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友情の刹那  作者: wokagura
6/14

第6話 鈍感なのは貴方だよ








 ピピピピピピ・・・・バシッ


「うん~・・・・」


 目覚まし時計が鳴り、乱暴にぶっ叩いた聖奈は、時計に付属している日付に注目した。


「8月・・・23日・・・・・」


 朦朧としている意識の中で、聖奈はポケポケしながら考えた。


「23日・・・二学期は25日・・・・ってえ!?」


 思わずガバッと起き上がった。


「あと・・・2日しかない感じ!?ヤバい!!」


 ベットから抜け出し、すぐに着替える。


「宿題終わってない~!!」


 机に向かうと思えば、聖奈は部屋を出て兄の部屋に尽かさず入っていった。


「兄ちゃん!おいっ逞真!!」


 逞真はまだ熟睡していたらしく、聖奈の声に反応し、邪魔そうに背中を向けた。


「うるさい・・・もう少し寝かせてくれ。今日は部活も会議もないんだよ。」

「いいから起きてよっ!!大変なんだー!!!」


 言うが早いか枕を兄の脇腹に叩きつけた聖奈。


「ん゛・・・やめなさい。怒るぞ。」

「ホント緊急事態なのっ!」

「何があった。」


 逞真はやっと聖奈のほうを向いた。


「夏休みあと今日入れて2日なの!」

「うん。」

「宿題終わってないわけ!!」

「だから?」

「手伝ってよ。」


 怪訝そうにして逞真は体を起こした。


「何故。」

「兄ちゃん教員でしょ。高校の問題なんてへのカッパだよね?」


 当たり前のように言う聖奈に逞真は嘲笑した。


「兄を呼び捨てした上に人にものを頼むときの礼儀も知らぬとは・・・君の愚かさには心から褒めてあげたいね。」

「あ~っもう!!わかりました、お願いできませんかッ!?」

「まったく仕方がないな。可哀想な妹のために助けてやってもいいが。」

「あームカつくムカつくムカつく・・・」

「無駄口叩いてないで、宿題を持ってきなさい。ただし、数学だけだぞ。文学的な教科・・・・特に英語!もう論外だからな。」

「勿の論だって♪」


 兄が文系の教科が大の苦手なことは既に知っていたため、ニヤニヤしながら部屋を出た。逆に考えると自分の苦手な理数系の教科が得意。有利だ、と考えたのだ。


 逞真は重い溜息を吐いて自分のTシャツを脱ぎ、私服に着替えた。











「んじゃ、数学と理科は全部任せたからっ!あ、難しそうなとこは間違っといて。怪しまれる。」

「おい、理科までやるとは言っていないぞ。」

「どうせできるんだしいいじゃん。こっちだって2日でできるよう努力します♡」

「あぁ、そう。」


 みたいな感じでほぼ宿題を兄に押し付けた聖奈は、無事に宿題を制覇したのだった。

















 二学期の初日・・・・


「おはよっ!」

「はよ~・・・・」

「節がいる・・・ってことは初日から遅刻!?」

「なんだよ、俺が遅刻マンだとでもいいたいのかよ?」

「ホントのことじゃんか。」

「節ちゃんも美和も話し込んでないでさっさと歩いて!」

「お、今日の聖奈は一段とシッカリしてるじゃん・・・」

「なんかヘンなもん食った?」

「べっつにぃ♪」


 ランラン気分で教室に入ると、当たり前のように賢明は既にいた。


「賢明今日も早いね~ッ!」

「お前らが遅すぎなんだよ。」

「ホント、いい子ちゃんっ。」

「ほっとけ。」


 学校での日常的会話が今始まった。











「は~い、宿題の提出、出した人は返しま~す・・・」


 担任の台詞とともに宿題が返された。


「打田ー、本石ー、今野ー・・・」


 節が聖奈に耳打ちする。


「岡沢のやつ、ヤクザの割に採点速いよな。」

「ホントさ。テキトーに見てんのかと思えばそうでもなくてさ!やっぱ内面と正面は違うもんなんだね、うん。」

「津田!駿河!」

「「ヘイッ!!」」


 同時に呼ばれ、同時に返事し、クラスで笑いが巻き起こった。


「津田、また空欄か。お前も少しは駿河を見習え!」

「ハ?」

「宿題を全てやり、理数に至ってはほぼ正解ということをな。」

「なんでコイツを見習わなきゃならねぇンだよ!?ウソじゃねーだろうな?」

「ウソじゃないもん!先生、聖奈も凄いですよねー?」


 節は聖奈の宿題を見た。


「マジかよ・・・」

「たまにはこんなとこも見せる駿河を褒めてやりたいところだが・・・・」

 

