんな事聞くの?」
「別に意味は無いけど今横山さん忙しいから彼氏がいたら会えないくて寂しいだろうなと思って」
「ふ~んお前横山さんに気が有るのか!」
「違う違うそんなんじゃないよ」
「ま~いいかでも横山さんはいい子だぞ、頭はいいし優しいちょっと気が強いけどね」
「そうだな、それと兄貴がきになる・・・」
二人は声を上げて大笑いをする、翌日の昼前計画図面とデーターが出来上がった、両方に目を通した秀二はヘリで首相官邸に向かう、官邸の総理執務室で到着を待っていた官房長官がヘリポート迄迎えに来ていた、執務室で図面とデーターを見た総理は、
「行けるこれなら申し分ない直ぐに閣議にかける、大泉君は自分の事務所で片岡君は研究所で待機して下さい、官房長官閣僚達に大至急召集を掛けて下さい、片岡君この提案は政府の信用と自信が取り戻せる、ありがとう、大泉君君には今回のプロジェクトの国の責任者として頑張って下さい」
(つづく)