小噺2『美濃尾張』
掲載日:2026/06/01
〇『美濃尾張』あらすじ
平治の乱に敗れた源義朝は、家臣・鎌田政清の縁を頼って尾張の長田忠致・景致父子の館へ身を寄せる。しかし父子は平家からの恩賞欲しさに義朝を討ち取り、その首を京へ差し出す。忠致は壱岐守に任じられるものの、
「せめて美濃か尾張の国司ほどの褒美が欲しかった」
と不満を漏らし、人々の顰蹙を買う。これを聞いた平清盛は、
「壱岐守になったからってイキるな」
と激怒。さらに、
「忠致の『忠』は忠義の『忠』だが、そなたは不忠者じゃ」
と言い放つ。その剣幕に恐れをなした父子は、京を逃げ出してしまう。
時は流れて、義朝の子・源頼朝が挙兵すると、父子は今度は頼朝方に寝返る。頼朝は父の仇であることを知りながらも、
「その名の通り忠節を尽くせば、美濃尾張をやろう」
と約束する。
父子はその言葉を信じ、いつか美濃・尾張二国の領主になれるものと思い込み、戦功を重ねる。更に毎夜、二国の経営を夢想して、家臣たちを呆れさせる。
平家滅亡後、いよいよ恩賞の日。父子は笑顔で頼朝の前へ出るが、どういうわけか縄をかけられてしまう。
「約束通り、美濃尾張を取らせる」
と頼朝。
意味も分からぬまま引き回される父子の前に、高札が掲げられる。
嫌へども命のほどは壱岐の守身の終わりをぞ今は賜はる
それを見た父子はようやく授かった「みのおわり」の意味を悟る。