 聖奈が誇らしげな顔をした瞬間、悲劇的な言葉を担任・岡沢から口にされた。


「いままでの成績からしてこれは有り得ん!一体誰を使った!?久田か!?」


 久田とは賢明の名字である。


「いや、俺は一切関係ないんですけど。」

「そうですって!いや~、参考書メッチャ見て時間かけてやったんですよ~。」

「ならこの字はなんだ?この美しさかつ綺麗な字。まるで学校の教員かなんかだと思わせるこの字は駿河とは懸け離れているだろうが!!」


 それらの言葉が矢のように顔面に突き刺さり、聖奈はギクッとなった。


(ヤバい・・・、兄ちゃんと私の字ってホント別。どう誤魔化そう・・・)


「夜中やってたんで、寝ぼけながら書いたらそうなりました(笑)」

「ハッ、本当なんだろうなぁ?」

「ハイ♡」


 岡沢は流石に折れた。時間もないためさっさと宿題を返したのだった。


「聖奈、ホントにアンタがやったの??」

「やだなぁ、美和。」


 ひそひそと小声で言い始める。


「勿論、うちの兄貴よ、兄貴っ。」

「そうかと思ったよ~・・・。先生に気づかれなかっただけでまだ良かったじゃん。」

「ウフ。」


 ハッピーな顔をしてイスに掛けると、じと目で節に睨まれるのだった。



















 そんなことのあった数日後のこと・・・・



 ガラっ


「入っていい?」


 節が生徒会室のドアを開けた。


「あ、津田じゃん。なんか用?」

「ただヒマだから遊びに来ただけだけど。」

「そ、そうなんだ・・・・」


 奥のほうを見て節はニッと笑った。


「関口さーん。元気?」

「あ、節先輩・・・・」


 節が”関口”とよんだその彼女は生徒会所属の1年生。この頃遊びに来るため、知りあうようになったのだ。


「はい。おかげさまで。」

「俺なんもしてねぇけどな。」


 考えてみてのとおり真面目な優等生である。


「それよりさ、休み明けテストどうだった?どうせ関口さんはいいんでしょ?」

「そんな、いいって程じゃないんですけど。」

「見せてよ。」

「は、はい・・・・」


 遠慮がちに評価用紙を節に見せる。


「うわ、流石関口さん。頭いい。ほとんど90点以上という!」

「ありがとうございます・・・。」

「うちのクラスにさ、すんげぇ馬鹿な奴がいてさ。平均点何ぼだったかな・・・・・42だっけ?あ、45だ!」


「しつれーだなっ!48ですっ!!」


 不意にドアのところで声がした。それはムッと怒った聖奈だった。


「かわんねーじゃねぇかよ!」

「変わるし!その何点かさでテンション変わるんですっ。それに今回は一つも赤点とんなかったんだよ!?」

「・・・・ね。関口さんとは比べ物になんないしょ。」

「そ、そんなこと・・・」

「生徒会の人と比べないでよ!そうゆー、節ちゃんはどうだったんだぃ!?」

「俺は敢えてノーコメントで。」

「あー、赤点取ったんだ!そうでしょ!」

「うるせー!テメェも調子のってんじゃねーぞ!」

「図星だー☆」


 そのやり取りに、ただ作り笑いしかできない彼女は、聖奈に話し掛けた。


