蹴速が行く。外伝。100億の思い出。
100億の夜を100億繰り返し、それを100億も数えた頃。宇宙は、ただの黒であった。朝も夜も無い。時間は、まだ生まれていなかったのだ。100億と前言した数字もまた、無い時代。始まりも終わりも、まだその姿を見せなかった頃。
宇宙は、寝返りをうった。原因は分からない。背中が、かゆかったのかも知れない。良い夢を見て、身もだえしたのかも知れない。それはともかく。宇宙は、波打った。
そして、宇宙には、近くと遠く。距離が生まれた。
波打ちの早く訪れる近くは、大きく動いた。ゆっくり訪れる遠くは、静かに動き始めた。そして、最後。宇宙の最果ては、同じくこの時生まれたのだが、最も激しく動いた。来る波と、打ち返しの波が衝突し、ものすごい揺り返しが起きた。波の吹き溜まり、そして新しく寄せる波。宇宙の果ては、最も恐ろしい場所になってしまった。
そして、早く、遅く。時間が生まれた。
時を意識し始めた宇宙。何もしない、を認識した宇宙。
暇が生まれた。
暇~と、うなった宇宙から、音が生まれた。
暇潰しを考えた宇宙。思想が生まれた。
ん?
宇宙は、宇宙そのもの。全てであったので、今まで何かを探ると言う発想が無かった。全てが、内に有ったのだ。だが、今、最果ての様子を伺ってみた。すげー荒波で、ちょっと近寄りたくないなー、と思った。
形が生まれた。
マジ単色だけとか。もっとバラエティ欲しくなーい?
色が生まれた。
色の誕生により、宇宙の暗黒は、単一では居られなくなった。
しかしながら、全ての色は、まだ暗黒に飲まれていた。
色が有るのに、わしだけとか。ありえんし。
光が生まれた。
光は、暗黒から生まれたにも関わらず、超働き者だった。
宇宙は、現在の宇宙の姿になりつつあった。
暗黒は、もはや、ぼっちではなかった。が。
良い顔するの、めんどっ!でも、こやつらすげえ良い子だし。嫌われるのもなあ・・。
暗黒は、家出した。
こうして、宇宙は、光に包まれ。遠く遠く、遥か始原の彼方。太陽系にも光が灯った。
そして、地球が生まれた。
今より100億年の昔の事だ。
世界昔話。始まりの暗黒。