「貴方は何の要件ですか?」

「あ、ビデオデータ貸してほしいって放送部が。私、パシリ役にされちゃったよ!」

「ザマー!」

「うわ。こんな人と仲良くなっちゃ駄目だよ、関口ちゃん。」

「は、はぁ・・・」

「俺の関口さんになにヘンなこと吹き込ませてんだよ!」

「ジョーダンじゃんよっ。」


 ビデオデータの入ったUSBを渡され、聖奈は帰っていった。


「節先輩、今の人は・・・?」

「あぁ。今のが俺の言った馬鹿な奴だよ。駿河聖奈っツーんだ。」

「駿河・・・聖奈さん。」


 彼女の心にはかなりの嫉妬心が生まれていた。












 その次の日の昼休み、聖奈の所に例の女の子が来た。


「こんにちは、聖奈先輩。」

「アレェ?関口ちゃんじゃん!なに?」

「ちょっと来てくれませんか?」

「ん、いいけど。」


 聖奈は人気のない廊下に呼び出された。


「私、関口礼乃(せきぐちれの)といいます。」

「あ、じゃあ次から礼乃ちゃんって呼ぶわb」

「はい。ありがとうございます。・・・節先輩のことで一つ質問が。」

「え、節ちゃん?」

「えぇ。不躾な質問なんですけど・・・」

「いいよいいよ。言ってみ!」

「・・・お二人は付き合ってるんですか?」

「・・・・・・・ヘイ??」

「ごめんなさい。変なこと訊いて。昨日、あまりに仲よくしてらっしゃったものですから。」

「付き合ってない付き合ってない!!全然論外!節ちゃんが友達以上の関係だって考えられないし!」

「そうですか。よかった。」


 最後の言葉を自分に言い聞かせるかのように胸を撫で下ろした。


「え、よっかったの?」

「あの・・・私、節先輩を好きになってもいいですか?」


 聖奈は思わず口をパクパクさせた。


「そ・・・それはそれは。どうぞどうぞ・・・。」

「本当に、いいんですか?」

「あの~・・逆になんで私に訊くんですか??」


 どうしても敬語になってしまう。


「本当に、仲よさそうだったので、付き合ってたら悪いなと思ったんです・・・・。」

「そ、そうなんだ。でも、節ちゃんみたいな人のどこがいい訳?」

「優しい方なんです、とても。私に凄く構ってくださって、安心するんです。」


(や、優しいかぁ?)


「笑った時、こっちも穏やかな気持ちになります。」


(あ、それはあるかも。)


 しかし、節を心から好きになる人なんて初めて見た。”顔はいいけど、コワそう”だとか”厄介な人間関係になりそう”とか思っている人が多いのだ。


「礼乃ちゃん、節ちゃんが怖くないの?」

「最初は怯えていました。でも、話していくにつれて・・・・本当の先輩の性格がわかって、いい人だなって恋に堕ちてしまったんです・・・。」

「あら、カワイイ話。」


 礼乃は切なそうに笑った。


「本当に良かったです。だから・・・聖奈先輩も応援してくださいね。」

「お、おうよ!」


 礼乃は一礼して階段を下りていった。


 聖奈は溜息を漏らす。


(あぁ・・・・大人しそうで・・・・あんなに真っ直ぐな子、初めて見た・・・・。)


 トボトボと教室に戻ると、美和が小首をかしげていた。


「何だったの?あれ、生徒会の子でしょ。」

「うん。それが・・・・節ちゃんを好きになってもいいかって訊かれた。」

「なんで聖奈に訊くの!」

「ね!なんか・・・カレカノっぽかったらしいよ。・・・そう見える!?」

「ん~・・・やり取りはそれなりに。」

「えぇ!?」

「だって似た者同士じゃんか。」

「ん~・・・・」


 聖奈は美和の隣に腰かけて、天井を見た。


「なんかさ、思うんだよね。もし礼乃ちゃんが節ちゃんに告ったとする。ヘンに義理堅いとこあるじゃん、アイツって。」

「うん、確かに。」

「だから恋人とか大切にするよね、きっと。」

「だろうね。」

「そうなったらさぁ、3人グループになって・・・物足んなくならない?」

「だね。でも・・・ホントにそんな日が来るかもしれないね。」

「え・・・?」


 美和は真顔だった。


「3人どころか2人とか・・・・もしかしたら最終的に孤立しちゃうかもよ?」

「じょ、冗談やめてよっ!!」

「真に受けないでよ。・・・直接節に訊いてみたら?」

「うん。チャンスが来たらそうしてみる。」












 帰り道、4人で帰ってるのだが、聖奈の家が近づくにつれて皆自分の家のほうへ別れていき、一番最後はいつも節と聖奈の二人になるのだ。


 これはチャンスだと思った聖奈は節に話題を振った。


「ねぇ節ちゃん。」

「あん?」

「礼乃ちゃんいるじゃん。」

「関口さん?」

「そう。どう思う?」


 自転車に乗りながら、節は不自然に頭を掻いた。


「どう思うって・・・・ってかなんで答える必要あるんだよ!?」

「いいから。」

「なんだよそれ・・・。____可愛いんじゃね?」


 聖奈は思わず驚愕してしまい、節に振り向いた。


「あっ、かっ可愛いよね!うん。」

「聖奈と真逆だしさ。」

「どうゆー意味よっ!」

「ハハッ。でもなんで関口さんなんだよ。」

「だって・・・最近よく生徒会室行くから。もしかしてホレちゃった??」

「バーカ。俺に好きな奴なんていねーし。ま、お前は別だけどな。」

「え」


 思わず息詰まってしまった。


「えってなんだよ。なんかツッコめよ!俺がサミーだろ!?」

「え、あ。ゴメン。」

「まさか真に受けた感じ?バカじゃね?」

「真に受けてないもん!!ただ考え事してたのっ!この話題忘れてっ!!」

「へーへーッ!」


 そのとき丁度のタイミングで分かれ道となった。


「あ、じゃあね、節ちゃん。」

「あぁ。また明日なー。」


 節と別れた後、聖奈はずっとさっきの言葉が気がかりだった。


『___可愛いんじゃね?』


(確かに可愛いよ、礼乃ちゃん。でも、ホントはどういう意味だったんだろ。好きな奴いねーしとかいっといてただ冗談っぽく言ってただけかも。ってかなんでこんな気になるんだろう。別に3人になっても少し寂しくなるだけなのに。)


 考えてるうちに、見慣れた車に遭遇した。


「あ、兄ちゃんの車だ。」


 学校から帰るとこだったらしい。そちらも気づいて止めてくれた。


「今日は早いな。おかえり、聖奈。」

「ただいま~。のっけてくれんのっ??」

「乗る前提な言い方。まぁ、あと1キロ半はあるしな。乗れよ。」

「ラッキー♪」


 聖奈は逞真の車に乗った。


 揺られながら、聖奈はふと逞真に訊いた。


「ね、もし兄ちゃんのスッゴイ親しい友達がいるとして。」

「心理テストか何かか?」

「そんなところ。で、その人が好きな人が登場したらどうする?あと、そのあと付き合ったりしたら。」


 逞真は数秒ほどの短い間に考え、言葉を発した。


「好きな人ができた程度なら、何も考えない。誰が誰を好きになろうと勝手だから。」

「うん。」

「もし付き合ったとしたら・・・・素直に喜びたいかな。実践できるかはそのとき次第だが。」

「そっかぁ。」

「でも・・・・」


 言葉を付け加える逞真。


「その友人が異性なら、話は別かもしれない。」

「え、何で?」

「それは、聖奈自身が考えてみなさい。」


 聖奈は頬を膨らまして、背もたれに横たわった。


「なんでだよ・・・」

「お前、学校で何かあったのか?」

「別になんもないよ!そう見える?」

「あぁ。まるっきり悩んでいる様子だ。それに、この状況で今のようなこと訊かれたら大抵はそう思うだろうよ。」

「そ・・・。マジになんもないから。いやホント。」

「今日は早く寝れば。なんにせよ、それがいい。」

「うん。そうさせてもらう。」


 その言葉とともに、車がアパートの前に止まった。


















 次の日の放課後、節はまた生徒会室に遊びに来ていた。


「でさ、うちの担任が超ヤンキーでさぁ。」

「あ、確かに岡沢先生ってそんなイメージあります!」

「でしょ?影でのあだ名は岡沢組長・・・・」


 礼乃はフフッと上品に笑った。


「ねぇ、急に話題変えるけどさ、関口さんって告られたことないの?」

「あ、ありませんよ!!」

「ウソ、絶対にあるでしょ。顔可愛いし!」

「そ、そんな・・・全然です!!」

「じゃあ、自分がホレられてるなって思ったことは?」

「あるはずないじゃないですか!こんな私なのに・・・・」

「ホントにそう思うわけ?もったいないなー、鈍感だね、関口さん。」

「えっ・・・?」


 すると、ドアの向こうで聖奈が通りかかる。


「あ、聖奈聖奈!!」


 節はすぐに生徒会室を出てしまった。礼乃は少しだけ切ない顔をした。


(また・・・聖奈先輩・・・・)


 また、違う日の放課後にも・・・・


「今日は一段と聖奈がアホだったんだよ!!」


 と、聖奈についての会話が始まり、礼乃は心の中で溜息を吐いた。









 礼乃は思い切って節に接近するためにお弁当を持っていくことにした。


「あの、節先輩。」

「あ、関口さん!」

「あの・・・その・・・・」


 妙に緊張してしまい。言葉が上手く出ない。


 不意に


「賢明ー、宿題教えてー!」

「あ、アタシも♪」

「またかよ・・・。ま、慣れたからいいけどなっ。」


 という3人の声が聞こえた。


「あの・・・これよかったら食べてください!!」


 思い切って差し出したとき、礼乃は唖然としてしまった。節の瞳が・・・こちらではなく、3人のほうを見ていたのだ。


 礼乃は節の想いを察して、俯いた。その場にいるのが辛くて、思わず逃げ出してしまった。


「で、話って・・・・あれ?」


 節が礼乃のいたとこを見るころには、礼乃はこの近くにはいなかった。


「なんだぁ?」

「おい節!お前はいいのかー?」


 賢明の声に反応し、節は何もないかのように3人のほうへ駆けて行った。


「俺も頼むーっ!!」





 その日の放課後に至っては、節は生徒会室に寄らなかった。





 礼乃が家に帰ろうと歩いていた時、不意に節と聖奈を目撃してしまった。そちらも帰る途中らしい。声を掛けられたら気まずく感じるだろうと思い、礼乃は距離を置いて歩くことにした。しかし、二人の会話は聞こえる。


「ねぇ、どうしたらスイーツ食べても太らないの!?」

「俺がそーゆー体質だからっ♪」

「うわ、なにそのイヤミっ。ゼッタイ私より甘いもの食べてるのに体細いよね。」

「聖奈だってかわんねーだろ。」

「皮肉に聞こえる・・・・」


 彼が甘いものが好きだと初めて知った。その時点で礼乃は悟っていた。


(やっぱり、私には遠く及ばない。私と聖奈先輩とで話している話題が違うもの。だから・・・一生貴方とは結ばれないでしょうね。本当に些細なことだった。貴方にとってはどうにも思わなかったことかもしれない。だけど、私の心には深く刻まれた。私に話し掛けてくれて、本当に嬉しかった。節先輩、ありがとうございました。最後に、心の中で伝えたいことがあるんです。いいですか?)


 礼乃は涙を浮かべ、静かに呟いた。


(自分の気持ちに気づいていないのだとすれば、鈍感なのは貴方、ですよ。)



















「え、生徒会室行かなくなったの?」

「礼乃ちゃんはどうしたー!?」

「お前、ヒデェ奴だぞ!」


 秘密基地でキャッチボールしながら、3人に言い放たれた。


「仕方ねぇだろ、厭きちまったんだから!」

「ねぇ、節ちゃんって鈍感?」

「ハ!?」

「礼乃ちゃん、節ちゃんのこと好きだったんだよ!?」

「え、関口さんが俺を・・・?マジ?」


 思わず野球ボールを地面に落としてしまった。


「んなこと知らねぇよ!もし告られたとしてもフッただろうし。」

「えー、付き合わなかったんだ。」

「だって、こうして遊べなくなるだろ?」

「単純な奴だなぁ。お前、一生彼女できないと思うよ。」

「ほっとけよ!」


 節の呆気ない喋り方に、聖奈は少しホッとしたのであった。






聖奈のこの思いって普通の友情でなんでしょうかね。

まさか・・・・ねぇ?←何がだよ


次回もよろしくお願いします☆

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